Mon 100906 久しぶりの丸々休日を丸の内の新丸ビルで過ごす丸々クマの丸々な昼下がり | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 100906 久しぶりの丸々休日を丸の内の新丸ビルで過ごす丸々クマの丸々な昼下がり

 10月5日、この10日ほどの雨がちな空が久しぶりに気持ちよく晴れたし、バルセロナから帰って以来ホントに久しぶりに丸々1日休みになったので、千代田線を二重橋前で降りて、丸の内から有楽町と銀座方面をブラブラ散歩することにした。
 すっかり秋になったといっても、東京にはいまだにこの夏の猛暑の名残が残っていて、10月初旬のこの日も最高気温は26℃。8月9月の「焦げ臭いほど」という暑さではないにせよ、「寒ければ寒いほど幸せ」という毛ムクジャラのクマどんにとっては、25℃を超える日はまだ十分に真夏のカテゴリーである。
 普段は昼食をとらないが、今日はせっかくだから新丸ビル7階の「MUSMUS」に入った。ムスムスという名前の通り、蒸し料理の専門店である。パソコン殿は「虫料理」という身の毛もよだつような変換をして平気でいらっしゃるが、もちろん「蒸し」料理であって「虫」とは何の関係もないから、そういう下らない変換はムシしていればそれでいい。
 ついでに言えば、パソコン殿が次の候補として掲げていた「無視料理」「無私料理」などというのも考えてみれば悪くはなくて、誰かとか何かとかをignoreして料理してみたり、私心のないunselfishな料理(パソコン殿は「指針のない料理」とずいぶんヤケッパチな料理を考えてくれたものだが)、そういうタイトルのふざけた芝居があったら観たくなるほどである。
 「夢死料理」でもいい。石川淳の小説「アルプスの少女」は戦後の日本人の酔生夢死ぶりを嘆いていたものであるが、「夢死料理」、下北沢あたりの小劇場でやる演劇としては悪くないタイトルである。
ニャゴのスキを狙う
(ニャゴのスキを虎視眈々と狙う)

 さて、閑話休題として本題に入るが、「蒸す」は料理の最新流行らしい。グルメ関係には甚だ疎い今井どんでさえ、蒸し料理の店は3軒も知っていて、
① 渋谷区幡ヶ谷、西原商店街の「蒸し八」
② 銀座と新橋の真ん中あたり、和服のお姉さま&オバサマが真っ昼間から「あーら、この頃お見限りねえ」と死語を連発し「同伴出勤」のお2人が行き交う、そのあたりにある「蒸しちゃいな」
③ そして丸の内、新丸ビルの「MUSMUS」
である。
 どうも名前に凝る傾向があるのが「玉にキズ」というか、まだ本格的な流行に至っていない証拠かもしれない。特に「蒸しちゃいな」は、実際に行ってメニューを見てみると、「あれれ、ただのコラーゲン鍋の店じゃん。蒸し料理なんか全然ないじゃん」という感じ。蒸し料理と中華料理の折衷なりコラボなりを期待していった弾む心(だって「蒸し」+「ちゃいな」なのだからこの期待は当然だ)は、入り口であえなく萎んでしまう。
ニャゴにスキはない
(しかし、ニャゴにスキはない)

 この日の「MUSMUS」も、行った時間が悪かったらしくて、蒸し料理はごくわずかしかない。確かに午後2時である。ランチのサラリーメンやOLたちの波が引いた後の閑散とした店に、ノコノコ入っていくヒマなオジサンのほうが悪いのかもしれないが、「この時間はランチメニューだけしかありません」というそのメニューが、余りにも貧弱である。事前に何度もHPを見て「蒸すということがどれほど素晴らしくて、蒸し料理の奥深さにどれほど驚くか」の講釈をタップリ読んでから出かけた身としては、「たったこれだけですか?」という点にしか驚きを感じないのだった。
 注文したのは、「鶏ゴボウの蒸し御飯」とサイドメニュー「蒸し野菜盛り合わせ」。要するに、余りにも普通のランチである。「蒸し野菜」は、ゴーヤとナスとキヌカツギと新ジャガ(我が友・パソ君は「しんじゃが」を「信者が」とやらかした。第2候補が「死んじゃが」。いつになったらもっとマトモな友人になってくれるのだろうか)。
 「塩をつけて」と言われたが、キチンと醤油で食べてみた。うーん、大したことはない。というか、要するに「その辺の野菜」である。「その辺のサラリーメン」「その辺のOL」と同様、「その辺の野菜」だってやっぱり大したことはない。今井君は幼稚園に入る頃から野菜なんか大キライ。その大嫌いな野菜が「湯気で蒸されました。熱くてたまらなかったです」と言ってムクれて出てきても、やっぱり大嫌いなだけである。
決戦のときは近い
(決戦の時が迫る)

 「お惣菜は取り放題です」と自慢気に示されたテーブルには、確かに4種類のお惣菜が放置されている。しかし、うーん、取り放題と言われても、コマ切れコンニャクを醤油で煮たものを、1個1個箸でつまんで小皿に移すのでは、あんまり「喜んで」という気持ちになれない。
 これではお酒もあまり進まなくて、ビール1杯、グラス赤ワイン1杯、日本酒(山口の酒「獺祭」)2合で終わりにした。もちろん、「なーんだ。お昼から十分に飲んでるじゃないですか」と言われれば、確かにその通りであって返す言葉はない。
 どうもこの店は、ランチではなくて夜の酒を楽しみに来るべき店のようであるが、逆に、夜だと店の雰囲気が平凡で物足りないかもしれない。おお、東京のサラリーマンの専売特許「逆に」であるが、大学の学生食堂のようなテーブル、学生食堂のような椅子、学生食堂のような安い装飾を施したガラス窓、そこから見える粗末な職員用階段。こんな状況で、例えば「目指せ、温厚なおじさま」の3~4人が、長時間にわたって大人しく蒸し料理を楽しみ、最後まで「キレキレなし」で我慢できるかどうかは、全く保証の限りでない。