Fri 100820 宴会もいよいよ佳境である 男爵の退場→公爵の登場 それでも私は飲む
しかも(9月16日のハナシはまだまだ続くのである)、テイスティングをした数学の志D先生の顔が歪んで、何だかしきりに悩んでいらっしゃる。昨日の記事のうち、先に注文した「ワイン男爵(仮名)」のほうだが、どうしても「一味足りない」「何かが足りない」「力がない」とおっしゃるのだ。吉N先生も顔を歪めて「おかしいよ」「こりゃダメだ」「オレ、これはダメだ」「うえ」と驚いていらっしゃる。安K内先生は楽しそうにニコニコしながら2人の様子を眺めている。
ワイン男爵を一口飲んだ今井君は、よくわからないが何だかサカナの味を感じた。そこで素直に「マグロの味がする」と言ってみた。マグロの刺身の味ではないが、コンビニで売っているツナのキューブの味である。イワシの刺身を一切れボトルの中に入れて、15回シェイクしてからグラスに注げば、こんな味になるかもしれない。ソムリエが最初注ぐときも「まだ少し若いので、広がりが出るまでに時間がかかるかもしれません」と、少し緊張気味に注いだのである。
(バルセロナ、モンジュイックのミロ美術館前で)
ワイン冒涜グマは、難しいことは全くわからないので、デパートの大食堂でお子様ランチを与えられたコグマよろしく、大喜びでふざけながらガブガブ飲みはじめた。ソムリエを含めて他の4人が深刻きわまりない顔で「いったい何が足りないのか」「どうすれば問題が解決できるのか」「グラスに他の匂いがついてしまったのではないか」を真剣に語り合っているのとは、好対照である。
「でも、オレはこれでいいですよ」「でも、やっぱりマグロの味を感じます」とふざけながら、遠慮なく飲んだ。それが吉N先生のブログにでていた「ワケのわからないことを言いながらガブガブ飲んでいる」というウワバミの描写のもとになった行動。何だか、せっかくのワイン男爵に退場が命じられそうで心配だったのである。せっかく開けたワイン男爵だ。最後まで飲んで初めて、コグマのメンツが立つというものだろう。
でも、そのうちに「何だか香りがおかしい」「温度がこのワインに合わなかったのだろう」「若い樹木を切ったときの樹液の匂いかもしれない」「樽の香りが酒に写ったのかも」「いや、確かにサカナの匂いだ」というふうに、今井コグマの有利な展開になってきた。そこで衆議一決して「このワインじゃダメだ」「別のを開けてくれない?」「はい」というわけで、バルセロナのワインの20本分に該当する「ワイン公爵」の出番となった。
(バルセロネータ付近の「えび大王」オブジェ)
「テイスティングしたワインにもし『納得できない』『ダメだ』と感じて、ダメ出ししたらどうなるのかな」というのは、よく中年オジサンたちの話題にのぼる。しかし普通なら、実際にダメ出しする場面には至らない。かく言う今井どんも、これまでの長い人生でダメ出しの記憶はたった1回しかない。2009年9月、エジンバラのパブで注文したワインが何故か石油の匂いに満ちていて、さすがにそれはかえてもらった。しかしそれはたった12ポンドの安いワインで、しかも「石油臭い」という事情を察した周囲のスコットランド人たちが加勢してくれて初めて出来たことである。
(バルセロナ、ガウディ作「カサ・ミラ」)
しかし今日のワイン男爵は、2万円超でござるよ。こんな高級ワインにダメ出しなんかして、大丈夫なのか。臆病なコグマどんはビクビクしながら事態の推移を見守った。もちろん、見守りながらもダメ出しされた可哀想な男爵をひたすら口に運んでいたが、それは「どうせダメ出しされるなら、このクマどんが最後まで味わってあげるから心配はいらないよ」という卑しい愛情の表現である。
(バルセロナ、ガウディ作「カサ・バトリョ」)
で、「それなら」ということで、さらに高級な「ワイン公爵(仮名)」の栓が抜かれた。閣下、将軍、姫、この「公爵」はさすがに旨かったでござります。超ワイン通の志D先生は、それでも「やっぱり何かが足りないなあ」と首をひねっていたが、ちょうどそのころ、今井コグマどんは見事に「男爵」のほうをカラにした。「こりゃダメだ」「確かにマズいですね」「うえ」とか、ずいぶん酷評されたけれども、これで男爵も極楽浄土へ旅立ったに違いない。元来、食物連鎖の頂点に立つクマやコグマの役割は、こういう行為である。
