Sat 101106 そろそろ終わりにしようかな・ウワバミの速攻闘病記 教授回診 退院決定
11月10日水曜日から３日間、眼科の重要な学会があって、日本の大きな病院の主だった眼科医はみんな医療現場を留守にしたらしい。ホントに返す返すも今井君の網膜剥離オペのタイミングは絶妙だったので、あと１日どころか、あと４～５時間遅れれば、今回の手術みたいに大成功♡というのは望み薄だったのである。
週末のある朝、教授が学会から帰ってきて、いつもの穏やかな朝の診察は「教授回診」というたいへん物々しいものになった。ドラマ「白い巨塔」の冒頭で石坂浩二の演ずるのが「教授回診」であって、若い医局員十数名とナース十数名を引き連れて病棟を訪れる教授の白衣姿は、まさに「威風堂々」の形容がふさわしい。
医学部志望の受験生諸君が憧れるのはおそらくこういうシーンだろうし、教授として初めて回診に回るときなんかは「人生の夢がとうとう実現した」という感慨に浸るのではあるまいか。医学部受験に何度も何度も失敗したり、裕福というわけでもない両親に多大な迷惑をかけたあげく「ついにここまでノシ上がった」という医師だとしたら、思わず「オヤジ、見てくれ」と天国に向かって叫びたくなる一瞬かもしれない。
「かあちゃん!!」「マサル、よくここまでがんばったねえ」「かあちゃん…」という感動のシーンだって目の前にちらつくはずだ。なんで「マサル」なのかはわからない。マナブとかタカシとかタカノブとかノブヒロとかでももちろん構わない。ツトムやススムでも文句はない。カズヒコ、ヒロシ、ショージ、ケイスケ、そのあたりはホントにオマカセだ。しかしとにかく「かあちゃん!!」「ネエちゃん!!」「トーちゃん!!」なのである。
（翌週月曜に退院と決まる。早速退院の準備を整える）
もちろん「へん、何を偉そうに。ただのメンタマ修理工じゃないか」みたいな悪口をたたくヒトだって広い日本には10人や20人ではないだろうが、そういう悪口雑言がたたけるのは患者になった経験がないからである。いや、危機を経験したことがないヒトは、礼儀を知らない。浪人経験のないヒトが予備校講師を評価しないのと同じことなのだ。
いったん「網膜♠危機一髪」「教授♡あなたに救われました」「先生のおかげです♣これからは目ん玉を♢大事にしていきます」という経験をした患者は、今井君みたいにいくら生意気なサトイモでも、教授の姿を「威風堂々」と讃え、思わずアオイのモンドコロを見たように思い、「おのれ、ズが高いいっ」と自らに言い聞かせながら、「はは、はははあっ」と平身低頭することになる。
教授回診では、昨日まで世話になった若い医師たちや、医局員の皆さん＆医学部の学部生たち＆ナースたちまで、患者たちの治療状況をスクリーンで見学しながら、深い感動の溜め息をつく。何故か今井君の診察が最後で、教授は満足気にオペの状況とその後の治療痕を説明し、学部生と医局員と若い医師たちが、教授の一言一言に「おおおー♡」「あああー♠」「んんんー♣」「うぉうぉうぉー♢」と感動の叫びを合唱して、やがて目出たく回診は終了した。
PTAの授業参観とか、東進の講演会が無事大成功のうちに終了したような、ホッとした華やかな雰囲気に診察室は包まれた。何だか実験台にされたみたいな扱いで、腹を立てる人もいないことはないだろうが、そこはさすがに派手好きな今井君だ、こういう場でも目立たないのはイヤである。実験台、大いに結構。何だか若い医師たちの喝采を受けたのが教授よりも自分であるようで、大いに誇らしい。思わず網膜のあたりを「ご苦労、ご苦労」撫で回したくなるほどである。
つまり「ひたすら♨うつぶせ寝」のアナログ難行苦行にひたすら耐えたことが、この大成功には不可欠の要素だったわけで、医師たちの喝采の一部分は患者である今井君に向けられたものだったのだ。そう思えば、実験台扱いも「ものかは」である。死語「ものかは」がわからないヒトは、グーグルで検索してくだされ。
こうして、今井君の術後経過はきわめて良好。退院は翌週月曜日と決まった。手術後１週間で退院というのだから、まさにプラン通り。１週間前には砂嵐と16分音符が右眼の中を乱舞し、視野の左端に小指の先の大きさの黒い影を見て暗澹とした気分に浸っていたのだから、まさにウソのような回復ぶりである。
1E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré：BEETHOVEN／PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 8/9
2E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré：BEETHOVEN／PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 9/9
3E(Cd) Billy Joel：Greatest Hits vol.1
4E(Cd) Billy Joel：Greatest Hits vol.2
5E(Cd) Madredeus：ANTOLOGIA
