Thu 101118 この冬は久しぶりにラグビーを観て過ごすことにする 早慶戦/早明戦 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 101118 この冬は久しぶりにラグビーを観て過ごすことにする 早慶戦/早明戦

 ポーランドには行けないことに決まったから、この冬は久しぶりに大学ラグビーを見て過ごそうと思う。そう言えば、この3年ぐらいマジメにラグビーを観ていなかった。2007年の12月はニューヨーク、2008年はロンドン、2009年はブダペストとプラハで走り回っていて、むしろクマ蔵君自身がラグビー選手のように欧米のクリスマスを疾走し続けたのである。
 11月23日、早稲田vs慶応戦のころのクマ蔵君は、まだ右眼の視力が回復していなかったから、左眼だけでテレビ観戦ということになった。諸君、片眼でラグビーを観るのはなかなかたいへんな仕事であるよ。しかも、選手同士がクラッシュするたびに「ああ、網膜剥離になるよ」「あんなに激突し合ったら、みんな網膜剥離だよ」と、そればかりが心配でなかなかラグビーに集中できない。
 結局この日の早稲田は10-8で敗れ、対抗戦優勝が一旦遠のいた。キックオフ前から早稲田の劣勢は明らか。メインスタンド前に整列し、校歌を熱唱しつつ感極まって涙を流す慶応の選手たちの集中力は、片眼で眺めていても痛いほど伝わってきた。ほんの4~5年前、五郎丸/矢富/今村/畠山と日本代表クラスが揃った早稲田が54-0で完勝した試合以来、秩父宮での観戦していないが、当時の「勝てるワケない」という雰囲気の慶応とは明らかに違っていた。
いちょう1
(北青山、いちょう並木。12月3日撮影)

 それとは対照的に早稲田の選手で「都の西北」をマジメに歌う者は少ないように見えた。何となく泣きそうな、「負けたらどうしよう」という表情で下を向いている。こういう状態で最初から全力を出し切るのは困難である。案の定、早稲田のキックオフは直接タッチを割って、慶応ボールのセンタースクラム。この時点で慶応の勝利が見えたと言っていい。
 今井君の観戦ぶりもダラしなかった。いつもなら、クマ蔵のテレビ観戦は熱く燃えるのだ。テキーラ海老蔵など寄せつけない迫力で、まさに周囲を圧倒する。レフェリーの判定1つ1つに激怒の叫びをあげつつ80分完全燃焼。ついでに日本酒4合ぐらいはカラにして準備万端、勝利の雄叫びとともに颯爽と飲みに出るのが習わしである。
 しかし、この日は右眼のことばかり考えて、ごく控えめな観戦。山中がトライ寸前にインゴール・ノックオンする姿を呆然と眺めながら「ありゃりゃ、こりゃダメそうだ」と右眼を覆うのがやっと。早稲田がつまらないPGを狙い、しかもゴールポスト正面のいかにもイージーなヤツを失敗するのを見て、すっかりションボリ萎んでしまった。結局、焼酎のお湯割り2杯をチビチビやっただけでおしまい。敗戦のホイッスルとともにヒッソリ書斎に引き上げた。
いちょう2
(朝の暴風雨で、イチョウの葉はみんな散ってしまった。ただし、いちょう並木は散ってからが美しい)

 12月5日の早明戦もテレビ観戦。いつもなら国立競技場の正面スタンドに陣取るのだが、講演会の出張があって、ナマ観戦はあきらめた。明治の復活がとにかく嬉しい。その監督が秋田工業出身の吉田義人であるのもまた嬉しい。何よりも明治の学生たちがラグビーに戻ってきて、国立競技場を埋め尽くしてくれたのが嬉しい。「メイジ、メイジ」「押せ、押せ」の大合唱が自然発生的に国立競技場を圧する圧倒的な雰囲気の中でしか、ラグビー早明戦は存在し得ない。
 明治の選手も大観衆も「おお、おお、明治」を熱唱して涙し、それにつられるように早稲田の選手たちも、普段は大人しい早稲田の学生たちも恥ずかしげに「都の西北」を歌ってコブシを振り上げる。どういうわけか皆が感動に涙ぐみ、「オレは早稲田になんか来るはずじゃなかった」という東大コンプレックスの学生まで、その日から何故か「早稲田命」の学生に変わる。
いちょう3
(ラグビーを観た帰り道、足許はいつもこんな風景である)

 こういう試合でPG狙いの明治なんか絶対に見たくない。PGを狙えば3点取れるとわかっていても、それでもFWゴリゴリ攻撃をやめないからこそ、明治なのだ。バックスに回して走り回る明治も見たくない。バックスに回せばトライできるとわかっていても、それでも延々とFWゴリゴリを続け、結局トライを取れないからこそ、明治なのだ。ミスから早稲田に一気に走られ、大逆転トライを許し、FWの大男たちが天を仰ぎ地に伏して号泣する姿にこそ、明治の魅力が凝縮されているのである。
 CS「J sports」の解説に座った松尾雄治が盛んに「バックスに回せ」「PGを狙え」と繰り返していたが、そんな明治はイヤである。FWに徹底的にこだわって「バカだな、そんなに正直に『前へ!!』をやらなくてもいいのに」と笑われても、それでもひたすらFWゴリゴリ。国立競技場に集まった4万5千の大観衆は、おそらく15年ぶりに見る明治の復活をこの日満喫したのである。
 スコア31ー15での明治敗戦なんかちっとも気にしていない。わずかな得失点差での早稲田の対抗戦優勝も、まあどうでもいいことだ。「明治、すごかったな」「押しまくったな」「ゴリゴリだったな」と、早稲田サイドも明治サイドも万感の熱い溜め息をついたのである。

1E(Cd) Quincy Jones:SOUNDS … AND STUFF LIKE THAT!!
2E(Cd) Courtney Pine:BACK IN THE DAY
3E(Cd) Dieter Reich:MANIC-“ORGANIC”
4E(Cd) Tuck & Patti:AS TIME GOES BY
5E(Cd) Candy Dulfer:LIVE IN AMSTERDAM
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