Sat 101016 プラハ最終日 ハイライトはいつもお船 みんな寝んね ラスト2匹のネコ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 101016 プラハ最終日 ハイライトはいつもお船 みんな寝んね ラスト2匹のネコ

 こうして、今年1月から書き続けた中欧東欧旅行記は、ようやく最終日/12月27日になった。さすがに書いている自分自身でも、ずいぶん非常識な旅行記を書いてしまったものと思うが、ま、それがブログというものである。
 プラハの最終日は、朝がユダヤ人地区。午後から「もう1度じっくり見たい」と考えた聖ヴィート大聖堂にトラムで上がり、夕方の気配が濃厚になる午後2時からモルダウ河の遊覧船に乗った。お船に乗るのは、セーヌ・テムズ・ポルトのドウロ河・ライン河、ヨーロッパのどこに行っても観光のハイライトである。
 ヴェネツィアなら、別にゴンドラじゃなくても、ヴァポレットを乗り回してリド島やムラーノ島やブラーノ島に遠出すれば、3日券で3日丸々遊んで、まだ足りないぐらいだ。コモ湖でもマッジョーレ湖でも、とにかくお船に乗らなければ話にならないのである。
 さすがに今度の旅行では、ウィーンでもブダペストでも極寒のドナウ川だったから、お船に乗って遊ぶのは無理だったが、クリスマスのプラハはまるで雪解けの頃のような暖かさと麗らかさに満ちている。モルダウ河には波もなく、河岸にも雪は全く残っていない。最終日をお船で遊覧して過ごすには、最高の状況が整っていた。
ヴィート1
(プラハ、聖ヴィート大聖堂 1)

ヴィート2
(プラハ、聖ヴィート大聖堂 2)

ヴィート3
(プラハ、聖ヴィート大聖堂 3)

 いろいろなコースが考えられる中から今井どんが選択したのは、ユダヤ人地区の北から乗船してカレル橋まで河を遡り、カレル橋をくぐったところで反転して元に戻ってくるコース。このコースなら、お船に乗ってすぐ、まだ緊張感のあるうちに、夕陽をバックにしたプラハ城を右に眺め、カレル橋の雑踏を見上げ、プラハ総集編というか、プラハ総括というか、楽しかったプラハ5日間の総まとめができるのである。
 今井君はたいへん飽きっぽい。柿の木にのぼっても、すぐに柿の実に飽きてしまうクマどんと同じことである。せっかくお船に乗っても、20分も経過すれば興味はお船以外のところに向いてしまう。一応は風景を眺めていても、心の中はと言えば「どの店に入って、どんな酒を飲むか」に流れて行くのである。だから、何でも早め早めに回っておくに限る。子供みたいにお船の一番前のテーブルを占領し、めったやたらにモルダウの写真を撮りつつ、「総まとめ」「総復習」に取り組んだ。
モルダウ1
(夕暮れのカレル橋、モルダウに浮かぶお船より)

モルダウ2
(夕暮れのプラハ城、モルダウに浮かぶお船より)

 この考えは見事に当たっていたので、モルダウのお船は前半に集中しなければガッカリするだけである。どうガッカリかは経験してみなければわからない。往復全行程1時間ほどのうち、他のヨーロッパ人の乗客たちも、盛り上がっていたのは最初の15分ほど。カレル橋で折り返し、北上を開始してからは、もうみんな居眠りを始めた。それもちょっとやそっとの居眠りではない。「昨夜の寝不足を取り返そう」という意気込みでなければ不可能なぐらいのタイトな眠りがそこいら中に溢れた。
 今井どんは、いったんハシャいでコグマのようになれば、もうどこまでも楽しくて自分が止められなくなる困った性格の持ち主。しかしモルダウのお船では、余りの退屈さに思わず2度3度とコックリした。船はエンジンを止め、穏やかなモルダウの流れに身を任せるように、ただ下流に向かって流れ、漂っていくだけなのである。
 夕暮れの温かな河の水が船底や船の腹にぶつかって、トプリトブリ暢気な音を立てる。いくつもの橋をくぐり、いくつものお船と行き違い、お船の中ではもう誰も口を開かず、誰もカメラのシャッターを切らず、売店はあっても誰も何にも買いに行かず、穏やかに、どこまでも穏やかに、お船は1時間ののち元の桟橋に戻ったのであった。
モルダウ3
(夕暮れのカレル橋付近、モルダウに浮かぶお船より)

 もちろん、夕食はドゥヴ・コチェックである。5日のうち4日この店に来たことになる。アコーディオンのオジーサンも、困ったようにこちらに視線を向けてニコニコしている。店のヒトたちもみんな困ったように「おお、日本のシャルドネさんが、また来たよ」という目配せをしている。天井近くの2匹のネコの置物たちも、今にもニカニカ笑いだしそうである。
しろ
(ニャゴロワ プラハ版)

くろ
(なでしこ プラハ版)

 最初の晩に出会った愛想のいい店員のオニーサンとオバサンは、今日はお休みの日らしくて姿が見えない。残念なことに、最終日の今井どん担当は、ちょっと不機嫌そうな別のオバサンなのであった。しかし最後の最後、お勘定も全部済ませた後で、普通の人は入れない厨房に入れてもらって、厨房の壁に描かれた2匹のネコのオリジナルを写真に撮らせてもらったのが嬉しかった。
 2010年9月、スペインのバルセロナで「クアトロ・ガット(4匹のネコ)」という店の入り口まで行ってみたけれども、こちらは「若き日のピカソがよく通った」という逸話はあっても、ホントにネコが好きなヒトがやっている店という感じはなかった。「ピカソにオンブにダッコ」、それだけのことである。それに比べてプラハの2匹のネコたちはホントに幸せである。あれから1年近く経過するけれども、今夜もまたネコの大好きなプラハのお客たちが、みんなニコニコしながら黒と白のネコたちを見上げているだろう。
厨房で
(厨房の2匹)


1E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 5/18
2E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 6/18
3E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 7/18
4E(Cd) Sinitta:TOY BOY
total m55 y1618 d5717