Tue 100608 地球を7回半回れ 思考形態でヌルさを表現 「世界一ヌルい」とは?  | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 100608 地球を7回半回れ 思考形態でヌルさを表現 「世界一ヌルい」とは? 

 こうして、ブダペストの32℃のぬるま湯は、クマどんにホントにいろいろなことを考えさせてくれた。32℃なら、何時間浸かっていても汗すらまったくかかない。ぬるま湯の中で1時間過ごして、今井君が何を考えたのか、箇条書きにしてみたいほどであるが、余りに多彩で多岐にわたる。「地球を7まわり半」するほどである。自分ではめんどくさいのでヤメておくが、興味のある人は、ブログから箇条書きに挑戦してほしい。そんなヒマジン、誰もいない? おお、寂しいねえ。
 普通の日本人なら、せいぜい4~5行で終わるところだ。
「おお、ブダペストの温泉だ」
「おおー、おおー、おー」
「ついにボクは入ったヨー。どうだい、ばあや」
「とうとうワタシは入ったのよ。ごらんなさい、じいや」
「姫、ご油断めさるな。お風邪をお召しになり増すぞ」
「意外にヌルいです。風邪をひかないようにご用心」
「スリッパかサンダルの有無についてご確認を」
「油断してはいけません。スリや強盗がねらっています」
ぐらいか。素晴らしい簡潔さである。
市電で
(市電に乗って街に繰り出す)

 ところが今井君は、もうすでに300行ぐらい、微に入り細をうがって書いている。「くだらないことを、いつまでもダラダラ書いている」という反応もあるだろう。しかし諸君。その「くだらない、毒にもクスリにもならないことをいつまでもダラダラ&グダグダ」こそ、ゲッレールト温泉の本質なのだ。才能あふれる今井君は、文章の内容自体ではなく、文体と描写と表現を通じてゲッレールト温泉の本質を読者に伝え、ぬるま湯の追体験を可能にしようと努めているのだ。そのことに気づかないか。
 うーん、だとすれば、それは戦後の国語教育のせいですな。少しでも長い文章を示されると、たちまち「うざくね?」「めんどいんじゃね?」「追体験なんかしたくネーゼ」「ちっとも役に立ちません」で終わってしまう。その短気さこそ、諸君の短所そのものなのであるよ。「役に立たないこと」の幸せを、なぜ子供たちに半世紀以上も教えないでいたのだろう。終わらない駄弁の喜びを知らないなんて、可哀想でならない。
 なお、さっき口走った「地球を7まわり半」とは、光のスピードなら1秒で地球を7回半回れることから、20世紀半ばの日本人の流行語になった言葉。阪田寛夫の作詞で「地球をまわれ、7回半まわれ」と連呼する「NHKみんなのうた」があった。確か「杉並児童合唱団(いくら打ち間違えたって「合唱団」を「合掌だ」はないだろ?)」が歌う、ちょっと切羽詰まった歌声が印象的である。
ビア&ワイン
(ピルゼンビールとトカイワイン。Alföldi Vendéglőで)

 実際にはブダペストのぬるま湯はもっとヌルくて、30℃を下回っていた可能性だってなくはない。もし全身が32℃の空気に包まれたまま1時間も過ごしたら、シャツもワイシャツもスーツも汗まみれになるはず、それは日本の夏で実証済みである。まして、お湯の中なら確実に湿度100%。日本の梅雨より湿っぽいことは疑う余地がない。それなのに汗をかかなかったということは、よほどヌルかったのだ。「世界一ぬるい」とギネスに認定してほしいぐらいであるが、そもそも「ヌルさ世界一」とはどのようなことであるか。再び難しいことを思いついて地球を7回転半しはじめる、マコトにややこしいクマどんなのであった。
 さて、温泉を出て、18時半。陽が沈んだのが15時、真っ暗になったのが16時前だから、ブダペストの18時半は、日本の感覚ならすでに真夜中もいいところ、いい子はみんなベッドの中である。こんなふうに暗くなったら、いよいよウワバミどんが活動を開始する準備は完了。世界一ヌルい風呂に飽きるほど浸かって、身体もぶわぶわ。ポカポカという形容はあたらないが、精神的にブワブワ緩んで、酒を飲みにいくにはまさに最高の条件が整った。
店構え
(国立博物館そば、Alföldi Vendéglőの店構え。危なそうな寂しい裏道を駆け抜けて、ホッと一息ついてから入店した)

 出かけたのは、Alföldi Vendéglő。アルファベットの上に、何だかよくわからんテンテンやアクセントマークみたいなのやドイツ語のウムラウトみたいなのが乗っかって、発音するのも容易ではない。無理してカタカナで書けば「アルフルディ・ヴェンデーグルー」である。
 ホテル・ゲッレールトから市電で7~8分。自由橋でドナウ河をわたり、国立博物館の前で降りて、何だかとても危険そうな寂れた裏通りをコソコソ足早に歩いていくと、ぼんやり薄暗い灯りが見える。それがAlföldi Vendéglőである。
店内
(Alföldi Vendéglő、落ち着きすぎた店内)

 カタカナで検索すると、Googleでさえ「一致する情報は見つかりませんでした」の表示が出る。ブダペストの裏町のほぼ完全に地元民向けの店。観光客がいきなり闖入してくることは、予定も期待もしていない。それでもHPはあって、3行ほど引用すると
Üdvözöljük az Alföldi Vendéglő honlapján! Kedves Vendégeink! Szeretettel várjuk Budapest egyik leghíresebb vendéglőjében! Éttermünk a belvárosban a Kálvin tér és a Jogi Egyetem között, a Kecskeméti utcában található …
おお、記号だらけだ。何のことだかわからない分、そこを訪れた自分の勇気に、半年経過して初めて驚くクマどんなのであるが、いきなりアジア人の闖入者を迎えた店側の驚きも、それなりだったはずである。

1E(Cd) Wand & Berliner:SCHUBERT/SYMPHONY No.8 & No.9 2/2
2E(Cd) Alban Berg:SCHUBERT/STRING QUARTETS 12 & 15
3E(Cd) Richter & Borodin Quartet:SCHUBERT/”TROUT” “WANDERER”
4E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.1 & No.4
5E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.2 & No.6
total m36 y958 d5057