Mon 100607 中年男が温泉で女子を口説いている情景 フヤケた素足をブーツに突っ込む | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 100607 中年男が温泉で女子を口説いている情景 フヤケた素足をブーツに突っ込む

 ただし(まだ昨日の続きです)、温泉の浴槽の真ん中に出て、盛んに女子を口説いている中年男性が1名存在する。クマどんのニラんだところ、ハンガリー地元民、55歳~60歳、そういう行動ベテランか。頭の毛の抜け具合からみても、皮膚の萎み具合からみても、お腹の膨らみ具合からみても、若い女性に対する厚かましさからみても、要するにどういう側面から判断しても、その年齢の幅にキチンと入ることは確実なオジサンだ。
 もしもそれより若ければ、全く相手にされないことでプライドに大きな打撃を感じ、あれ以上のアプローチなりアタックなりを直ちに中止するはずである。逆にもし想定年齢層より上なら、あれほど執念深いエネルギーを、「誰でもいいから」的な女子獲得に注ぐほど欲望に満ち満ちてはいない。いやはや、太って萎びたイチモンジセセリみたいに厚かましい。
いろいろ考える
(てのひらを太陽にかざしてみる)

 今井君が長い人生経験で把握したところでは、「60歳直前」が男子の一番危険な年齢で、「その種の夢も希望も残っている」「腕力も体力も残っている」「カネも地位も時間もある」「そういう自分の魅力に自信が漲っている」。しかし「そろそろそういう夢の存在を許される時期も終わりかな」「その種の希望が受け入れられるのは、これが最後かな」という悲しい覚悟も急速に育ちつつある。
 「自分の最後の恋だ」などという恥ずかしい言い訳とともに、後で考えたら5日も吐きつづけるほど恥ずかしい言動に出てしまう危険性が、もっとも高まるのが「60歳直前」「58歳59歳」という年齢層のように思う。こうして、「これが最後かな」という悲しい言い訳があるせいで、分別も抑制も利かなくなる。
 10年前、葉月里緒菜(おお、懐かしい)が主演のNHKドラマ「チョコレート革命」(原作:俵万智)があった。一昨年亡くなった緒形拳が共演。辛島美登里の主題歌「あなたを愛してる」もまあヒット。その歌のサビが「私の最初の恋、あなたの最後の恋」で、こういう歌をカラオケで歌いながら部下とアヤシイ関係になろうとするクダラン上司も、10年まえにはたくさんいたはずである。緒形拳の設定はもう少し若くて、55歳前後。大学病院の外科部長だったと記憶するが、それ以上はあやふやなので、NHKアーカイブスでどうぞ。
眠りにおちる
(眠りにおちる)

 うにゃ、ブダペストの危険なオジサンは、ちょうど入ってきたアジア人女性2人組を早速口説きに向かった。15分ほどの努力を続けたが、残念ながら実を結ぶことなく退散したようである。アジア人女性は30歳代中頃か。おそらく日帰りだが「ブダペストの温泉に入った」という事実に高いステイタスを感じているタイプの人々。おお、風呂に入るのに何もそこまでバッチリメイクで決めなくても。マコトに残念ながら60歳近いハンガリーおじさんとの最後の恋だか、アタシたちの最初の恋だかに全く興味がないのは、浴槽の端っこから眺めていても、キューカニちゃんには余りにもハッキリとわかるのだった。
 まあこうやって、その他の20人ほどのヨーロッパ人は、結局全く動かないで1時間を過ごした。オジサンのナンパ活動が次々に失敗に終わるのを見守りつつ、誰も浴槽を去らず、浴槽に新しく入ってくるヒトもほとんどいない。浴槽は、ほどよく満員のままである。「世界は1つ」「地球は1つ」「人類みな兄弟」と発言するとき、そのヒトの頭にあるのが「新参者は現れないはず」「もし現れたら、そいつはKYだ」という発想である。
また、いろいろ考える
(いろいろ考えてみる)

 「この座席は7人掛けです」という電車のシートに6人で座っている心地よさを、日本人なら誰でも知っている。もし1人でも新しく加われば、もともとシートを占領していた6人がそろって新参者を睨みつける。当然の権利を行使して座席を獲得しようとする者は「どうもすみません」と先客6人に許しを請わなければならない。つまり、「せっかくぬるま湯に浸って気持ちよく予定調和を実現していたのに、それを破壊するのは無作法だ(KYだ)」、そう厳しく責める視線と戦わなければならないのである。
 しかも、これだけぬるま湯なのに、何故か硫黄の匂いだけはお湯にしっかりついているのが、何だか生意気である。1時間後だか1時間半後だったか、「これ以上浴槽に浸かっているのはもう無理だ」と判断したが、それは「もう熱くて」「もう汗をかきすぎて」「おお、風呂上がりのビールが楽しみだ」という、嬉しさあふれる「もう無理だ」ではない。「退屈すぎて、これ以上ここにいたら酔生夢死の結果を招く」という類いの「もう無理」。手も指もすっかりフヤケてシワシワであるが、汗というシロモノとはトンと縁がない。
また、眠りにおちる
(面倒なので、眠りにおちる)

 何より困ったのは、大浴場から部屋に戻る時のハキモノである。サンダルでもスリッパでもない。部屋からの往路で履いてきたのは、ブーツである。諸君、濡れてフヤケてブワブワの足にブーツが素直に履けるものかどうか、一度試してみるといい。
 せめて靴下でもあれば話は別だったのだが、マコトに残念なことに、大浴場に来る時はそんなことを考える余裕もなく、「素足にブーツ」という恐るべき快挙に震えながらここまでやってきたのである。「後悔先に立たず」であるが、浴槽に入っていた1時間半よりも遥かに激しい汗をかきつつ、濡れた素足をブーツに押し込むという難事業を敢行。これにいくら時間がかかったかわからない。ちょっと腰をおかしくして、エレベーターのレッジーナが相変わらず暖かく「ケッセネム、ケッセネム」を繰り返すのを、少し面倒に感じながら、無事321号室に戻ったのは18時をわずかに過ぎた頃であった。

1E(Cd) Barbirolli & Berliner:MAHLER/SYMPHONY No.9
2E(Cd) Rattle & Bournmouth:MAHLER/SYMPHONY No.10
3E(Cd) Goldberg & Lupu:SCHUBERT/MUSIC FOR VIOLIN & PIANO 1/2
4E(Cd) Goldberg & Lupu:SCHUBERT/MUSIC FOR VIOLIN & PIANO 2/2
5E(Cd) Wand & Berliner:SCHUBERT/SYMPHONY No.8 & No.9 1/2
total m31 y953 d5052