Tue 100810 上越新幹線についてのいろいろな疑問 真っ昼間、小出駅前で立ち尽くす | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 100810 上越新幹線についてのいろいろな疑問 真っ昼間、小出駅前で立ち尽くす

 8月30日午前9時、以上のような(スミマセン、昨日の続きです)あまりにも当たり前のことを考えながら、千代田線を二重橋前で降りた。これほどの円高ドル安&ユーロ安なのに、東京駅地下の「みどりの窓口」は何故か欧米人旅行客でごったがえしている。

 ようやく空いた窓口で「乗車券だけです。浦佐、小出、只見線、会津若松、郡山を通って、東京に帰ってきます」と告げたところ、中年男性の職員は完全に無表情のままで(つまり何の感動も驚きも示さずに)、注文した切符をすぐに作ってくれた。ここまで無表情&無感動ということは、こんなルートで日帰り旅行をするようなマニアは別に珍しくも何ともない、日常チャメシゴトだ、サハンジだ、そういうことである。

 上越新幹線のホームに出ると、すでに猛暑で煮えくり返っている。暑さに弱い今井君なんか、今すぐドロドロに融けだしてもおかしくない。普段なら朝飯は一切食べないか、コーヒー2杯だけか、そういう生活をしていても、旅行に出かける朝に駅弁を食べないというのは反則だから、ホームの駅弁屋で「五目何とか」と缶ビール1本を購入。朝9時半の新幹線自由席で、すでにパソコンとケータイで大忙しのサラリーマンたちを尻目に、のんきな極楽トンボは早速プシュッと缶を開け、「五目何とか」をサカナにビール。融けかけたドロドロの肉体をビールで冷やして、やっとモトのきりっとした♡クマどんに戻った。

 それにしても、東日本を走る新幹線のうち、「MAX何とか」の2階自由席にはどうも賛成しにくいものがある。通勤通学用に「とにかく座席を多く」という気持ちはわからないでもないが、横に3席+3席では、1席分の面積も容積もあまりにも小さくて、乗客はほとんど貨物扱い。そういう席にタコヤキかシューマイよろしく、丸いものも四角く押さえつけられて、行儀よくギュッと収まっている姿は少なからず可哀想である。

 1階は3席+2席だから、クマどんは人間扱いしてもらえる1階の2席のほうを選び、ケータイ&パソコンで大忙しのヒトビトに迷惑をかけないように浦佐までの1時間半を楽しんだ。
うらさ
(上越線浦佐駅)

 この新幹線は高崎に止まらない。高崎には止まらないが、浦佐には停車する。そのあたりの事情もまた理解困難である。上越新幹線にとって高崎は、長岡と並んでどうしても停車しなければならないmustの駅であるはずだ。「仙台には止まらないがくりこま高原には停車する」とか「名古屋は止まらないが岐阜羽島には停車します」とか、そういう感覚である。おお、「群馬県民、決起すべし」である。

 浦佐についても、上越新幹線が走り始めた80年代初め、事情通の友人たちは「いったいなぜ浦佐に新幹線の駅ができたのか」をニヤニヤ笑いながら揶揄していたものである。周囲には、大規模とはとても言えない鄙びたスキー場が散見される程度。越後湯沢と長岡にはさまれて、「こだまタイプ」とは言っても、ここに新幹線を停車させる必要は全く感じられない田んぼの真ん中である。

 その事情は、30年を経過した今も変わらない。初めて浦佐で降りて、「おっ、珍しい。今日は浦佐で降りる客がいた」と面喰らったような表情の駅員さんに切符を見せると、おそらく「おお、おお、マニアさんね」「ああ、乗り鉄さんね」「はあ、只見線ですか?」という意味の笑顔で迎えられた。
長岡行き
(何となく数学が勉強したくなる「長岡行き」)

 というわけで、ここからは同じ只見線を目指すマニアさんや、ゴツいカメラのセットを抱えた乗り鉄おじさんたちと一緒の旅である。浦佐から小出まで各駅停車で8分。小出で只見線に乗り換える。ただし、ほとんどのマニアさんたちは2時間後の新幹線で来る。浦佐に停車する新幹線は2時間後までないが、2時間後の新幹線なら小出での連絡がよくて、只見線を待つ時間は10分ちょっとで済むのである。

 クマどんが普通の人より2時間も早く小出に来たのは、小出という街を少しぶらついて見たかったからである。上越新幹線が完成するまで、上越線には「佐渡」という急行が1時間に1本ぐらいの間隔で走っていて、確か小出は急行停車駅。急行の止まるほどの駅なら、ぶらぶら2時間ぐらいの散歩にはちょうどいい規模である。
こんな
(小出でも東進の看板を発見。その向こうに停車中の気動車が、2時間後の発車を待つ只見線)

 ところが、この計画はどうも失敗だったらしい。東京で37.5℃まで上昇した猛暑の日の11時、新潟県もまた猛暑。刺すような日光を遮るもののない駅前広場に立ち尽くして、「ここでどうやって2時間過ごしたらいいんだ」と絶望のコブシを握りしめることになった。駅前は完全に静まり返り、かつての急行停車駅の面影は全く残っていない。新幹線に無碍に通過されてしまった街の30年後とは、こんなものなのである。

 どうやって経営が成り立っているのか不思議になるようなビジネスホテルが、駅を背にして右側に1軒。日本風の旅館が3軒。そのうち1軒は壁に白いペンキで「ビジネスホテル」と書いてあるが、木造2階建てのその建物は、昭和の香りに溢れた和風旅館以外のナニモノでもない。あとは、蕎麦屋が2軒と土産物屋が1軒。それだけである。滅多に来ないバスを待つ高齢の婦人(=おばあちゃん)が6~7人、駅待合室で談笑しながら、今日もまた只見線めあてにやってきた怪しいマニアどんたちを眺めている。
蕎麦屋
(とけかけた今井君を救ってくれた、小出のオアシス「富貴亭」)

 しばらく駅周辺を歩き回った後、2軒の蕎麦屋のうち店先の水槽でイワナの泳いでいるほうに入った。駅弁を食べた直後でお腹はキツかったが、ビールと枝豆に盛り蕎麦を注文。店のオバさんとしては「名物・イワナの塩焼き」ときてほしかったのかもしれないが、滅多に来ない地元民以外の客を実に丁寧に応対してくれた。

 汗がやっと引いたのは、ビール2本目を注文した頃である。昼のニュースが始まる直前で、ラジオの天気予報が「新潟県地方も猛暑」「35℃ぐらいまで上がる見込み」を伝え、「各地に雷雨注意報が出ています」「山間部では、午後から突然の雷雨に注意」と気になる情報を付け加えていた。

1E(Cd) Bernstein & New York:BIZET/SYMPHONY No.1
OFFENBACH/GAÎTÉ PARISIENNE
2E(Cd) Prunyi & Falvai:SCRIABIN/SYMPHONY No.3 “LE DIVIN POÈME”
3E(Cd) Knall:BRUNNER/MARKUS PASSION 1/2
4E(Cd) Knall:BRUNNER/MARKUS PASSION 2/2
5E(Cd) Kubelik & Berliner:DVOŘÁK/THE 9 SYMPHONIES 1/6
total m40 y1258 d5357