Sun 100808 明け方に奇妙な夢をみて、それを鮮明に記憶している 4時を過ぎても暗い | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 100808 明け方に奇妙な夢をみて、それを鮮明に記憶している 4時を過ぎても暗い

 ミロの絵とオブジェをたくさん見て回った翌日の明け方、おかしな夢をみた。何かのはずみに目が覚めて、時計を見ると2時50分。もう1度横になってうつらうつらする間のことだった。夢はほとんど忘れてしまうタイプだが、それでも鮮明に記憶していることが稀にあって、だいたい未明にいったん目が覚めた後の、短い眠りの中の夢である。
 美術の課題の提出を怠けつづけたせいで、ウサギか猫のオブジェを制作して提出しなければならなくなった。それが夢の入り口だったので、おそらく昼間見てまわったミロのせいである。作っても作っても先生にダメ出しされるので、しまいに部屋の中は、白いのや赤いのや、ウサギと猫のオブジェだらけになってしまった。
 そんなことをしているうちに12月の期末テストがどんどん近づいてきた。オブジェも制作しなければならないが、数学と物理と化学を完全に怠けつづけていたから、ホントはそっちがピンチである。残り5日しかないけれども、明日が土曜、明後日が日曜だから、まあ土日はゆっくりすることにして、来週になったら数学→物理→化学の順番で何とかすればいい。そういう結論で、東のほうに向かう電車に乗った。
かるが1
(銀座コリドー街のトルコ料理店「イスタンブール」で注文した白ワイン「カルガ」。これと夢とはおそらく無関係である)

 なぜ東のほうに向かう電車に乗ったのかはわからないし、どこの駅で降りたのかもハッキリしないが、改札を出て階段を降りかけていると「あ、今井さんだ!!」「今井先生だ!!」という小さな叫びが背後で上がり、4~5人の高校生にあっという間に取り囲まれた。「サインしてください」である。みんな薄緑の制服を着ていて、「この薄緑は見覚えがある」と思ったら、要するに三井住友銀行のイメージカラーであった。
 駅の改札横に立ったままでサインをこなしていると、どんどん同じ制服の高校生がよってきて、もうサインにキリがない。「高校に遅刻するんで、早くしてください」という横柄なヤツまでいる。悲しくて泣きそうになっていると、ごくマジメそうな、昔ふうの学生服姿の男が「国語の参考書なんですが、いいですか」と言って、しっかりした感じの新書判の参考書を手渡した。
 「現代文で悩んでいたのは、いったい何だったのか!?」のようなサブタイトルがチラッと見えて、そのはずみに裏表紙の「著者紹介」に大昔の友人の名前が見えた。高校時代に一番親しかった友人の名前で「助川…教授」とある。確かに大昔の面影があって、モノクロ写真であるが、若い頃の加藤周一におかしなアゴヒゲをつけたような顔、鋭い目つきであたりを睥睨している。その顔の下あたりに薄緑のペンでサインして、「これはいい本だから、チャンとやりなさいよ」と言い添えながら、マジメそうな彼に手渡した。
かるが2
(トルコの白ワインKARGA、拡大図。拡大したら、明け方の夢同様にボヤけてしまった)

 「やれやれ、ようやく解放された」と呟きつつ、トイレを探す。塾か不動産屋の事務所に入って、何だか変に親しげに挨拶しながら「トイレをかしてくれませんか?」と尋ねると、中年の女性職員2人が丁寧に案内してくれて、奥の、そのまた奥の、古ぼけた木のドアを押した。中には30歳そこそこの若い男の事務員がいて、彼がトイレ係である。
 部屋の中は昭和40年代のトイレ、トイレというより「便所」のにおいに満ちている。ふとトイレ係の職員がかわいそうで泣きそうになったはずみに、おそらく地震なのだろう、最初はごく小さく事務所の床が揺れ、次第に揺れは大きくなって、どうもある意味で決定的な地震らしい。
 どこかずっと遠い場所が震源で、少なくともこの近辺は大丈夫だが、震源近くでは何だか決定的なことになっているかもしれない。そう考えているうちにもどんどん揺れは大きくなって、最後のひと揺れふた揺れで事務所が大きく傾いた。約10度から15度、スキー場の初級者コースのスロープぐらいの角度で、南を上に、北を下にして傾いたまま静止したのである。
 おやおや、これでは猫たちが外に出て帰れなくなってしまう。フスマを開けると、案の定、濡れ縁から庭に出る障子もガラス戸もぜんぶ開け放されていて、親戚のオバさんがきて家の掃除の最中だったらしい。南が上、北が下で10度傾いたまま静止しているのはここも同じで、庭を猫たちが面白そうに走り回っている。

(起きてるんだか、寝てるんだか)

 早く部屋に戻って数学と物理と化学をやらなければならないのに、これは困ったことになった。猫たちを家の中に連れ戻さなければならないし、美術の課題のオブジェは地震でみんなこわれてしまっただろうし、とにかく10度の傾きをモトに戻さないと数学も物理も勉強できない。もっとも、数学も物理も、別に難しい参考書をやらなければならないわけではなくて、教科書の例題さえしっかり理解すれば合格点をとるのは難しいことではないから、土日明けでも十分間に合いそうである。
 それなら、北に旅行してくればいい。雨が降り出したが、とにかく急行列車に乗って北に向かう。急行列車は、急行券が必要だが、急行券はそんなに高くない。左3人掛け、右3人掛け、狭い急行列車の混雑した車内で居眠りしているうちに、北海道の目的の駅に近づいた。
 目が覚めると携帯電話が見当たらなくてビックリするが、斜め後ろの席の見知らぬ乗客がマジメな顔でその携帯電話を操作していて、「ほら、大丈夫ですよ」とニコニコ笑いながら返してくれた。その時、「まもなく…に到着です」というアナウンスが入る。あと2駅か3駅通過すれば目的の駅に到着である。ところが、みんなが荷物を棚から下ろす頃になって、突然急行列車が停車する。
 原因はわからない。とにかくこの先は不通で、これ以上先には到底行けそうにない。仕方がないから、近くのホテルに泊まることにして、4つ星クラスのホテルに入る。数学と物理と化学はホテルでやればいい。
 ルームサービスで軽い食事と酒を注文して、「さて数学と物理と化学をやろう」と考えたところで目が覚めた。朝4時20分である。下らない夢をみたものである。しかもこの記憶の鮮明さは何だろう。思わず頭をぶるぶる揺すって、暗闇の中で起き上がった。ずいぶん朝が遅くなったもので、5時が近づいてもまだ深夜の音がする。

1E(Cd) Diaz & Soriano:RODRIGO/CONCIERTO DE ARANJUEZ
2E(Cd) Miolin:RAVEL/
WORKS TRANSCRIBED FOR 10-STRINGED & ALTO GUITAR
3E(Cd) Queffélec:RAVEL/PIANO WORKS 1/2
4E(Cd) Queffélec:RAVEL/PIANO WORKS 2/2
5E(Cd) Martinon:IBERT/ESCALES
total m35 y1253 d5352