Mon 100524 キラーイ温泉 秋山仁師と由美かおる 観光で凍えるよりホットワイン | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 100524 キラーイ温泉 秋山仁師と由美かおる 観光で凍えるよりホットワイン

 地図を見ればわかる通り、ドナウ河はブダペストの街を北から南に流れている。ホテルが並び人口が集中しているのは、街の東側の「新市街」であり、ドナウ右岸の旧市街には王宮や大聖堂など観光の目玉が並んでいる。旧市街は小高い丘の上にあって、ケーブルカーかバス16番を使わずに旧市街に入るのは、高校の運動部であってもほぼ「しごき」に該当する。この大寒波であればなおさら、徒歩で旧市街に上がるのは「遭難覚悟」の決死の趣きがある。
地図
(ブダペストマップ。右が新市街、左が旧市街。「地球の歩き方/ハンガリー」ダイヤモンド社刊より)

 古代ローマ時代に戻って考えると、東側の新市街はドナウ左岸だからゲルマン民族側、旧市街はドナウ右岸だからローマ帝国側になる。王宮が街全体に睨みを利かせ、その裏には軍隊駐屯地があり、さらに丘の麓にズラリと温泉が並んでいるところなどは、いかにも古代ローマ帝国の影響を感じさせる。
 ローマの人々は温泉が大好き。カエサルが現イングランドを侵略した時にも、あの寒々としたブリテン島で最初にしたことは温泉探しである。ジェイン・オースティンの小説などに頻出するように、「バースでゆっくり保養する」は近代イギリスのブルジョアの憧れであり、貴族階級の日常だったわけだが、そのバースこそ古代ローマ軍の発見した温泉であり、英単語bathの語源である。
漁夫の砦
(ブダペスト王宮付近の「漁夫の砦」)

 2009年、まだライバルなしの「市川カニ蔵」であった今井君が訪れたブダペストにも、ローマ軍が発見して以来綿々と続いている温泉が存在する。今井君はあえてブダペスト滞在のうちの1泊を割き、温泉宿に滞在することに決めている。温泉施設は、日本の書店に並ぶガイドブックに紹介されているだけでも7~8軒に及ぶ。ということは「地元民に愛されつづけている」「知る人ぞ知る」というようなものを勘定に入れれば、おそらく20軒を下らない温泉施設があるだろうと推測できる。
兄弟
(漁夫の砦の下の寒風の中で、めげずに演奏を続けていた2人。おそらく兄弟である)

 その中には、何だかアヤシイものも含まれる。「キラーイ温泉♨」という名前の温泉が、まず何と言っても「アヤシイな♡」の1番手。だって諸君、「キラーイ♨」であるよ。悲しみにくれる旧カニ蔵としては、そんな温泉は絶対♡キラーイ♨である。キラーイ、キラーイでござるよ。うにゃ。万が一ヒゲを生やさずに出かけていったら、たちどころに妖艶なヒトたちの餌食になりそうで、クマさんは恐ろしいでござるよ。
 ガイドブックによれば、ここの温泉はまあそういう男子の溜まり場というウワサが絶えないそうである。「恋人募集中」だったりする男子は、1人でここに出かけて、広い湯船の真ん中でションボリしていれば、すぐに相手が見つかるらしいのだ。がお。うにゃ。
 しかし今井君はまかり間違っても「恋人募集中」であったりはしない。うにゃ。むかしむかし大昔、今井君が中学生の頃は、学生服の何番目だかのボタンをはずずだか、ムシリとっておくだか、とにかくそのたぐいの行動をとれば「恋人募集中」ということになって友人たちに囃し立てられたものであるが、当時から今に至るまで純粋無垢でありつづける高貴な旧カニ蔵としては、男だけが集まった男風呂で(まあそれは当たり前だが)恋人募集などという、そんな余りにホットな行動には全く興味を引かれない。
マーチャーシュ
(マーチャーシュ教会)

 そこですでに日本を出発する前から、キラーイ温泉だけには決して近づくまいと決意し、そのついでに、何だか名前の語感がホットな妖しさを秘める「セーチェニ温泉」も遠慮しておこうと決めた。1泊を予定する温泉は、伝統と格式があって妖艶なウワサの一切ない「ゲッレールト温泉」である。しっかりした4つ星ホテルが併設されているから、妖艶なおハナシからはきっと無関係でいられるはずである。
 もちろん、旧カニ蔵は立派なおヒゲを蓄えているから、妖艶なおハナシの件はほとんど心配していない。ただ、数学の秋山仁先生をあえて予備校講師のワクに入れて考えれば、予備校講師も大いに気をつけないと、お風呂関係の妖艶なウワサが突如として降って湧く危険性にさらされている。クワバラクワバラである。
 今週の女性週刊誌によれば、何と水戸黄門の入浴シーンで歴史に名を残す「由美かおる」と「もう隠さない、アコーディオンが結んだ熱烈交際中」「還暦の手つなぎデート」なのである。今井君は18歳のとき、当時まだ大学院生だった秋山仁の授業を受けたことがあるし、駿台講師時代には、福岡だったか仙台だったか、一緒に酒を飲んだこともある。おお、何と身近に妖艶な話が転がっていることか。クワバラの3乗であり、旧カニ蔵は、クワバラ君に改名したくなるほどである。
タカ
(ひたすらナンパにつとめていた鷹匠さん)

 ま、実際のブダペスト温泉体験については、3~4日後に詳述することにする。3~4日後に書く予定の温泉の話を、何故フライイングでチョロっ話したくなったかと言えば、とにかくこの日のブダペストが寒すぎたせいである。風呂に入るか、温かい酒で内側から温まるか、すべて諦めてホテルに帰ってヌクヌクするか、選択肢はそのぐらい。あれから半年以上経過した6月になっても、あの寒さと痛さを思うと手足がジンジンしてきて、風呂や温泉の話でもしたくなるのはむしろ当然なのである。
パプリカ
(パプリカ)

 あまりの寒さに、観光客なんかほとんど見かけないし、マーチャーシュ教会や「漁夫の砦」やウィーン門のような観光名所に行ってみても、「今日の外出を後悔している」「ホントに心の底から後悔している」という顔の人々と出会うぐらいである。驚くほど元気で嬉しそうなのは、バスでワーッと襲撃してきて、バスでワーッと去っていく、20~30人のアジア人集団ばかり。観光名所に鳴り響くのは中国語と韓国語ばかり、おとなしめの集団を発見すればそれが日本人グループで、アジア団体の端っこに遠慮がちに混じる日本語がドナウの寒風に吹き飛ばされるようであった。
グヤ次郎
(救いを求めて駆け込んだ店のグヤーシュスープとホットワイン)

 それを避けて、今井君は近くの食堂に逃げ込んだ。何が何でもグヤーシュスープとホットワイン、それがなければ凍死も視野に入る。そのぐらいホンキのホンキ、マジメにせっぱつまった気持ちになって、2時間近くその店で粘っていた。飽きるほどホットワインを飲んでいるうちに、最初満員だった店内に他の客の姿は消え、時計は2時過ぎになった。すでに夕闇が迫り、どの店も暖かそうな照明を灯しはじめていた。

1E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 8/10
2E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 9/10
3E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 10/10
4E(Cd) Carmina Quartet:
HAYDN/THE SEVEN LAST WORDS OF OUR SAVIOUR ON THE CROSS
5E(Cd) Alban Berg Quartett:HAYDN/STREICHQUARTETTE Op. 76, Nr. 2-4
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