Mon 100503 チャスラフスカvsクチンスカヤ、スカスカ対決 ホーネッカーの記憶 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 100503 チャスラフスカvsクチンスカヤ、スカスカ対決 ホーネッカーの記憶

 「ハンガリー動乱」や「プラハの春」や、プラハの街でのソ連軍戦車の暴虐について、今井君の世代は何度も何度もフィルムで見て記憶している。その直後のメキシコオリンピックでのチェコ選手への喝采、特に女子体操のチャスラフスカ選手への大喝采や、そのライバルだったソ連のクチンスカヤ選手への心ないブーイングも覚えている。
 子供の頃からカニ蔵君は、マスコミでブーイングの的になっているヒトに強い共感を覚える性質があって、昨年は麻生太郎と朝青龍、大昔は北の湖に江川卓、海部俊樹に曙太郎、挙げ句の果てに森喜朗も応援、今や鳩山どんの味方。分が悪いとなったら一向に姿を見せない菅直人が一番キライ、「あんなヒト、15年前に戻っていつまでもカイワレ食べてりゃいいんだ」と暴言を吐いているぐらいだ。皆で民主党をあれだけ持ち上げておいて、「政権交代だ」「民主党に一度やらせてみよう」「投票用紙で武装して革命をおこそう」とバカなことを言っていたクセに、やっぱり分が悪くなると手のひらを返したような態度のテレビ文化人は、もっとキライである。
ケレティ駅
(物騒と思えば確かに:ブダペスト・ケレティ駅の長距離キップ売り場)

 メキシコオリンピックのときも、家族に「変なヤツ」とからかわれながら、それでもソ連のクチンスカヤを応援。そのクチンスカヤが平均台から落下して「もうチャスラフスカに勝てない」「最高でも銅メダル」と決まると、ますますクチンスカヤを応援。変なヤツという定評がさらに定着した。
 そのぐらい、あの頃は「プラハを蹂躙したソ連は絶対キライ」というヒトが多かったし、テレビで放送されるオリンピックの女子体操にかじりついてでもソ連を罵倒するのが、世界中の、少なくとも西側のヒトビトの一般的な姿勢だったのである。
 80年代以降は、東ヨーロッパといえば混沌と貧困、東ヨーロッパといえばオリンピック選手でさえ薬物漬け、赤く錆びた貨車に人間を詰め込んで運搬するナチス時代やスターリン時代のようなイメージ。実際、最後にはチャウシェスクとか東ドイツのホーネッカーみたいな怪物が跋扈した。確かホーネッカーなんか1989年の夏になってもまだ、
「存在理由がなくならないかぎり、ベルリンの壁は100年でも存在し続けるだろう」
「つねに前進。後退などありえない」
「もはやウシやロバでさえ、社会主義の発展を阻止できない」
などと言い続けていたはずである。
デアーク1
(物騒と思えば確かに:ブダペスト地下鉄・デアーク広場駅 1)

 おお、亡霊・吸血鬼・拷問・血塗られた歴史。エルゼベート・バートリなどというおカタの話を子供のころ繰り返し読んで、コワくてトイレに行けなくなったこともある。村中の少女を誘拐してきては惨殺、彼女たちの生き血をホントに機械で搾って、生温かい生き血のお風呂に入って若さを保とうとした恐るべき中年女性である。
 そういうゴチャゴチャした雑多な知識を、学校の授業と映画とテレビドラマとドキュメンタリー番組で擦り込まれた、平凡な日本人の典型である今井君の頭には、ネットにテンコモリの東ヨーロッパ情報が如何に恐ろしいか。想像するのは実にカンタンだろう。その事情につけ込んでコワい話を信じさせようとイタズラしたくなる気持ちもまた理解できる。日本に溢れる「治安情報」を読んでいると、どうもその手のイタズラの一種に思えてならない。
デアーク2
(物騒と思えば確かに:ブダペスト地下鉄・デアーク広場駅 2)

 実はこれを書いているのが5月27日。長い間ブログ更新を怠っていたから、熱心な読者の皆さんはとっくに気づいておられたと思うが、5月10日から25日までポルトガルを旅行、ずっとリスボンに滞在していた。ポルトガル、リスボン、そういう地名を口にしただけで「また何でそんな危険なところへ?」という反応しか返ってこない。
 なぜポルトガルが危険だと思うのか、理由を聞いてみると、「だって経済危機でたいへんだろ?」という答え。テレビでギリシャのデモを見て、ついでにタイのバンコクの混乱も見てマゼコゼ、新聞で「ポルトガルやスペインも同様の危機をはらんでいる」と書かれているのを読んでますますマゼコゼ、それでポルトガルも同じことになっているように誤解するのである。
 実際には、ポルトガルだってスペインだって、マトモに歩いていれば危険なことには全く遭遇しない。市民も実にのんびりしたものであって、日付が変わるころまでファドを聞いて、ファドを聞きながらウワバミらしくワインも赤&白タップリ飲んで、ぶらぶら街を歩いて地下鉄の終電に乗っても、オカネやパスポートを狙われるどころか、「コワいな」と感じることもない。
 22時から始まる闘牛を見に闘牛場に出かけると、木曜日なのに小学生がいたり(明日ガッコどうするんだ?)、おそらく幼稚園にもまだ通っていない幼児がパパやママを踏んづけながら午前0時半まで頑張っていたり、それはそれは平和なものである。
デアーク3
(デアーク広場駅。ここでブダペスト地下鉄全3路線が交差する)

 それが日本のガイドブックになると「マドリッドのレティーロ公園には決して入ってはいけません。日本人を専門につけ狙う首締め強盗がタムロしていて命が危険です」「コロン広場周辺は特に危険です。日本人のパスポートを狙ってナイフを持った男たちがウロウロしています。ご用心」ということになってしまう。うにゃ。うにゃにゃ。むしろ、向こうから見たら、こっちのほうが物騒に見えているのではないだろうか?

1E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 5/5
2E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 1/11
3E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 2/11
4E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 3/11
5E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 4/11
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