Tue 101026 続々・ウワバミの速攻闘病記 11月8日早朝「いよいよ病院に行く」と決断 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 101026 続々・ウワバミの速攻闘病記 11月8日早朝「いよいよ病院に行く」と決断

 「これは放置できない」「放置すれば取り返しのつかない事態に至る」とハッキリ認識したのは、11月8日月曜日の早朝である。
 この1週間、右眼の視界を覆い尽くしていたサンドストーム。砂嵐の中を絶えずヒラヒラ踊り回る16分音符2個。2個が絡まり合って連符♫状態になり、裏返ってみせたり、裏返る瞬間、照明を反射して白く黄色く輝いたりする。読書にも集中できず、パソコン画面にも砂嵐が現れ、7日夜は暗澹たる気持ちで早めにベッドに入った。
 8日早朝3時半、ふと目が覚めて、砂嵐と16分音符が夢のように消滅していることを期待しつつトイレに立った。もちろん期待は脆く崩れて、白い便器の中にはやっぱり♫君が翻り、砂嵐はいっそう頑固に立ちこめている。「何だか少し薄らいだような気がする」という自己欺瞞も、すでに全く通じない。
手術翌日
(手術翌日の危ないオヤジ)

 何よりもギョッとしたのは、右眼の左上隅に丸い黒い影が差したことである。気にしないフリをすれば気にしないでいることも出来るし、「そんなものは見えないよ」と自ら欺こうとすれば「見えない」という結論にしてゴマかしてしまうことも出来る。しかし3分か5分経過して、その自己欺瞞を忘れた頃にもう一度右眼の左上隅に注意を集中すると、やっぱり丸い黒い影が差している。
 大きな黒いゴミがマブタの上に乗っかっている感覚である。小指の先ほどの半円形の黒い影で、思えば「黒い影が見えるような気がする」と無意識に感じたのは既に3日も4日も前なのだ。見えないフリでここまでゴマかしてきたけれども、小指の先の大きさで、いよいよマブタにも心にも重く大きく暗くのしかかってきた。もっと正確に言えば、黒い影の領域が少しずつ拡大して、ついにゴマカしきれなくなったということである。
 試しに黒い影の周辺で右手の人差し指をウネウネ動かしてみると、確かに黒い影の周辺だけ指の動きが視界から消える。いよいよ、間違いないのである。もう逃げられないし、ゴマかすこともできない。自己診断ではあるが、これはハッキリ網膜が剥離しかかっているのだ。状況は想像以上に悪い。想像以上に切迫している。There is little time leftである。
花とくま1
(少女まんが「花と蜜グマ」より)

 映画「APOLLO 13」で、爆発事故直後の宇宙船の船長ジム・ラベル(トム・ハンクス)が「There is far less time than we expected」と絞り出すように呻くシーンをまず思い出した。The Phantom of the Opera(オペラ座の怪人)の続編Love Never Diesの中で、すっかりマジメな一般人に生まれ変わった怪人(何だそりゃ)が、差し迫った殺人を予知して「There is little time left!!」と叫ぶシーンがあるが、それも思い出した。
 怪人どん、自分の愛情が若い女に受け入れられないからと言って、かつては平気で殺人予告したり、実際にヒトを殺したり、やりたい放題だったクセに。続編での「怪人の善人ぶり」は驚くべきものがある。しかしとにかくThere is no time leftのシチュエーションは同じである(ぜひTSUTAYAでDVDを借りて確認してくれたまえ)。
花とくま2
(別冊マーガレットに掲載してもいい「花と蜜グマ」。なお花は、手術当日夕刻に東進秘書室から病室に届いた。つまり、生徒諸君からいただいたということである。感謝&感謝である)

 さて、いったん「逃げられない」「立ち向かうしかない」と判断した今井君は、自分でも信じがたいほど強い。きわめて頼もしい。「頼りがいのある自分」なのである。まず、網膜剥離についてネットで症状を確認。諸症状から「間違いない、網膜剥離だ」と判断。黒い影の拡大と、目を閉じても黒い影の部分がボンヤリ明るく光って見えることが、まさに代表的症例にピッタリ重なる。最大の問題は、♫でも砂嵐でもなくて、この黒い影なのである。
 ならば、どうしても今日中に対策をとらなければならない。しかも「薬を飲んで様子をみる」という類いのナマヌルい対策ではなくて、抜本的な対応策、要するに一気に外科手術にもっていってハードに治療すること、黒い影と♫と砂嵐を一掃してしまうこと。そのためには朝一番で行動を起こすことが絶対条件であって、ここで少しでも躊躇すれば、右眼の失明に直結する。まさに一刻を争う事態になったのである。