Sun 100919 海外編キレキレコレクション 北風と太陽 プラハ紋章コレクション | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 100919 海外編キレキレコレクション 北風と太陽 プラハ紋章コレクション

 こういう激しい情熱をキレキレと呼ぶなら(スミマセン、まだ昨日の続きです)、今井どんは海外でもチャンとキレキレ行動を怠らない。今井どんは決して内弁慶ではないのだ。
 昨年5月フランクフルトのホテルで、部屋に戻ろうとしたところをフロントクラークに呼び止められた。夜11時を過ぎていた。「実は水道管工事のために、お客様の部屋が今日から使えなくなった。ついては荷物をまとめて、別の部屋に移動してもらえないだろうか」というのである。まあ事情が事情だから仕方がない。
 ところが、言われたままに移動してみると、元の部屋よりずっとランクの下がる部屋である。下層階だし、面積も窓も小さい。うーん、これで今井君の闘志に火がつかないはずはない。約1時間にわたり思い切り頑張ってフロントクラークと交渉。ついにセミスイートを勝ち取った。
金のウワバミ
(プラハ紋章コレクション1 プラハ旧市街の老舗は、面白い紋章を店先に飾っている。これは「金のウワバミ」。ウワバミ君はこれを発見して嬉しかった)

 昨年9月、イングランド湖水地方のウィンダミアでも、フロントクラークを相手に闘志に火がついた。予定のチェックイン時刻が14時。ところが14時にフロントに行ってみると「まだ部屋の準備ができていない」。仕方がないなら、冷たい雨の降る中ウィンダミア湖畔を散歩。15時にフロントに戻ってみると「まだ準備が終わっていない」。
 昼食をたっぷり食べたので腹はいっぱいだったが、雨が強くなってきたこともあり、ホテルレストランのアフターヌーンティーで時間をつぶす。ところが16時にフロントに行くと「まだだ。待ってほしい」である。
 そのときフロントクラークがニヤリと笑ったので、「おお、これはいつも優しくて蚊の鳴くような声でしか話さない日本人が、全体として『バカにされている』とは言わないまでも、少なくとも『甘く見られている』のだ」と判断。正義感のスイッチが入り放題になって闘志のアドレナリンが噴火、優しい日本人をバカにしたり甘く見たりするようなマネは、今後一切できないぐらいの徹底抗議がここから始まったのである。
ウワバミ拡大図
(プラハ紋章コレクション2 金のウワバミ拡大図)

 こんなふうに破裂/爆発/噴火を続けてきた今井火山殿は、2010年10月初旬に至り、活火山から休火山に方針転換を決めた。深く深く反省して「ギラギラ」「コテコテ」の熱誠ぶりを転換しようと決めたのである。
 きっかけの1つは、尖閣諸島問題における中国首脳のイヤな表情と「こらしめ」発言である。その後ノルウェーが「こらしめ」対象になってくれたせいで、我ら弱腰♡柳腰♨小日本は中国大王様からお許しいただけたように見えたが、どうもそうではないらしい。いくら熱誠指導タイプの教師でも、ああいうイヤな表情になっているとしたら自ら進んで改めるに越したことはない。
くま
(プラハ紋章コレクション3 クマ。今井どんはこんな感じで生きてきた)

 もう1つのきっかけは、今年の6月末、偶然入った渋谷区桜丘のイタリアンレストランだったかもしれない。日曜日の夕方というのに、客はマバラで、入ったこと自体が表六玉という感じ。ところが30分後、今井どんたちのテーブルの隣に、明らかに「おなじみさん」「常連さん」の2人がやってきて、その瞬間シェフやウェイトレスの態度がガラリと一変したのである。
 あの猫なで声を、ブログ読者諸君にも聞かせてあげたい。プライドも何もかなぐり捨てて常連さんにスリスリすりよる彼ら彼女らの様子を、ブログ読者諸君にも見せてあげたい。おお、どんな惨めな態度をとってでも、「初めての客と常連さんでは、こんなに接客が違うのだ」ということを、彼らは常連さんに見せつけたかったのである。
わし
(プラハ紋章コレクション4 双頭の鷲。今井どんはこんなつもりで生きてきた)

 そのときである。それまでなら正義感に火がつき、闘志のスイッチが入り、レストランの接客のあるべき姿について、激しい熱誠指導を始めていたであろうウワバミどんの心の奥で、何かがポキリと折れる感覚があった。
 これは、日本の劣化である。ここまで劣化した日本は、厳しい闘志に耐えることはできない。必要なのは笑顔である。もちろんその店にはもう2度と足を運ぶことはないだろうが、日本の劣化を如実に感じさせてくれたことには大いに感謝する。
 「あいつ、キレたぜ」と冷笑/失笑/嘲笑するのは易しいし、こういう行動を「クレーマー」と呼んで批判するのも簡単だ。しかし、事態のすべてを放置し、正義よりナアナアを優先するのは、よいことでは絶対にないとクマどんは考え続けてきた。若い人たちまでナアナア優先でゴマかしてばかりいるのはダラしないし、「むかつくぜ」「チョー、腹立たネ?」とか呟いて、壁やドアに当たり散らしているだけでは、ちっとも事態は改善しないではないか。クマどんは、ずっとそういう主義で積極的に生きてきた。
 ところが今回、今井君が「永遠に封印しよう」と決意したのは、まさにこの種の、一種ハタ迷惑な教育の熱情であり、闘志であり、闘争心の噴火である。「キレキレ禁止」「温厚温和おじさま宣言」とは、闘志のスイッチを入れず、闘争心をむき出しにすることをヤメにして、正義感をアカラサマにしないことである。
ひつじ
(プラハ紋章コレクション5 ひつじ)

ぶどう
(プラハ紋章コレクション6 ぶどう。まもなくプラハ紀行を再開いたします)

 ありゃりゃ、書いてみると何だか寂しい。しかしとにかくニュー今井は、あらゆることにニコヤカに対応するように心がける。熱いマグマは、あくまで深く深く沈潜させなければならない。
 やってみると、これが思い切り楽しい。以前なら闘志にスイッチが入ったであろうシチュエーションで、ニュー今井は「よし、ここで一気にニコヤカに」とニコヤカ・スイッチを入れる。うーん、ニュー今井のニコヤカ・スイッチねえ。書いてみると「恥ずかしい」というより「キモイ感」が強いが、おお、見よ、このスイッチで状況は一気に改善して、相手の行動はまさにこちらの思うままになる。「北風と太陽」とはこういうことだったのかと、思わずうなずく日々なのである。

1E(Rc) Solti & Chicago:DEBUSSY/LA MER・PRÉLUDE A L’APRE MIDI D’UN FAUNE & RAVEL/BOLERO
2E(Cd) デュトワ&モントリオール:ロッシーニ序曲集
3E(Cd) S.フランソワ& クリュイタンス・パリ音楽院:ラヴェル/ピアノ協奏曲
4E(Cd) Paco de Lucia:ANTOLOGIA
7D(DMv) CASANOVA
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