Mon 101115 右眼の中のバブル嬢 気圧が下がるとポッチャリ 国際線は当分無理だ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 101115 右眼の中のバブル嬢 気圧が下がるとポッチャリ 国際線は当分無理だ

 12月6日現在、右眼の中のガスはオハジキの大きさに見えている。昨日書いたような「シェイク」をしないように気をつけて行動していれば、つまり歯ブラシの動きを控えめにしたり、授業での激しい身振りを控えたり、そういう海老やクマには難しい大人しい努力を心がけていれば、まあ読書とかパソコン作業とかには支障はない。視力も1.0まで回復してきた。
 気泡のオハジキは、今やビー玉の大きさからパチンコ玉の大きさにまで縮小しつつある。やがてダイズかアズキの大きさに縮まり、いつの日か完全に消滅するのであるが、何しろクマどんは素人であるから、いつアズキになるのか、いつ消滅するのか、全く見当がつかない。
 しかも気短かなことでは海老にヒケを取ることのないクマである。西麻布にうごめく元暴走族の元リーダーよりずっと厄介なこの気泡と、いったいどこまで我慢強くつきあっていけるかどうか。苛立ちのあげく、ふと灰皿一杯のテキーラをにっくきバブルどんの頭から浴びせかけたくなる可能性だってある。
 うーん、繰り返すけれども、何しろ右眼の下の方にビー玉クンが常時プルプル震えて見えるのだ。眼の中に指を突っ込んで、プチンとバブルを破ってしまえば、どんなに気持ちいいだろう。「破りたい♨破りたい」、その思いは、10代後半から20代のころにニキビどんたちと付き合った頃とそっくりである。「破ってはいけない」ことは周囲から言い聞かされてよくわかっているけれども、それでも破ってしまいたい。
こうやって入る
(この箱には、ここから入るとラクだ)

 しかし、今回は破りたい対象が眼球の中にしっかり守られていて、すぐ目の前に見えているのに、指は決して届かない。ついでに一言付け加えると、この気泡がなかなか美しい。昨日書いた通り、光の屈折のせいで外縁は黒、内側に入るに従って黒が紫に変化する。そんな微妙な色彩を保ちながらプルプル繊細に震えている様子は「バブルちゃん」「バブル嬢」とでも呼びたいほどである。
 毎朝起きるたびに「あれれ、ほんの一回りだけど、小さくなっちゃった?」「少しだけど、痩せたみたいだね」。おお、なかなか不気味な関係じゃ。それどころか「おはよう、バブルちゃん」「おやすみ、バ♡ブ♡ル。いい子にしておいでよ♠」ということになれば、中年男が眼の中のバブル嬢に魅せられていく奇妙な不条理小説ぐらい、あっという間に出来上がる。
 しかし、諸君。網膜剥離手術の決め手として右眼球内に注入されたこのガスの特徴は、何よりもその「膨張性」である。この膨張性が、頻繁に飛行機に乗る今井君にとっては大問題なのだ。剥離した網膜をハンダ付けしたあと、網膜が組織に密着するように頑張り続けなければならないのだから、可愛いバブル嬢には大きな膨張性が不可欠である。
 最近ではすっかり痩せて細くなったバブル嬢も、飛行機に搭乗して機内の気圧が急激に低くなれば、本来のアイデンティティである「膨張性」をフルに発揮して、プクリとふくらみ、すぐにポッチャリ体型に変化する。そうなれば「ボクは少しポッチャリしている方が好きだな」などという暢気な発言をしているヒマはない。
 つまり、機内の気圧の低下に伴って、眼内の圧力は急激に上昇するわけである。ま、当たり前だ。ピンポン球の中に残ったパチンコ玉ぐらいの大きさのバブル嬢が、プックリ膨らんでビー玉の大きさになり、さらにポッチャリ膨張してウズラのタマゴぐらいになったところを想像して見たまえ。
 眼圧の上昇が余りに激しくなると、素人考えだと「ピンポン球が内側からの圧力で破裂するんじゃないかな?」という猟奇的な話になっていく。飛行機が巡航高度に達して10分、乗客の一人が急に右眼を押さえて立ち上がり、CAの静止を振り切って奇声を上げながら機内を駆け回る。やがて機内に響く鈍い破裂音。女性客の悲鳴、飛び散る血液、うずくまって気絶する男。駆けつけたCAが男を抱き起こすと…右眼が暗い暗い洞窟のように開いていて… おお、それは猟奇映画の範疇である。
占領
(ポッチャリ君と、眼球と気泡の関係の模式図)

