Tue 100803 防災の日直前、映画「ボルケーノ」を見る 「ちくしょう」の連発に思う | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 100803 防災の日直前、映画「ボルケーノ」を見る 「ちくしょう」の連発に思う

 9月1日は防災の日で、総理大臣は毎年必ず作業服を着て、あまり役に立たない視察に励むことになる。その総理大臣が、今年は菅直人で、昨年は麻生太郎で、その前は福田康夫だったか安倍晋三だったか、もうハッキリわからない。
 鳩山由紀夫ドンは1回も防災の日の訓練を作業服で経験することなく終わってしまった。さぞ残念だったか、それともホッとしたか、クマどんの知る由もないが、やっぱりさすが鳩時計。出たがりやの本性を抑えきれずにいたせいで、新聞紙上での叩かれ方は思わず可哀想なである。「朝日」では、天声人語と社説と1面解説で容赦なく叩き放題。読者の投書でさえ、見出しが「鳩山サン、もう引っ込んでて」である。
 来年、9月1日に作業服を着なければならないのは、菅どんか、小沢ドンか。いよいよそういう名誉な戦いが始まった。クマどんとしては、小沢ドンが下唇を富士山みたいな形に押し上げながら、防災の日の視察に仏頂面で出かける姿を見てみたい気がする。
2人
(対立の構造)

 防災の日にちなんで、テレビも防災関係が多くなる。この間の日曜日、思わずソファで寝込んでしまって、目が覚めたらテレビ朝日「日曜洋画劇場」は「ボルケーノ」を放送していた。もう15年も前の映画だが、ロサンゼルスの真ん中で突然マグマが噴き出して、昭和新山みたいな火山が誕生する。巨大都市を襲う真っ赤なマグマ、地下鉄を通り道にして疾走する悪魔のようなマグマと、人間たちの戦いのドラマである。
 いかにもアメリカらしく、そこに人種間の対立が混じる。アフリカ系の労働者、アジア系の女医、リーダーシップをとりたがる白人たち、マグマの灰が吹雪のように降りしきる中、人種グループ間の対立は決定的になり、しかしすんでのところで「人類全体を襲っている危機なのだ」という共通認識が対立を切り裂き、ついにはマグマに2度も打ち勝つのである。
 夜が明けて、全てが終わった青空の下、彼らは人種の対立も世代の対立もすべて忘れ、肩を抱きあい、歓声に我を忘れ、健闘を称えあう。そのとき誰かが、歓喜の輪のずっと後ろのほうで、ドラマを締めくくるに相応しい象徴的な一言を叫ぶのだ。
「ほら、見てみろ。顔の色は(パソちゃん、「顔のイロハ」ってどういうこと?)、みんな同じじゃないか」
おお、確かに、かつては白かったり黒かったり黄色かったりしたヒトビトの顔は、今やみんな火山灰と汗と涙で覆われて、同じ泥の色である。人種間対立を超えて全力で戦い終え、戦いに勝利を収めた時、そこで健闘を称えあう全てのヒトビト(=HERO)の顔は、同じ泥と汗の色に明るく輝いているのだ。
 おお、アメリカ万歳。恥ずかしくなるほどわかりやすい展開と主張にバンザイ、万歳である。
「見てみろ、顔の色は(パソちゃん、顔のイロハ、しつこいよ)みんな同じじゃないか」
何度書いても、あまりにわかりやすい主張。わかりやすすぎる主張。「万歳」以外、口に出来るコトバはない。9月1日、オバマ大統領はイラク戦争終結を宣言したが、おそらく映画並みの感動がアメリカ全土で繰り広げられたことだろう。
暑いと眠い
(いくらでも眠れます)

 日本の民主党代表選挙も、権力闘争と個人的怨念と談合に終始するばかりで、これまたあまりにわかりやすい。もともと権力獲得のために、主義も主張も共通点など一つもないヒトビトが集った烏合の衆である。そういう集団がどんな末路を辿るかのドラマを日本国民は今見ているわけだ(ついでに、昨年のこの時期のブログで今井ドンは余りにも見事に1年後を予測している)が、その周囲でワイワイ囃し立てるだけのマスコミもまたわかりやすすぎる。ま、防災の日の首相の作業服みたいなもので何の役にも立たないが、これがないと寂しいだけのことである。
 さて、映画「ボルケーノ」であるが、何と言っても驚きなのは、そこに登場する準主役クラスの女性科学者が、さかんに「ちくしょう!!」「ちくしょう!!」を連発することである。テレビ朝日の主音声は日本語吹き替えだから、モトの英語セリフが何だったかわからないが、とにかく何か思い通りにならないことがあると、彼女は遠慮なく日本語で「ちくしょう!!」と叫ぶ。「畜生!!」である。おお、とっくにそんなのは死語になったと思っていた。
発見
(発見)

 今井君が小学4年の時、秋田市立土崎小学校4年1組では「悪いコトバをつかうのをヤメましょう」というキャンペーンをやった。要するに、担任の先生とクラス委員とでコトバ狩りを始めたわけである。今井君は4年生の春からどういうわけか担任の先生と対立していて、コトバ借り担当のクラス委員にはならずに済んだ。「悪いコトバ」と判定されたのは、秋田方言は半分、日本古来のののしり表現が半分であった。
 今思い出してみると、秋田方言「んが(=キミ)」「おめ(=アナタ)」「おれ、おら(=ワタシ)」「なんと、しょすぃすぃて(=ダッテ、ハズカシイモン)」「んだべ(=ソウダロウ)」「ばかけんがあ(コノ、オロカモノ)」など。ののしり表現としては、「このやろう」「ちくしょう」「ちきしょう」など。
 クラス委員が黒板の前で「どんなコトバが悪いコトバだと思いますか」と問いかけ、生徒たちが手を挙げて積極的に「悪いコトバ」の具体例をあげていった。その中に「ちくしょう」「ちきしょう」が出た時、担任の先生が手を叩いて笑い出した様子を、クマどんはいまだに記憶している。
 今井君は「悪いコトバ撲滅キャンペーン」の実施方法でも先生と対立。先生が提案したのは「教室内で悪いコトバを使ったヒトがいたら、帰りの反省会で手を挙げて発表する」というやり方。しかも教室内に一覧表を掲示して「悪いコトバ」を使った回数を棒グラフに記録していくシステムである。要するに、「密告の奨励」と「ミセシメの励行」。スターリンのソ連、及びその周囲にムクムク育っていった独裁社会主義国とそっくりである。
 まあ、過ぎ去った嵐のことはもういい。今井君がそんなことを思い出したのは、映画「ボルケーノ」で死語を連発してくれた女性地震学者のお蔭である。今井ドンが小学生だったのは、もう大昔、確か室町時代のこと。京都では足利義政のもとで東山文化が花開いた。そんな「わび&さび」の時代の死語を、21世紀の近づいたアメリカの女性科学者が連発するようでは、マグマだって火山だってビックリして、思わず地上に噴き出しても不思議はない。つまり、地球の噴飯を誘ったということである。

1E(Cd) Alban Berg Quartett:BRAHMS/CLARINET & STRING QUINTETS
2E(Cd) Bernstein:BIZET/SYMPHONY No.1
3E(Cd) Four Play:BETWEEN THE SHEETS
4E(Cd) Alban Berg Quartett:BRAHMS/CLARINET & STRING QUINTETS
5E(Cd) Bernstein:BIZET/SYMPHONY No.1
total m15 y1233 d5332