Mon 101101 なおなお・ウワバミの速攻闘病記 眼に力を入れるな 眼帯を外してもらう | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 101101 なおなお・ウワバミの速攻闘病記 眼に力を入れるな 眼帯を外してもらう

 闘病記などというものは、1つの決定的手術がそのクライマックスになって、あとは一気に結末に向かうのが本来一番いいのだ。苦しい手術に歯を食いしばって耐えて、見事に全快して、涙だ涙で退院して、めでたし&めでたし、それに越したことはないのは当たり前であって、それでも完治せずに長い長い闘病生活が続くというのは、本人も周囲も余りにもつらい。書く方も読む方もいたたまれない気持ちになって当然である。
 その点、今井君の闘病は自ら「速攻闘病記」と名付けたことからもわかるように、速攻で入院して、速攻で手術に持ち込んで、速攻で退院にこぎつけた。たいへん幸せな闘病であった。この上は、油断しないで療養に努めること。過度の飲酒♨とか、非常識な生活♨とか、乱れた食生活♨とか、長過ぎるブログ♨とか、これまでの今井君の人生を彩ったイケナイ側面を出来る限り慎むこと。要するにお医者様の言いつけをしっかり守って、正しい生活を心がけるばかりである。
 しかしこの際せっかくだから、手術後の1週間にわたる入院生活についてもチャンと記録しておこうと思う。まさか今井君の入院中に同じ病院の中で多剤耐性菌検出騒ぎが発生していた(昨日の記事の最後の写真参照)とは知らなかったし、詳細な記録がいつどこで誰かの役に立つか、誰にもわからないのである。
手術後1
(手術の翌朝、眼帯を外してもらうと...)

 手術が大成功であったのは、手術棟から車椅子に乗せられて病室に戻って、すぐに今井君があれこれ一人で冗談をいいながらスタスタ歩き回り始めたことでもわかる。まさかその直後から世にもツラい「一週間ぶっ続け♨うつぶせ寝♡生活」がスタートするなんて、夢にも思わなかった。
 「うつぶせ寝♡生活」がどのようなもので、どんなツラさを伴うか、どうしてそんなことをしなければならないか、その辺の詳細は、長くなりすぎるから明日の記事で書くことにする。とにかく1週間の入院を通じて最もツラかったのは、手術自体よりもこの「うつぶせ寝♡生活」。闘病の苦しさを理解するのには、苦痛は伴っても短時間の忍耐で済む手術より、3時間でいいから「ひたすら♨うつぶせ」で生活してみた方がいい。
直後1
(手術の翌朝。放送コードぎりぎりである)

 まあ、いい。それは明日書こう。手術の日の夕方から、抗生物質の投与開始。とにかくこれからしばらくの間は、右眼の中に細菌の侵入を決して許さないことが肝要。眼にはファイアウォールもないし、マカフィーもシマンテックも営業に来ないから、ウィルスの侵入を防ぐ努力はひたすらアナログである。
 今井君は何しろ古い世代に属するヒトだから、アナログな努力は得意中の得意である。「風呂に入るな」と言われれば、そりゃカンタンだ。「シャワーを浴びるな」なら、これ以上カンタンな話はない。「眼をいじるな」も容易きわまる話で、その程度のことなら「もしも万が一眼内炎が発生したら、限りなく失明に近くなる」などという恐ろしい警告を受けなくとも、眼をいじらずに我慢できる程度の大人ではある。「重いものを持ち上げるな」「激しい運動をするな」あたりも、怠惰なクマどんにはうってつけの忠告である。
 しかし「眼に力を入れるな」は、ちょっと難しい。第一、市川海老蔵どんじゃあるまいし(Mac君は「エビ増」。もしエビチリなら、サービス満点な変換である)もともと「眼に力を入れる」などという行動を、意識的にとった経験はない。やった経験ことのないことを「するな」と言われても、これはなかなか難しい。「ホームランを打つな」と命じられた貧打の8番打者は、何かの間違いで打ってしまうかもしれない。「満点を取るなよ」と言われても、ダメなヤツほど誤って200点満点を取ってしまう。接待マージャンや接待ゴルフに下手なヤツを起用すると、チャンと勝利して商談はホゴになる。
直後2
(さすがにヤツれた表情のウワバミどん)

 まあ、そういうバカバカしいことを考えて一夜が明けた。朝一番で元気なナースがやってきて、いきなり眼帯を外された。ええっ、もう眼帯はずしちゃうの? つい18時間前に、眼のレンズをいったん除去し、そこから棒を突っ込んで眼底をホジホジ1時間半も修理修繕したのだ。血液やらガラス体やら、不気味なニュルニュルをチューブで大量に吸引したのだ。それなのに、もう眼帯とっちゃうの? 
 今井君はまだまだ3~4日は眼帯をつけているんだと思っていた。暖かい脱脂綿の感触だって、「守られている」という安心感があっていいものだ。守られて、暖かくヌクヌク怠けていたかった。それなのに、眼帯をペロンと外されてしまうと、人体の一番大事な穴が1個、外の世界にむき出しにされてしまったようで心細い。
手術後2
(眼帯を外して6時間後、そろそろ余裕の出てきたウワバミどん)

 そこで思い切って撮影した写真が今日の数枚である。普通なら、写真に撮るよりも、鏡に映してつくづく点検するのである。点検して、「おお、なかなかいい男じゃないか」「オレも、まだ若いじゃないか」「イケメンかも」「昔は『ハンサム』と言ったもんだ」「捨てたもんじゃないな」とか、そういう馬鹿げた独り言を言って、そっとアゴを撫でてみたりする。そういうナルシスト的行動こそ、苦しい闘病生活のオアシスなのである。
 しかし諸君。ウワバミどんは、心配で、心配で、というより「デカくて、真っ黒くて、真っ暗な穴」をそこに発見するのが恐ろしかったのである。カフカ的世界とは違うけれども、その穴の暗さがどのぐらいのものか、例えば「無限」に該当するものをそこに発見するのではないか。その見当もつかないのは、実に恐ろしいことである。

1E(Cd) 芥川也寸志&東京交響楽団:エローラ交響曲など
2E(Cd) Akiko Suwanai:SOUVENIR
3E(Cd) Midori & McDonald:ELGAR & FRANCK/VIOLIN SONATAS
4E(Cd) Holliger & Brendel:SCHUMANN/WORKS FOR OBOE AND PIANO
total m4 y1645 d5744