せっかくだから、Y野先生といっしょにブランデーも注文して、サカナだかマグロだか若い樹の樹液だか樽だかグラスだか、たいへん複雑な味と香りを洗い流した。確かに今井君の口の中は、連日連夜バルセロナで暴飲暴食に励んだイカとタコとエビと魚類と生ハムとロゼワインと、そういうものの味と残り香でいっぱいだったのである。
ワイン男爵を一口飲んだ今井君は、よくわからないが何だかサカナの味を感じた。そこで素直に「マグロの味がする」と言ってみた。マグロの刺身の味ではないが、コンビニで売っているツナのキューブの味である。イワシの刺身を一切れボトルの中に入れて、15回シェイクしてからグラスに注げば、こんな味になるかもしれない。ソムリエが最初注ぐときも「まだ少し若いので、広がりが出るまでに時間がかかるかもしれません」と、少し緊張気味に注いだのである。
(バルセロナ、モンジュイックのミロ美術館前で)
ワイン冒涜グマは、難しいことは全くわからないので、デパートの大食堂でお子様ランチを与えられたコグマよろしく、大喜びでふざけながらガブガブ飲みはじめた。ソムリエを含めて他の4人が深刻きわまりない顔で「いったい何が足りないのか」「どうすれば問題が解決できるのか」「グラスに他の匂いがついてしまったのではないか」を真剣に語り合っているのとは、好対照である。
「でも、オレはこれでいいですよ」「でも、やっぱりマグロの味を感じます」とふざけながら、遠慮なく飲んだ。それが吉N先生のブログにでていた「ワケのわからないことを言いながらガブガブ飲んでいる」というウワバミの描写のもとになった行動。何だか、せっかくのワイン男爵に退場が命じられそうで心配だったのである。せっかく開けたワイン男爵だ。最後まで飲んで初めて、コグマのメンツが立つというものだろう。
でも、そのうちに「何だか香りがおかしい」「温度がこのワインに合わなかったのだろう」「若い樹木を切ったときの樹液の匂いかもしれない」「樽の香りが酒に写ったのかも」「いや、確かにサカナの匂いだ」というふうに、今井コグマの有利な展開になってきた。そこで衆議一決して「このワインじゃダメだ」「別のを開けてくれない?」「はい」というわけで、バルセロナのワインの20本分に該当する「ワイン公爵」の出番となった。
(バルセロネータ付近の「えび大王」オブジェ)
「テイスティングしたワインにもし『納得できない』『ダメだ』と感じて、ダメ出ししたらどうなるのかな」というのは、よく中年オジサンたちの話題にのぼる。しかし普通なら、実際にダメ出しする場面には至らない。かく言う今井どんも、これまでの長い人生でダメ出しの記憶はたった1回しかない。2009年9月、エジンバラのパブで注文したワインが何故か石油の匂いに満ちていて、さすがにそれはかえてもらった。しかしそれはたった12ポンドの安いワインで、しかも「石油臭い」という事情を察した周囲のスコットランド人たちが加勢してくれて初めて出来たことである。
(バルセロナ、ガウディ作「カサ・ミラ」)
しかし今日のワイン男爵は、2万円超でござるよ。こんな高級ワインにダメ出しなんかして、大丈夫なのか。臆病なコグマどんはビクビクしながら事態の推移を見守った。もちろん、見守りながらもダメ出しされた可哀想な男爵をひたすら口に運んでいたが、それは「どうせダメ出しされるなら、このクマどんが最後まで味わってあげるから心配はいらないよ」という卑しい愛情の表現である。
(バルセロナ、ガウディ作「カサ・バトリョ」)
で、「それなら」ということで、さらに高級な「ワイン公爵(仮名)」の栓が抜かれた。閣下、将軍、姫、この「公爵」はさすがに旨かったでござります。超ワイン通の志D先生は、それでも「やっぱり何かが足りないなあ」と首をひねっていたが、ちょうどそのころ、今井コグマどんは見事に「男爵」のほうをカラにした。「こりゃダメだ」「確かにマズいですね」「うえ」とか、ずいぶん酷評されたけれども、これで男爵も極楽浄土へ旅立ったに違いない。元来、食物連鎖の頂点に立つクマやコグマの役割は、こういう行為である。
せっかくだから、Y野先生といっしょにブランデーも注文して、サカナだかマグロだか若い樹の樹液だか樽だかグラスだか、たいへん複雑な味と香りを洗い流した。確かに今井君の口の中は、連日連夜バルセロナで暴飲暴食に励んだイカとタコとエビと魚類と生ハムとロゼワインと、そういうものの味と残り香でいっぱいだったのである。