Sun 100926 イタリアンオヤジ追跡に疲労 レストラン入口比較 兵士シュヴェイクの冒険  | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 100926 イタリアンオヤジ追跡に疲労 レストラン入口比較 兵士シュヴェイクの冒険 

 12月25日の今井君は、プラハ聖ヴィート大聖堂でのイタリアン・オヤジ追跡に疲れ(昨日の記事参照)、城の上り坂を登りすぎて疲労し、午後3時半にはもうヘトヘトであった。昔からヘトヘト熊さんはエサを食べたくてウロウロするものと決まっていて、モルダウ河のこちら岸をエサ場を求めて右往左往し始めた。
 日が沈んで、そろそろあたりも暗くなってくる。しかし、午後4時というのでは時間が早すぎて、クマのエサ場はまだ昼食時間が終わったばかり。クマどんの大好きなお酒をゆっくり飲めるようなお店は、なかなか見つからない。
カフカミュージアム
(プラハ、カフカ・ミュージアム)

 クマどんがいろいろ欧米を旅行していて、メシと酒の面で一番楽なのはやっぱりイタリアである。レストランのそばで困った顔でウロウロしていれば、どんな田舎町であっても、あっという間に愛想のいいウェイターがメニューを広げて現れ、「プレーゴ」「プレーゴ」を繰り返しながら、どんどん席まで連れて行ってくれる。深夜早朝を除けば、いつだって客をもてなそうと身構えていてくれる。国全体が旅行業とサービス業に染まっているのである。朝日新聞だけが大騒ぎした「ボッタクリ事件」などというのも2009年夏には発生したが、まあよほど気の弱いヒトでなければ、そういう心配はする必要はない。
 スペインも事情はほぼ同じであって、やっぱりレストランの入り口あたりで物欲しそうな顔をしていれば、陽気なウェイターが「何だ、メシ食いたいなら素直に入ってくればいいだろ」という態度で迎え入れてくれる。ただし、スペインは昼食2時以降、夕食8時以降であって、その時間を外した場合「変わった客」「表六玉&シャボン玉」の扱いは免れない。
ダメ店からの眺め
(お腹を空かせて歩き回った時刻のモルダウ河とカレル橋)

 フランスだと、ウェイターは飛び出してこないし、陽気に声もかけてくれないが、その代わりいつでもたくさんのテーブルと椅子が、ニコニコしながら「座りなよ」と誘いかけている。あとはこちらが遠慮しないで腰を下ろせばいいので、腰掛けて3分もキョロキョロしていれば、別に呼ばなくてもウェイターが相手をしに出てくる。
 ちょっと不承不承な顔をしているような気がしても、客に向かって変にニコニコする必要もない訳で、要するに真面目な顔で真剣に接客しているだけである。ドイツも同じような感じで、出ているテーブルに遠慮せずに座れば何とかなる。
 イギリスとアメリカはそうはいかなくて、自分でドアを開けて積極的に行動しないと受け入れてくれない。イギリスのパブでも何でも、自分からドアを開けて、何を欲しているか自分でしっかり伝えないと、向こうから救いの手をさしのべてくれることはない。今回のブダペストやプラハも英米流であって、要するに余りに寒すぎるから、ドアをピッタリと閉ざして寒気の侵入を防いでいるのである。
svejk正面
(SVEJK。この店がよさそうだ)

 以上のような状況で、プラハの午後4時、クマどんは酒と夕食がほしい。店の人たちは「昼食の客がやっと帰った」とホッとして、仲間内で冗談を言いあっている。いわゆる「談笑」の時間。床やテーブルを掃除したり、ディナーの時間に備えてテーブルをセットしたり、そういう和やかでけだるい時間帯である。
 「ディナー客が押し寄せるまで、まだ3時間ぐらいある」というけだるさと安心感の中での談笑を、ちょっと思い浮かべてみたまえ。そこに堂々と入っていって、ビールとワインを驚くほどたくさん注文する東洋の表六玉&シャボン玉。談笑のおジャマ虫。それが今井どんである。うーん、つらいシチュエーションである。ま、こういうことにも、もうすっかり慣れてしまった。
 プラハ滞在中の夕食で「ドゥヴ・コチェック」以外の店に入ったのは、この夜だけである。入ったのは、カレル橋のたもと(関西風に言えば「西詰」だが)の「SVEJK」。チェコの作家ヤロスラフ・ハシェクの小説「兵士シュヴェイクの冒険」というのがあって、その主人公の名前がSVEJK。これでシュヴェイクと発音するらしい。岩波文庫でも栗栖継訳の4巻本が出ている。店の中には、愛すべき兵士シュヴェイクの有名な挿絵がたくさん飾られていた。
 カフカもいいが、ハシェクのこの小説は楽しそうだ。善良で愚直な兵士シュヴェイクが、上官や同僚を爆笑に巻き込み、第1次世界大戦を笑い飛ばしながら生き抜いていく。筑摩書房だと「世界ユーモア文学集成」みたいなシリーズに入っているというから、難しくはなさそうだ。「チェコだから、何でもカフカ」ということにしないで、たまにはハシェクにつきあってみるのも悪くない。
svejk看板
(SVEJK、看板にもシュヴェイクの顔がある)

svejk店内
(SVEJK、店内にもシュヴェイクの挿絵がある)

svejk料理
(SVEJK。出てきた料理が得体の知れないものでも、ビールとワインがあれば文句はない)

 もちろん、今井君はこういうことを全部知った上でこの店に入ったのではない。午後4時過ぎの段階で、ランチの継続であろうと何であろうと、とにかく営業中のヨサゲな店を探し求めて、たどりついたのがこの店だったというだけである。
 この店に入る直前、モルダウ河の川縁の店に、見た目だけで選んでいったんは入ってしまった。ところがウェイトレスに案内された席は店の一番奥、コートも置けない窮屈な席である。モルダウ河もほとんど見えないし、カレル橋ももちろん見えない。メニューを開くと、ワインというワインがすべて今井どんの予算を超えている。今井君は楽しく飲めさえすれば別に銘柄などにこだわったりしない。日本なら7000円、ヨーロッパなら50ユーロを超えるようだと、「ちょっと高すぎないか?」と躊躇するヒトなのだ。
 というわけで、大慌てでその店を出た。というより、逃げ出した。狭所恐怖症でも発症しかねないあんな狭苦しい席で、10000円近くもするワイン相手に四苦八苦するより、善き兵士シュヴェイクに付き合ってもらってガハガハ笑いながら安酒をあおる方が遥かに性に合っている。
夜のプラハ城
(カレル橋東詰から見た夜のプラハ城)

夜のティーン教会
(12月25日夜のティーン教会とクリスマスマーケット)

 大いに飲んで、ホテルまでのんびり歩いて帰った。クリスマスマーケットはまだまだ続いている。というか、23日24日と比較しても、ますます盛り上がってきたようである。

1E(Cd) Luther Vandross:NEVER LET ME GO
2E(Cd) Luther Vandross:YOUR SECRET LOVE
3E(Cd) Luther Vandross:SONGS
4E(Cd) Luther Vandross:I KNOW
7D(DMv) DIE HARD
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