Thu 101028 又々・ウワバミの速攻闘病記 日本医大病院 一気に眼科部長♡医学部教授へ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 101028 又々・ウワバミの速攻闘病記 日本医大病院 一気に眼科部長♡医学部教授へ

 11月8日、御徒町の「吉野眼科クリニック」から外に出ると(スミマセン、またまた昨日の続きです)、正午を過ぎた空が明るい。この日は20℃まで気温が上がったのである。タクシーに乗って、「千駄木、日本医科大付属病院」と告げると、タクシーは不忍池を時計回りに、根津方面から千駄木に向かった。
 小春日和の暖かい日光を左の車窓から浴びつつ、「どうやら、助かったようだ」とシートで丸くなった。「薬を飲みつつ様子を見る」というどっちつかずの対症療法ではなくて、外科手術で抜本的かつハードな治療に耐えることになるが、そうと決まれば必要なのは肉体の痛みに立ち向かう覚悟だけである。
 手術の最中は激しい苦痛があるだろうし、術後も痛みは続くだろう。療養が長くなれば、忍耐力も必要になる。しかしとにかく苦痛を耐え忍ぶ覚悟さえあれば助かるのだから、鈍感なクマどんとしては、小春日和の日の光の中で、しばし丸くなって怠惰を楽しんでいたいのであった。
18日1
(本日11月18日の今井君1。右眼はずいぶん回復して、視力も上がってきた)

 10分で千駄木に到着。思ったより病院の規模は小さいが、覚悟を決めて外来受付に保険証を提出。こういう場所では「さて、長い1日が始まるぞ」という諦めが必須である。普通なら3~4時間ここで待たされて、周囲のおじいちゃん&おばあちゃんの世間話と病状自慢をイヤというほど聞かされる。3時間後にやっと関所のカンヌキが開けられて「では、眼科外来にお越し下さい」ということになる。
 しかし眼科外来の入り口にまたまた関所があって、そこで再び1時間か1時間半じっと耐え忍ばなければならない。その間にも網膜はじわじわ&ジリジリ剥離し続けるのである。そういうことに耐えられるかどうかは別として、その古典的♡カフカ的♨悪夢的♠状況にとにかく耐えなければ「一気にハードに外科治療」というウワバミどんの目論見は崩壊するのである。
18日2
(本日11月18日の今井君2。手術後10日が経過した。おお、右眼も外見はそろそろ普通か)

 ところが、見よ、期待以上の「紹介状効果」である。不謹慎ではあるが、あえてその言葉をつかわせていただけば、ほとんどVIP扱いである。外来総合受付の電話の受話器に、赤いインクでデカデカと今井君の来訪を予告するポストイットが貼付けられている。チラ見すると「網膜剥離で緊急手術の患者が12時半頃に来訪」の旨が大書されている。顔を見せただけで「はい、すでに連絡を受けて、眼科で準備をしておりました」という信じがたい嬉しい返事が返ってきた。
 VIP扱いはどこまでも続く。エレベーターで5階に上がって左、そこが目指す眼科外来である。窓口前にはズラリと患者さんが待っているお馴染みの光景があったが、ここでも一切待たされることなく「すぐに中へどうぞ」。診察室には若い医師たちの狭いブースがまたまたズラリと並び、それぞれのブースの前にも患者さんたちが治療を待っているのだが、これまた素通りして「奥へどうぞ」である。
 周囲の患者さんたちの嫉妬と羨望、いや既に「垂涎」と言ってもいい視線を感じながら、奥の診察室に一気に進む。タクシーを降りてから、一度もソファに腰を下ろすことなく、待合室に入ることもなく、手持ち無沙汰でウロウロあたりを歩き回ることもなく、ホントに一気に、一番奥の診察室までたどり着いた。事態は、今井君本人が考えていた以上に緊急を要していたのだ。
11日
(1週間前、11日の今井君。手術で切開した右の眼球はまだ真っ赤だった)

 手前の狭い診察ブースに座っているのは、20歳代後半から30歳代前半の若い医師たちである。それに対して今井君が案内された「一番奥」に鎮座するのは、眼科部長の医学部教授。ドラマや映画の「白い巨塔」で石坂浩二が演じ、唐沢寿明が人生の最終目標とした、憧れの「医学部教授」である。今まで、現象としてこの世に存在することは知っていても、現実の存在としていきなり目の前に姿を現した医学部教授を、今井君は圧倒されて眺めていた。
18日3
(18日。よく見るとまだ右眼は真っ赤、異物感も消えない。1日中片目を閉じての生活、つまづいて転びそうになることも多い。明後日20日の船橋講演会は、念のため白い眼帯をしていく予定だ)

 沈着冷静を少し通り越して、皮肉にさえ聞こえる突き放した言葉の信頼感はさすがである。疲れた微笑がますます信頼感を高める。50歳代半ば、というところか。淡々と診察を進め、症状を分析し、「既に手術しかない重症」であることを静かな口調で説明する。熱血とか情熱とか興奮ということの愚かさを、今井君は普段の講演会で訴え続けているが、患者や生徒の立場の者が最も欲している信頼感は、こういう落ち着いた冷たい自信からしか生まれないのである。
 手術の手順と、術後の治療計画と、回復への道筋と、患者としての心構えを、15分ほどかけて教授は淡々と説明。もちろん今井君が優秀♡であるせいもあって♠1回の説明で医師と患者双方に大きな信頼が生まれた。この15分が手術成功の決め手だったかもしれない。手術は翌9日午後1時から1時間。教授自身の執刀、アシスタントとして医局員も多く参加して行うことに決まった。