Sat 101218 直前期、教師も親も泰然自若としているべし だからラグビーを見に行く | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 101218 直前期、教師も親も泰然自若としているべし だからラグビーを見に行く

 1月9日、センター試験は刻一刻と近づいているが、ラグビーの大学選手権決勝に早稲田が出れば、まさか見に行かないでいるわけにはいかない。だからといって「予備校講師として無責任」などということは一切ないはずだ。第一、いくらセンター試験が近づいたからといって、時がここまで来てしまえば、イチ予備校講師がどんなに気合いを入れて踏ん張ってみてもどうにもなるものではない。
 「がんばれよ」「緊張するなよ」みたいなことをブログにいくら書いたって、あるいはその激励にビックリマークを3つも4つもつけてみたって、!!!でも!!!!!!でも、そのおかげで受験生の得点が10点も20点も上がるものではない。むしろ
「いいか、受験生を中心に世の中が回っているんじゃない。キミも、もう18歳。これから大学で勉強しようというなら、親や教師がとやかく口出ししなくても、悠然と一人で合格してきたまえ」
と、ドンと背中を押された方が爽快なはずである。
快晴"
(快晴の国立競技場、1月9日。メインスタンド越しに新宿方面を望む)

 確かスタインベックだったと思うが、「親や教師のアドバイスほどマヌケなものはない」と書いていた。「転ぶなよ」と言われたって、転ぶものは転ぶ。「風邪引くなよ」と言われたって、誰も好き好んで風邪を引くわけじゃなし、引くときは引くし、引かないときは引かない。「網膜剥離になるなよ」と言われても、なるときにはなるし、ならないときにはならないのだ。
 「緊張するなよ」「遅刻するなよ」「油断するなよ」「寝坊するなよ」「電車に乗り遅れるなよ」。親でも教師でも、夢中になればなるほど「言われなくても自明なこと」を繰り返し子供に言い聞かせて、子供をムカつかせてばかりいる。むしろそのせいで子供の成績は下がりこそすれ、上がることはない。親も、教師も、予備校講師も、直前期にはむしろ受験生を突き放して、悠然と、泰然自若としているべきなのである。
キックオフ
(キックオフ。諸君、なぜ今日のブログに「キックオフ」の写真を掲載するか、わかりますよね)

 さて、1月9日。国立競技場のほぼ8割が埋まった大盛況は嬉しいが、残念なのは大学生の姿がほとんど見えないこと。まるで中高年の大規模同窓会みたいな雰囲気である。なぜ早稲田の学生は決勝で戦う選手諸君を応援に来ないのだろう。なぜ誰も立ち上がって校歌を熱唱しないのだろう。
 試合は帝京の重くて固いフォワードが塊になってボールを抱え込むだけの、極めてつまらない試合。双方ミスが重なり、トライ数は早稲田2、帝京1。早稲田の反則を誘ってPG4本を決めた帝京が17-12で優勝した。帝京大学の選手諸君は、観客のほとんどが早稲田ファンというアウェーの雰囲気の中で誠によく戦ったと思う。
早稲田ジャージ
(快晴の空の下にひるがえる早稲田の巨大ジャージー)

 ラグビーは、こういうつまらない展開でも勝てるのだから、仕方あるまい。身体の大きな外国人留学生がボールをがっちり確保、力任せに押しまくって反則を誘い、ひたすらPG狙いで3点ずつ着実に勝つ。それはそれで悪くない。
 しかし、こういう戦い方がラグビーへの興味を著しく低下させることもまた事実。今井君の後ろの席の子供なんか(小学校低学年だったが)、試合が始まって10分も経過しないうちから「もう、終わったの?」「まだ、終わんないの?」「もう、帰るの?」とパパを最後まで困らせ続けた。子供が見て「つまらない」「帰りたい」と思うようなスポーツになってしまっては、ラグビー自体の将来が危ういのである。
 午後4時、試合が終わって日が傾くと、誰も校歌を歌わず、誰も「紺碧の空」を歌わずに、一斉に国立競技場を後にした。メインスタンド前では閉会式が行われているが、その閉会式を見ようとするヒトもいない。確かに、観客の中に学生は少数。疲れた中高年ばかりでは、校歌も紺碧の空も始まりようがないのである。
閉会式
(閉会式。華麗なプレーを求めた早稲田は敗れ、ガッチリ基礎的プレーに徹した帝京が勝利。受験生諸君、勝利の鉄則は「華麗さを排除して、基礎プレーを徹底する」である)

 あえて学生を捜せば、帝京大学応援団のガッチリ組織された集団が、組織的に声援を送っているだけである。鳴り物や太鼓を叩いて声を合わせてする応援はラグビーには馴染まない。サッカーか野球の応援なら組織的応援でもいいが、ラグビーの応援は、敵味方入り混じったスタンドで、お互いにお互いのマナーを信じながら、間違っても相手選手への罵声など入らないように紳士的応援に努めるのである。
 最近はトップリーグの応援でも、相手はおろか味方の選手にまで罵声を浴びせたり、みんなで声を合わせて「押せ押せ、♡♡!!」を繰り返す応援が目立つようになった。数年後にはワールドカップも開催するのだ、ラグビー協会はもっと率先して、応援マナーの啓蒙運動を進めるべきである。
 たいへん寂しい気持ちで競技場を出た。これでしばらくラグビー観戦に来ることはない。次は11ヶ月後、秩父宮に早稲田vs慶応は見にいくが、おお、何と11ヶ月も先のことである。そのころ黄色く色づき始めているであろうイチョウの葉っぱは、まだ芽も出していない。うにゃにゃ、ずいぶん先のことである。

1E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 2/2
2E(Cd) Lucy van Dael:BACH/SONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 1/2
3E(Cd) Lucy van Dael:BACH/SONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 2/2
6(DMv) BASIC INSTINCT 2
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