Thu 100916 授業収録ほぼ終了、忙しい4ヶ月だった 大学入試英語の変貌と成長を実感 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 100916 授業収録ほぼ終了、忙しい4ヶ月だった 大学入試英語の変貌と成長を実感

 8月初旬/8月中旬/9月下旬から10月初旬にかけて、今井君としては前代未聞に頑張って授業収録に励んだ。名古屋大学対策講座20コマ分と、名古屋大学/三重大学/熊本大学/岡山大学/広島大学の入試問題解説講座をそれぞれ3年分である。解説講座1回分を3コマと見なせば、20+5大学×3コマ×3年=20+45=65コマ分を一気に収録したことになる。
 おお、頑張った、頑張った。これこそ「自分をほめてあげたい」である。どうして自分で自分をほめるかといえば、誰もほめてくれないからである。65コマ分、一つの例外もなく初めて扱う教材である。初めて扱う教材なら、当然たっぷり予習の時間がかかる。1コマ分で2時間は予習が必要だから、単純計算で130時間も予習したことになる。自分のネグラでコツコツ予習に励むクマどんを想像してみたまえ。あまりにも健気で、やはり自分をほめてあげずにはいられない。
 前にも何度か書いたことがあるが、予習というのは「何の説明を省くか」の検討のことである。知っていることや思いついたことを何でもいいから詳細に語ったりすれば、たった1問の読解問題の解説に2時間でも3時間でもかかってしまう。お得意の英語トリビアを語って自分一人で悦に入っていれば、予備校の定番「テキストが半分しか終わらない」という醜態を演じることになりかねない。説明したくてたまらない事柄でも涙をのんで説明を省略し、挿入すべき雑談も予習の段階で厳選しておかなければならない。
すねる1
(ほめてもらえなくて、スネてみせる猫)

 そういうわけで、8月から9月の今井君は限りなく勤勉であった。朝4時か5時には起床して、9時すぎまで予習に没頭。その後じっくりお風呂に入る。変な癖であるが、どうしてもお風呂で文学全集を読みたいので、入浴は2時間近くになる。ここで体重が1kg減少する。もちろん減ったのは水分だけなので、直後に水分を摂取すると体重は元通りになるのであるが、こういう生活を続けていたら、ひと夏で体重は4kg減少した。
 8月中旬にはロンドン、9月初旬から中旬にはバルセロナ、そういうお楽しみを巧みに挟み込みながらだから、この夏の忙しさは半端ではなかった。「そんなに遊んでばかりいるから、忙しさは当然の報いだ」と厳しいことを言う人もあるが、たとえ予備校であっても語学を教えているのであるから、海外を飛び回って話題を増やすのも仕事の一部分と考えていい♨。
 とすれば、6月下旬の講演会ラッシュから、もう4ヶ月近く休みなしに飛び回っている計算になる。なのに、誰もほめてくれない。「いいですね、国内も海外もたくさん旅行に行けて」「いいですね、毎日毎日いろんなところでご馳走にお酒に、目一杯楽しんでいらっしゃるようで」と、少なからず皮肉な顔をされるばかりだ。ま、ブログでそういうふうに書くからいけないで、他人にほめてもらいたかったら、自分の苦しさなり苦労なりを青息吐息で告白して、額の汗をつらそうに拭ってみせるポーズも必要かもしれない。
すねる2
(スネる猫、背中の拡大図)

 「ほめてもらえない」という嘆きは、大学の入試問題作成者からも漏れてきそうである。この夏、広島大や岡山大の問題を3年分ずつ解説して痛感したのは、「あれほど評判の悪かった入試問題が、どれほど改善したか」ということであった。マスコミも、その他のメディアも、「入試問題は重箱の隅をつつくようなツマラナイ出題ばかりだ」という認識で一致。特に英語の入試問題はヤリダマに上がりやすく、「入試英語があるから日本人の英語力は上がらない」という結論にされやすい。
 世論の動向も同じことで、実際の入試問題を検証してみることもせずに「重箱の隅」「受験テクニックばかり」と吐き捨てれば、もうそれで終わりである。しかし、諸君。広島大の過去問3年分をちょっと眺めてみたまえ。岡山大の3年分を眺めてみたまえ。もしよかったら、東進のデータベースにあたるなり、書店で赤本を開くなりして、「これがホントに重箱のスミと批判されなければならない出題か」「ホントにこの問題のせいで日本人は英語が話せないのか」をマジメに考えてみた方がいい。
お魚の夢
(お魚の夢をみる)

 あくまで今井君の意見であるが、広島大/岡山大に限らず、名古屋大でも熊本大でも、入試問題はこの5~6年で大きく進化した。今や「この問題を解くための努力をすれば、そのまま日本人の大好きな『使える英語』に直結する」と断言していいほどになったのだ。「受験勉強をすればするほど、英語を話せるようになる」なら、ホントに素晴らしいことではないか。
 試しに、広島大の自由英作文問題を3年分、自分で解いてみたまえ。1年分で150words、3年分で500words近くの作文を書かなければならない。自分で解くのが面倒くさければ、誰か英語の話せる人に解いてもらって、これが重箱の隅かどうか判断してもらえばいい。「英語トリビア」と「こなれた日本語」と「訳し方の鉄則」が売り物の予備校講師ではもうマトモに教えられないんじゃないか。そういう入試問題の変貌と進化に、みんな驚くに違いない。
努力の継続
(配線屋さんの努力は今日も続く)

 メディアの人たちには、実際に2010年の出題を見てもらって、その上で意見を述べてほしいのだ。彼らの意見は、彼ら自身が受験生だった20年も30年も前の経験に基づいて形成されている。20年前の中国を見て中国を語り、30年前のソ連を見て21世紀のロシアを語るのが間違いであるのと同じように、25年前の自らの受験体験をベースに21世紀の大学入試を語るのもまた間違いである。
 まず、広島大学と岡山大学の出題者をチャンとほめてあげてほしい。受験生の学力の現状からいささか乖離し、難度を上げ過ぎているキライはあるにしても、出題者全員でマジメに討論を重ね、マジメに良問を作る努力を継続する姿が見えるようである。「我々の求める英語力とは何か」について、彼らは入試問題作成を通じて社会に発表しているのだ。
 名古屋大/熊本大/岡山大は、詳細な採点基準や模範解答例の発表を始めている。駿台の伊藤和夫師をはじめとする予備校講師が何十年も要求し続けたことが、とうとう実現し始めたのだ。こうした大学側の努力には、敬意を表すべきものがある。

1E(Cd) Midori & Mcdonald:ELGAR & FRANCK VIOLIN SONATAS
2E(Rc) Collegium Aureum:VIVALDI/チェロ協奏曲集
3E(Rc) Elly Ameling & Collegium Aureum:BACH/HOCHZEITS KANTATE・KAFFEE KANTATE
4E(Rc) Backhaus:BACH/ENGLISH SUITE・FRENCH SUITE
7D(DMv) NOTTINGHILL
total m61 y1501 d5600