Tue 100622 ホテルでシャツやパンツを洗濯すると言ふこと U DVOU KOČEK | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 100622 ホテルでシャツやパンツを洗濯すると言ふこと U DVOU KOČEK

 今井君は、何といっても成績優秀かつ品行方正な優等生であるから♨、プラハに到着してまず第一にしたことは荷物の整理である。20kg超びっしり詰め込んだ巨大スーツケースは、どこの空港でも必ずHEAVYの赤いシールを貼付けられるほど重たい。腕に歯ブラシみたいな剛毛を生やした欧米の空港係員のオジサマたちでも、思わず唸り声をあげるほどの重量である。その中には緊急用食料といっしょに15日分の着替えが入っている。着替えだって、侮ってはならない。15日分となれば重さはなかなかのものである。
 以前は15日の旅行でも着替えを5日分ぐらいしか持参しなかった。ホテルで洗濯すればいいじゃないかと考えていたのである。しかし、ホテルの洗面台で手洗いしているオジサンの姿、オジサンがパンツ一丁で汚いシャツにパンツに靴下をもみ洗いしている姿は、想像するだにオゾマしい。しかもそのオゾマしい姿を、洗面台のおっきな鏡で終始確認しながら洗濯に励むことになる。こりゃまさにオゾマしさの極致といっていい。
店
(プラハ「U DVOU KOČEK」)

 しかも、旅行中に洗濯するとなれば、洗剤に小物干しに、持参するものはどんどん増えていく。慣れない手洗い洗濯にかかる時間もバカにならない。事前につけ洗いして、もみ洗いして、3回すすいで、小物干しにぶら下げて、うにゃにゃ、うにゃにゃ、洗面台のまわりは水浸し。床も水浸し、顔は汗まみれ、仕方ないからシャワーを浴びると、もう3時間も4時間も経過している。
 早く街に出たい気持ちを抑えながらそういうことに励まなければならないのは、ムカつきの元である。「オレは、洗濯するためにマルセイユに/リスボンに/マドリードに/ミュンヘンに来たのか?」と、ムカつきながらパンツを干しているオジサンは、たいへん不気味。あまり客観的に観察したくはない。
 こうやって洗濯したものは当然「陰干し」であり「部屋干し」である。部屋干しのTシャツに部屋干しのパンツに部屋干しの靴下。うーん、そのカホリは想像に余りある。よろしいかな。オテテで中途半端にしぼって、バスタブの上に干すんじゃよ。手しぼりじゃ、とてもしぼりきれんから、しばらく経つとバスタブにポタポタ水滴が垂れるんじゃよ。そのまま外出して、8時間後に部屋に帰ってくると、まだ乾いておらんのじゃ。というか、まったく乾いておらんのじゃ。
 2匹1
(プラハ「U DVOU KOČEK」。お客を見下ろす2匹のネコたち)

 そういうパツとシャンツ、おっと間違えた、シャツとパンツのカホリを想像してみたまえ。諸君。雑巾のカホリのオジサマが、ここに完成するのじゃ。おお、オゾマしいオゾマしい。余りのオゾマしさに、クマどんは「シャツを煮た」ことがある。確か、あれはパリじゃったかのう。そうじゃ、9月のパリじゃった。名づけて「シャツ煮大作戦」である。
 持参した湯沸かし用ポットにTシャツを押し込んで、水をテッペンまで入れて、蛮勇を奮ってスイッチを入れたんじゃ。うぉ、うぉ、ごうごう音をたてて沸騰するTシャツ。沸騰作戦は大成功して、雑菌は殲滅。ゾーキンのカホリは一気に消えて、爽やかな太陽のカホリ。クマどんは大いに清潔感を増して、颯爽と初秋のパリを闊歩したものである。ただし、危険です。大いに危険です。ヨイコの皆さんは決してマネをしてはいけません。
 第一、シャツだからまだいいけれども、「パンツを煮る」「靴下を煮る」などということになったら、自分の美意識を疑うだろうし、そのお湯の沸騰するカホリは一生のトラウマになりかねない。つまり、そのときキミは「パンツでダシをとる」「靴下ダシの匂いを嗅ぐ」という暴挙にでたことになるのじゃからのお。ほっほ。
2匹2
(プラハ「U DVOU KOČEK」。テーブルマット2匹のネコたち)

 まあ以上のような、たいへん奥ゆかしくたいへん奥深い経験を積んで、ついに優等生・今井Qカニちゃんは着替えをしっかり日にちぶん、日本から持参するようになった。20kg超の巨大スーツケースを購入したのは、実はそのためである。プラハ滞在は5日しかないけれども、とにかく残った清潔な着替えをホテルの部屋の引き出しにキチンと整理して収め、ハブラシ、ハミガキ、マウスウォッシュ、パソコンにトマスクックの時刻表、そういうものも、最も便利と判断した場所に固定する。その作業に1時間ほど費やして、19時、いよいよプラハの街に出た。
ニャゴなで
(今井君の友人である2匹のネコたち)

 何よりもまずメシである。正確には、何よりもまず酒である。何しろブダペストからの7時間、口にしたのはミネラルウォーターと、樟脳のカホリのキャンディ「ネロ」7粒ほど。一昔前の水洗トイレのカホリ(昨日の記事参照)が鼻の奥にまでこびりついて、口も鼻も喉も「早く何とかしてくれ」と爆発寸前の不満を訴えている。
 で、プラハの裏町をブラブラ歩いて、見つけた「U DVOU KOČEK ウ・ドゥヴ・コチェック」に入った。英語ならTHE TWO CATSである。この名前を見ただけで、すでに店の大ファンになった。だって、ニャゴロワとナデシコである。5日間のプラハ滞在中、この店で夕食をとること4回。残りの1日は昼食が4時すぎになってしまい結局夕食をとらなかったのであるから、プラハでの全夕食が「2匹のネコ」だったことになる。
肖像
(U DVOU KOČEK、厨房に描かれた2匹のネコの肖像)

 2日目の晩からは、店の人たちにも覚えてもらっていた。東洋のクマどんが毎晩ノッソリ現れて、途中からウワバミに変身するんだから、覚えてもらえるのもまあ当たり前だ。4日目の晩には、普通の客は入れてもらえない厨房で「2匹のネコ」の肖像を写真に撮らせてもらえた。おお、ニャゴロワ、ナデシコ。2匹ともこんな所でクマどんを待ってくれていたのである。

1E(Cd) Muti:VERDI/FOUR SACRED PIECES
2E(Cd) Madredeus:ANTOLOGIA
3E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 1/2
4E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 2/2
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