Sun 100620 どうしても今日じゃなきゃイヤだ どうしてもあのアイスでなきゃイヤだ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 100620 どうしても今日じゃなきゃイヤだ どうしてもあのアイスでなきゃイヤだ

 ママやバーちゃんや首を傾げたレンホーどんにいくら諭されても、今井君は1位が大好き。「最初から2位狙い」はイヤだ。クラスでも学年でも全県でも、どうしても1位でいたい。予備校でも最初から1番になることをあきらめて、「オレはオレの好きなようにやる」というタイプの趣味的な生き方の先生も多いが、そのタイプの先生の授業はたいがいつまらない。というか、夢がなさすぎて、生徒たちが可哀想である。
 自民党のCMみたいにやたら「1番の国、1番の国」と連呼してレンホーの「2位ではいけないんでしょうか」をチクチク皮肉るのもみっともないが、予備校なんかこんな狭い社会なのだ。せめて「オレがベスト」と怒鳴るぐらいの心意気を、生徒みんなに見せてやりたいじゃないか。
ブラチスラバの駅で
(ブラチスラバ駅で)

 もっともこの頃は「そんなクダラナイことで講師どうし争わないでほしい」という大人な生徒も少なくない。おお、ずいぶん早く大人になったねえ。偉い、偉い、たいへん偉い。しかし今井君は、もし自分が受験生だったとすれば、「オレなんかダメな人間なんだ」とうなだれるあまりにも素直な先生より、「オレは天才だ」「オレは神だ」と断言するような元気なヒトについていきたいし、生徒たちにもそうであってほしいと熱望する。
 「ムダ削減」と「サービス低下」が同義語であってはならないので、真剣に諸事情を調査することもなしに、何でもかんでもやたらに「ムダだ、ムダだ、縮減だ」の大合唱をするのは好きではない。予算縮減の大合唱の多くは、高級官僚への単なる意趣返し、ただの仕返し、ただの「いい気味だ」「ザマをみろ」、その種の体のいい罵声をマスコミがこぞって称賛し、居眠りばかりの首相はそういうヒトを内閣の看板にして悦に入る。そういうのは、先進国を自称する国の国民が称賛すべきことではない。
宿り木君
(粘り強いヤドリギ君たち)

 日本の若者たちは可哀想である。生まれて20年近く、延々と右肩下がりの日本で育ったのだ。小学校でも中学校でも、難しい顔の先生方に言われ続けてきたのは「競争はいけません」。テレビをつければ「日本はかつて1番だったが、その国際競争力はすっかり失われた」。夕食時に「クローズアップ現代」を連日のように見せられ「技術力は新興国に完全に追いつかれた」「営業力はアジアの中で遅れをとっている」「成長著しい中国と韓国とインド、置いていかれる日本」「この行き詰まりを日本は打開できそうにない」。
 これをほぼ連日聞かされながら12年、15年、18年育てられ、それで夢や希望が持てるならそのほうが不思議である。せめて、「長谷部も本田も岡崎もドーハの悲劇のころには小学校低学年で、カズやラモスに憧れて育ったんだ」ぐらい言って子供を育てたい。「ボクは井原選手みたいになる」「オレの憧れはゴン中山」、恐れずにそう言い放った小学生たちこそが、南アフリカで大きな花を咲かせたのである。
スロバキア
(スロバキアの駅で)

 「1番でなきゃダメなんですか、2番じゃダメなんですか」などというのは、子供の夢を踏みにじる最悪の発言。お盆の祖父母の家に集まった親戚の叔母さんが、ちょっと疲れた顔で甥っ子をたしなめる時の言葉こそ、これ。
「今じゃなきゃダメなの?明日でもいいんじゃないの?」
「そのアイスでなきゃダメなの?こっちでもいいんじゃないの?」
「花火は今夜じゃなくていいでしょ?明日の夜でもいいでしょ?」
である。いや、ボクはイヤなのだ。今じゃなきゃイヤだし、どうしてもこのアイスがいいし、花火は今夜じゃなきゃダメなのだ。今井君はだだっ子が好きだし、自分もいつまでもだだっ子でいるつもりだ。
東欧の夕暮れ
(東欧の夕暮れ)

 鉄道だって同じことで、日本の優秀な鉄道に慣れた身としては、やっぱり12号車のチケットなら12両目まであってほしい(昨日の記事参照)。ブダペストの駅のホームのアメリカの中年オバサン2人組は、ハンガリー国鉄の傲慢な態度に業を煮やし、駅員に食ってかかっていた。というか、どこまでもあきらめずに「12号車のはずなのに4両編成とは何ごとか」という激怒&激闘を続けていた。
 駅員は「自分の職掌の範囲外のことだ」「自分の預かり知らぬところで客から叱責されるのは心外だ」という態度で肩をすくめるばかり。ラチがあく様子は一向に見えず、発車時刻は迫り、2人のアメリカ・オバサンはますます激昂。ついにオバサン2名を乗せないまま、ベルリン行きECはブダペストの駅を出た。
 おお、これでは名残を惜しむ時間も精神的余裕もない。駅のホームで右往左往しただけである。
「あれれ、4両しかついてない」
「あれれ、チケットは12号車になっている」
「すみません、12号車はどこですか」
大汗かいて質問しても、
「ありません。好きな車両の好きな席に座ってください」
「ええっ!?」
「いいから、早く乗ってください。すぐに発車です」
「でも…」
「それ以上は私にはわかりません」
「はあ。でも喫煙室しか空いてませんよ」
「いけませんか?喫煙室では」
「はあ」
「なら、そこでいいでしょ」
「はあ、まあ…」
という大騒ぎの中で、極寒のブダペストなのに大汗をかいてシャツはグショ濡れ。風邪でも引きはしないかという漠然とした不安を抱えながら、列車はすでにブダペスト郊外を大きく左右に揺れながら爆走しているのだった。

1E(Cd) Mravinsky & Leningrad:SHOSTAKOVICH/SYMPHONY No.5
2E(Cd) Maggini String Quartet:ELGAR/STRING QUARTET in E MINOR
                    PIANO QUINTET in A MINOR
3E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 1/2
4E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 2/2
5E(Cd) Elgar & London:ELGAR/SYMPHONY No.2
total m76 y998 d50927