 もちろんそこまで猟奇的ではないにしても、飛行機内における眼圧の急上昇&急降下が、手術直後の眼球に重大な危機を引き起こすことは間違いない。長距離の国際線に乗って、目的地が近づいて高度が下がった時、ペットボトルがそこいら中でベコベコにへこみ始めるけれども、あれと同じ気圧の変化の影響を眼球が直接受けることになるのである。
 具体的には、眼圧の急上昇のせいで、眼球内の毛細血管が壊死する危険があるらしいのだ。網膜中心動脈閉塞症と呼ぶ。もちろん、2時間程度で目的地に到着する国内線なら危険はそんなに大きくはないだろうが、国際線に搭乗して、例えばパリまで11時間、ローマまで12時間、そんなに長時間にわたって高い眼圧にさらされたら、確かに毛細血管に血液が流れなくなる。ぽっちゃりバブル嬢はなかなか危険な存在であって、プルプル震えながら真綿で首を絞めるようにヒトを失明に導くのである。
 なお、たとえブログに過ぎないとしても、これらの考察が単なる素人考えでしかないとすれば、公開するかどうか憚るところである。「海老蔵どんから電話が来た」という話を脳科学者(Macちゃんの変換は「農家学者」であったが)の茂木健一郎氏がブログに書いたらしいのだが、そんなに無責任に「ブログで公表」などということはマズいんじゃないか。
どんな箱でも
(どんな箱でも、とにかく入ってみなければ始まらない)

 クマどんはそのへんのことに相当気をつけているので、チャンとしたお医者さまのHPからバブル嬢についての考察をコピペする。お医者様も「網膜手術後、気泡を注入した状態で長時間飛行機に搭乗することの危険」について、しっかりと書いていらっしゃるのだ。東京都立川市「岩瀬眼科医院」のHPである。
[1]問題の所在:眼科領域における網膜、硝子体手術は近年格段に進歩し、よい術後成績を残すようになってきている。この進歩に大きな役割を果たしているのが、眼内充填物質である。眼内充填物質には、空気、膨張性ガス(SF6,C3F8)、シリコーンオイル、液体パーフルオロカーボンなどがある。
[2]今回問題にしたいのは膨張性ガスのうちよく使われる、SF6 (6フッ化硫黄)とC3F8(8フッ化プロパン)である。膨張性ガスは眼内に注入されると、血液中の窒素と結合することで窒素の眼内への拡散を促しその結果気体は膨張する。膨張したガスはその浮力でその直上にある網膜を上に押し上げ、網膜を復位させる効果を示すのである。網膜剥離手術の後や硝子体手術の後に使われることも多いが、黄斑円孔や部分的網膜剥離に対しては、手術を経ず、ガス注入だけで治療する場合も多くなっている。
 合併症として最大の問題は眼圧上昇である。ガスが最大に膨張するのはSF6で約24時間後、C3F8 で約72時間後であるが、膨張率は最初の6時間で最も高く眼圧上昇はガス注入直後から始まる。100%SF6ガスを硝子体内にワンショットで0.5CC注入した実験では、注入直後平均51mmHgの眼圧(正常11~20mmHg)になったとの報告がある。
 網膜中心動脈の動脈圧が通常60~70mmHgであるので、眼圧がこの動脈圧に近づくか超えれば、網膜中心動脈は閉塞し、閉塞が100分以上続けば回復不能の失明に至るとされる。
 危険な場面は3つある。
①眼科専門医がガスを注入直後、眼圧が上昇してすぐ下がらなかった場合
②ガス注入後ガスが残存しているうちに、飛行機に搭乗し室内気圧が下がったためガスが膨張して眼圧が上昇した場合
③ガス注入後ガスが残存している時に、別の外科的手術で笑気麻酔を行いガスが膨張して眼圧が上昇した場合
[3]ガス残存中の飛行機旅行の問題:
(1)症例:22才男性。右眼の網膜剥離手術として輪状締結術を受け、空気の注入を受けた。2週間後この患者が飛行機に乗り、室内が8000フィート(2440m)相当の気圧になり数時間して地上に帰ってきたところ、右眼は失明していた。原因は気圧低下でガス気泡が膨張し、眼圧上昇した結果、網膜中心動脈閉塞症となった為であった4)
(2)考察:旅客飛行機で最高点に達したとき、外気圧と同じにならないようキャビン内に与圧がかかっているが、それでも高度2500m相当の大気圧まで低下する。地上で760mmHgとすると、高度2500mで560mmHg程度になる。気泡はボイル・シャルルの法則に従い(PV=一定)気圧が低下すると膨張するので、残存ガスが一定多ければガスの膨張のためかなり眼圧上昇し、結果として網膜中心動脈閉塞症になることはあり得ると思われる。
http://www.koiwase.com/action/document25.html(2010年12月6日参照)


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2E(Cd) 芥川也寸志&東京交響楽団:エローラ交響曲など
3E(Cd) Jennifer Lopez:ON THE 6
4E(Cd) Jennifer Lopez:J TO THA L-O! THE REMIXES
5E(Cd) Yohichi Murata:SOLID BRASS Ⅱ
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