Wed 100908 逢魔が時の銀座で戦後のドサクサに出会う ヒルトンの寿司屋で情報交換 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 100908 逢魔が時の銀座で戦後のドサクサに出会う ヒルトンの寿司屋で情報交換

 銀座コリドー街の裏、高速道路だか新幹線の線路だかの地下に、戦後のドサクサそのままの暗い通路が延々と続いている。中には寿司屋もあるし、小さな観光会社の事務所もある。「この通路はどこまで続いているのですか」と宙に向かって尋ねれば、「昭和ですよ」「昭和30年あたりですよ」という声が返ってきそうである。
 後でグーグってみたら、この通路は「インターナショナルアーケード」。昭和37年に完成だから、実は戦後のドサクサでは決してなくて、東京オリンピックに向かって高度成長の真っただ中のころのものである。寿司屋は「千石八郎の店」というサブタイトルつきの「寿司清」。これもまたグーグってみると、千石八郎は元演歌歌手。「寿司清訪問記」みたいなブログ記事もあって、どうやら名店らしい。
寿司屋
(よくわからないが、とにかく「千石八郎の店/銀座寿司清」)

 非常に古式ゆかしい床屋を発見して、試しに入ってみようと思ったが、主人は本心から済まなそうな表情で「ああ、30分以上お待たせすることになりますよ」。やむを得ないものはやむを得ないから、床屋はあきらめることにした。
床屋
(古式ゆかしい床屋さん・ミカド)

 こんな薄暗い通路を、カッコいいOLさんやカッコよくないOLさんが平気で闊歩している。カッコいいビジネスマンやカッコよくないサラリーマンも、平気で爪楊枝をくわえて歩き回っている。どうやら、慣れてしまって日常に変われば、銀座の真ん中にこういう戦後のドサクサが残っているのも別に不思議には感じないのだろう。
 ウワバミどんが「戦後のドサクサ」という言葉をつかったのは、大阪全日空ホテルの窓から北新地の屋根が続く風景を見下ろしたとき以来である。銀座にせよキタにせよ、日本文化遺産「戦後のドサクサ」というシロモノには、大都会の真ん中の逢魔が時に(パソどんの変換は「おウマが時」である。よほど競馬がお好きなパソコン君らしい)思いがけず出会うものなのである。
 魔に逢う時間帯だから、逢魔が時(当たり前でスミマセン)。泉鏡花の大好きな時間帯である。これに「マガマガしい」の語感を込め、大いにマガマガしいので「大マガ時」=「大禍時」。この地下通路を発見したのが秋の深まる10月初旬の18時ごろだから、銀座はまさに逢魔が時の真っただ中なのであった。牛タン屋から逃げ出した仙台四郎はこのへんに逃げ込んだのかもしれないし、通路の薄暗闇から人攫いの影がさしても少しもおかしくない、なかなかの雰囲気である。ただし、下水臭い。こんなにドブ臭くては、せっかくの人さらいや仙台四郎もあんまり長時間とどまっていられそうにない。
銀座逢魔が時
(銀座、逢魔が時の地下通路)

 翌日は夕方から新宿で飲み会。ヒルトンホテル2階の寿司屋で、2時間ほど商売仲間の情報交換にいそしんだ。どういうメンバーだったか、どういう内容の情報交換会だったかについては、もちろん企業秘密であって公開できない。2年半前にブログをスタートさせた時からの基本方針で、おなじみ「友人知人と家族のことについては、迷惑がかかるといけないので一切書かない」のである(080605参照)。
 情報交換に忙しかったので、寿司屋で初めて「おまかせで」をやってみた。今井君は寿司ネタにそれなりにこだわるので、この年になるまで「おまかせ」などという無責任な食べ方をしたことがなかった。第一、おまかせにして寿司職人とのやりとりを最低限に限定し、自分たちの会話だけにひっそり集中してしまうというのは、なんだか職人に対して失礼なのではないか、まあそういう気難しいことを考えていたのである。
 次々に出されるおまかせ寿司に対して、何でもかんでも「あまーい」「あまーい」を連発し、身をよじり腕をよじって「うーーんんん!!」といちいち悶絶寸前、そういう安いグルメ番組みたいな食べ方は、どうしても避けたいのだ。ホントに気難しいウワバミどんである。
 しかし実際にやってみると、「まあこういうのも悪くないか」という感じ。「商売仲間の情報交換」もしっかりできたし、寿司も大いに旨かった。滅多に食べない白身の魚が思いのほか旨くて、4合瓶の「八海山」もあっという間になくなった。情報交換が忙しくなければ、やはり1個1個ネタを注文するほうが好きだが、まあ「たまにはおまかせもいいかね」である。
 すっかり満足して、「もう1軒行きますか」はいつも通りのパターンである。ヒルトンホテルのお隣、ハイアットリージェンシー(ついこの間まで「センチュリーハイアット」だったが)2階のバー「オー・ド・ヴィー」で、もう1時間ほど情報交換を続行することになった。このバーは、照明が暗すぎるのと名前が少し恥ずかしいことを除けば、好きなバーのうちの1つである。カウンターの手前を斜めにして腕を置きやすい構造になっているから、ウワバミどんのように長時間バーに座っているヒトにとっては、黒い革張りのこのカウンターはたいへんありがたいのである。
ハイアット
(サッカーファンがわらわら集まっていたハイアット・リージェンシーのロビー。2階「オー・ド・ヴィー」入り口より)

 ハイアットリージェンシーの車寄せ前には何だか人だかりが出来ていて、「おっ、誰が来てるんだ?」状態である。ロビーにも同じように浮き浮き顔の若者たちが集まって、首を長くして誰かを待ちうけている様子。この間は成田空港で観世清和と一緒だったばかりだし、福岡空港では「韓流スター来福!!」ということで(どの韓流スターかは知らないが)、空港の外までオバサマ連が人垣を作っていた。今井君は「有名人を呼ぶ男」でもあるのだ。
 バーテンダーに尋ねると「アルゼンチンのサッカーチームだそうです」とのこと。おお、つまり、メッシ様である(パソコン君、「滅私様」って?)。サッカーには余り詳しくないから、残念ながらメッシ様しか知らないが、アルゼンチンチームというだけでたいへんな大スターの皆様がいまこの同じホテル(しつこいようだが、パソコンの変換は「同じ火照る」であったことを付記しておかないと気が済まない)にいる、それを思っただけで大いに浮き浮きする今井君であった。

1E(Cd) Akiko Suwanai:DVOŘÁK VIOLIN CONCERTO & SARASATE
2E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 1/4
3E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 2/4
4E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 3/4
5E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 4/4
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