Sat 101113 退院後も今井クマ蔵を悩ませる2つの恐怖 旧カニ蔵の視点からの海老ちゃん | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 101113 退院後も今井クマ蔵を悩ませる2つの恐怖 旧カニ蔵の視点からの海老ちゃん

 まあこんなふうで、たまに病気をしてみるのも、優しくしてもらえたり、こちらもグンと優しくなったり、悪いことばかりではないのである。しかし、問題は残っていて、中でも
(1) 眼をメスで切って糸で縫ったからには、「抜糸」という難関が残っているだろう
(2) 眼の中にガスを注入したからには、飛行機に乗るのはたいへんな苦痛だろう
の2つは今井君の心に大きな暗い影を落としていた。
のどぐろ
(快気祝いは続く。三軒茶屋・太子堂の蕎麦屋「くら嶋」のノドグロ一夜干し)

 しかし、まず(1)は杞憂に終わった。今井どんが恐れていたのは15年前の鼻の手術と同じような苦痛である。15年前の入院時には、高校生のころから苦しんでいた副鼻腔炎が悪化して、大量のポリープが鼻の奥に出来た。当時は毎週1回福岡への出張があって、飛行機に乗るたびにポリープが原因の激痛が走り、あのまま駿台で勤務するにはどうしても手術が必要だった。
 手術後に見せてもらったら、患者が腰を抜かすほど堂々とした立派なポリープがズラリと並んでいた。脳に近すぎるからという理由で、弱い局所麻酔。ほとんど効果のない局所麻酔で、「これでもか」という苦痛に耐えながらポリープ全てをコソギとったのである。しかも手術の最中に「ついでだから」ということで、湾曲した鼻中隔を削り取る治療も付け加えた。何故か文化放送のラジオ番組を聞きながらの手術。「その方がリラックス出来るから」というのが理由だったが、激痛の続く中での文化放送は今でもトラウマになっている。
 コソギとったあとの穴には大量のガーゼが押し込まれ、おかげで顔の形が変わるほどであった。手術の1週間後、そのガーゼを除去することになった。医者は「手術それ自体より、ガーゼを除去するときの方が痛いですよ」と予告していた。除去の当日、次々とヌルヌル鼻腔から引き出される血まみれのガーゼの赤黒い色を見ながら、「2度とこんな病気になるものか」と誓ったものだった。
ひぐま1
(新宿西口の地下街で発見したヒグマの剥製 1)

 あれが「抜ガーゼの苦痛」だったとすれば、今回はオメメを糸で縫ったのだから、「当然、抜糸という作業が残っているだろう」とクマどんは恐怖に日々震えていたのである。手術のときと同じように、メスだか毛抜きだか、とにかく鈍く光る金属が眼球に迫り
「はーい、コワくないですよお」
「はーい、痛くありませんよお」
「はーい、キョロキョロしないでねえ」
と赤ちゃんコトバでなだめられながら、その痛みに耐える日が来ると思えば、震えずにいられる剛毅な人間がこの世にどのぐらい存在するだろうか。まさに人生最大の危機と言っても大袈裟ではない。しかも、今井君は一応「先生」であって、医師の中にも、ナースの中にも、眼科技師の中にも、かつて今井どんの偉そうな授業を半年も1年も受講した若者たちが混じっているのだ。「痛いから」「コワいから」と言って、安易に「痛いよお」「コワいよお」と醜態をさらすわけにはいかない、相当に苦しい立場なのだ。
 しかし、諸君。すでに常識なのかもしれないが、眼の手術で使用する糸は「溶ける糸」なのである。1週間だか2週間だかして、傷口がすっかりふさがった頃、糸は体液に溶けて自然になくなっていく。むかしむかし大昔「刑事コロンボ」シリーズに「溶ける糸」というのがあったが、まさにあれなのである。
 ちょうど今、溶け出した糸の糸くずが飛蚊症のように眼球内を踊っているのが3つ4つ見えるのであるが、それこそ溶けた糸の残骸。おお、抜糸の恐怖はウソのように消えた。よくわからないが、右眼の端っこから白い糸状の繊維質が涙とともに流れ出る。どうやらそれが溶けた糸の残骸であるらしい。はっは。これで「痛いよお」「コワいよお」でかつての生徒たちに醜態をさらす恐怖もなくなったわけだ。
ひぐま2
(新宿西口の地下街で発見したヒグマの剥製 2)

 今井君がSMAPに先んじて市川カニ蔵を名乗ったのは、ちょうど昨年の今頃である。SMAPのカニ蔵が登場したのは、半年遅れである。そのことに関する嘆きも当時のブログに詳しいが、今井君はスッパリ全部諦めて、「旧カニ蔵」「旧カニちゃん」「Qカニ」「キューティーかにー」その他、新ネタを連ねて対抗してきた。
 海老蔵と旧カニ蔵は一心同体である。旧カニ蔵の網膜剥離からわずか2週間、海老蔵どんも殴り合いで負傷、血まみれ小僧として世間の指弾の対象となった。あんなに顔面を殴られれば、昨年12月13日に土壁に激突した旧カニ蔵と同じように、1年後の網膜剥離には絶対に注意しなければならない。
 旧カニ蔵が手術後に「眼に力を入れないように注意してください」と医師に警告されたことを考えると、きっと海老ちゃんは眼に思いっきり力を籠める成田屋独特の荒事をしばらく断念せざるを得ないのである。ま、いいじゃないか。Qカニどんとしては、大人しい品行方正のお坊ちゃんなんかより、暴れ放題暴れ回ってそれを芸の肥やしにした20年後の海老ちゃんが楽しみである。殴られて、ちょっとぐらい弱虫で、コワい経験からハダシで逃げ出したって、歌舞伎役者をいちいち周囲がツベコベ責める必要はない。

1E(Cd) Ornette Coleman:NEW YORK IS NOW!
2E(Cd) Miles Davis:THE COMPLETE BIRTH OF THE COOL
3E(Cd) Art Blakey:MOANIN’
4E(Cd) Human Soul:LOVE BELLS
5E(Cd) Patricia Barber:NIGHTCLUB
total m62 y1703 d5802