total m27 y1668 d5767
週末のある朝、教授が学会から帰ってきて、いつもの穏やかな朝の診察は「教授回診」というたいへん物々しいものになった。ドラマ「白い巨塔」の冒頭で石坂浩二の演ずるのが「教授回診」であって、若い医局員十数名とナース十数名を引き連れて病棟を訪れる教授の白衣姿は、まさに「威風堂々」の形容がふさわしい。
医学部志望の受験生諸君が憧れるのはおそらくこういうシーンだろうし、教授として初めて回診に回るときなんかは「人生の夢がとうとう実現した」という感慨に浸るのではあるまいか。医学部受験に何度も何度も失敗したり、裕福というわけでもない両親に多大な迷惑をかけたあげく「ついにここまでノシ上がった」という医師だとしたら、思わず「オヤジ、見てくれ」と天国に向かって叫びたくなる一瞬かもしれない。
「かあちゃん!!」「マサル、よくここまでがんばったねえ」「かあちゃん…」という感動のシーンだって目の前にちらつくはずだ。なんで「マサル」なのかはわからない。マナブとかタカシとかタカノブとかノブヒロとかでももちろん構わない。ツトムやススムでも文句はない。カズヒコ、ヒロシ、ショージ、ケイスケ、そのあたりはホントにオマカセだ。しかしとにかく「かあちゃん!!」「ネエちゃん!!」「トーちゃん!!」なのである。
（翌週月曜に退院と決まる。早速退院の準備を整える）
もちろん「へん、何を偉そうに。ただのメンタマ修理工じゃないか」みたいな悪口をたたくヒトだって広い日本には10人や20人ではないだろうが、そういう悪口雑言がたたけるのは患者になった経験がないからである。いや、危機を経験したことがないヒトは、礼儀を知らない。浪人経験のないヒトが予備校講師を評価しないのと同じことなのだ。
いったん「網膜♠危機一髪」「教授♡あなたに救われました」「先生のおかげです♣これからは目ん玉を♢大事にしていきます」という経験をした患者は、今井君みたいにいくら生意気なサトイモでも、教授の姿を「威風堂々」と讃え、思わずアオイのモンドコロを見たように思い、「おのれ、ズが高いいっ」と自らに言い聞かせながら、「はは、はははあっ」と平身低頭することになる。
（退院と同時に断捨離することに決まったラルフ・ローレンのシャツ。代ゼミ→東進の15年間愛用したが、愛用しすぎて擦り切れてしまった）
教授回診では、昨日まで世話になった若い医師たちや、医局員の皆さん＆医学部の学部生たち＆ナースたちまで、患者たちの治療状況をスクリーンで見学しながら、深い感動の溜め息をつく。何故か今井君の診察が最後で、教授は満足気にオペの状況とその後の治療痕を説明し、学部生と医局員と若い医師たちが、教授の一言一言に「おおおー♡」「あああー♠」「んんんー♣」「うぉうぉうぉー♢」と感動の叫びを合唱して、やがて目出たく回診は終了した。
PTAの授業参観とか、東進の講演会が無事大成功のうちに終了したような、ホッとした華やかな雰囲気に診察室は包まれた。何だか実験台にされたみたいな扱いで、腹を立てる人もいないことはないだろうが、そこはさすがに派手好きな今井君だ、こういう場でも目立たないのはイヤである。実験台、大いに結構。何だか若い医師たちの喝采を受けたのが教授よりも自分であるようで、大いに誇らしい。思わず網膜のあたりを「ご苦労、ご苦労」撫で回したくなるほどである。
（ラルフ・ローレン君、ご苦労様。最後の１年は海外旅行用のシャツとして、ブダペストやリスボンやバルセロナで大活躍だった）
つまり「ひたすら♨うつぶせ寝」のアナログ難行苦行にひたすら耐えたことが、この大成功には不可欠の要素だったわけで、医師たちの喝采の一部分は患者である今井君に向けられたものだったのだ。そう思えば、実験台扱いも「ものかは」である。死語「ものかは」がわからないヒトは、グーグルで検索してくだされ。
こうして、今井君の術後経過はきわめて良好。退院は翌週月曜日と決まった。手術後１週間で退院というのだから、まさにプラン通り。１週間前には砂嵐と16分音符が右眼の中を乱舞し、視野の左端に小指の先の大きさの黒い影を見て暗澹とした気分に浸っていたのだから、まさにウソのような回復ぶりである。
1E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré：BEETHOVEN／PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 8/9
2E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré：BEETHOVEN／PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 9/9
3E(Cd) Billy Joel：Greatest Hits vol.1
4E(Cd) Billy Joel：Greatest Hits vol.2
5E(Cd) Madredeus：ANTOLOGIA
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