Tue 100420 何故ここで議論が「富裕層の安全な資金管理」に限定されてしまうのか | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 100420 何故ここで議論が「富裕層の安全な資金管理」に限定されてしまうのか

 以上(スミマセン、昨日の続きです)、ウワバミ君がどう日本の現状を心配し、格付け会社をどんなふうに嫌悪し、ハイパーインフレをどのぐらい恐れて首をすくめ、国債発行を母の日の肩たたき券発行と同等に思っているエリートたちのモラルハザードをどう嫌悪しているか、この3日の記事を熟読してくれたヒトなら、きっとしっかり理解してくれたものと信じる。
 しかしウワバミどんが一番イヤなのは、このあたりでエコノミストたちの話の多くが「あなたの資産をどう守るか」に急展開することである。日本破綻についての楽観論でも悲観論でも、ここまでの一見マジメな長広舌は、実はみんな前置きにすぎない。コワい話で震え上がらせたり、「まあまあ」と肩をたたいて安心させたり、カンタンに言えば「脅したりスカしたり」、その上で「だからボクがこれから言うことを聞きなさい」にもっていく。
のぼりつめる1
(危険な2人「のぼりつめる」篇 1)

 資産管理のプロフェッショナルとか、エコノミストとか、アナリストとか、まあその類いのヒトビトは多い。雑誌でもネットでも、「大丈夫だ」の楽観論と「もうダメだ」の悲観論とが、日々まさに甲論乙駁、果てるところを知らない。しかし、議論がある程度まで熟してしまって、「だから」という結論部にくると、何故か「どうあなたの資産を守るのか」という、要するにごく一部の富裕層向けの議論に集中してしまう。
 つまり、資産管理について「安全な道をボクだけが知っている」「ボクについてくれば安心なのだ」の話に急カーブを切るわけだ。で、そこからは例えばネットなら何故か有料になって、「ボクにおカネさえ払えば、もうキミも大丈夫」「クリックすれば安心」ということになる。ウワバミどんは、そのチープな誘導ぶりが大嫌いである。何だ、結局は日本の経済危機をタネに、チョコッと金儲けを考えただけじゃないか。
 守るべき資産のあるヒトビトにとっては、「ボクのアドバイスを聞く」も大事だろう。資金を海外に移す、海外不動産に投資する、手軽なところで外貨定期預金、プラチナなりゴールドとして現物管理する、まあ誰が考えたって同じことだ。別に「こんなに儲けたプロフェッショナル」「プルプル大学大学院を驚くべき成績で卒業したアナリスト」「優秀なボク」「ボクだけが知っているボク」を名乗るボクたち、要するにツルツルした顔の学校秀才に言われなくても、誰でも思いつくことばかりである。
のぼりつめる2
(危険な2人「のぼりつめる」篇 2)

 シロートでも言える程度のことしか言わない「一流エコノミスト」たちに混じって、どこで何を教えているどんなカリスマだかわからないが、自ら「カリスマ予備校講師」を名乗るヒトたちまでが横からクチバシを入れる。予備校の世界を20年も渡り歩いてきた今井カニ蔵くんが見たことも聞いたことも全くないカリスマとなると、そのカリスマぶりはたいへん怪しいものだが、しかし彼らもまた、「ボクだけが知っている資産管理のアドバイス」をして、小ズルくオカネを稼ごうと今や躍起なのである。
 20世紀末の予備校バブルはすっかり跡形もなくなって、どうやら何千人も存在する「自称カリスマ君」たちも、本業以外のところに生き延びる(うーん、「いきのびる」で「域のビル」と変換されるのは一体なんなんだ)道を見つけなければならないらしい。おお、話がそれそうだ。
 いま問題にすべきなのは、富裕層がオカネを安全に管理する方法などではない。チャンとした富裕層なら、チャンとした自前のコンサルタントを複数かかえていて、自分の責任と能力でチャンと危機を乗り越えられるに決まっている。彼らからみれば、自称アナリストや自称カリスマ講師のわかりきった議論などチャンチャラおかしいので、「むしろキミ自身のことをしっかり考えたほうがいいんじゃないですか」とニヤニヤしたいのが、彼ら富裕層のホントの気持ちだと思う。
 だから、我々がいま議論すべき大切なことは、現時点で資産をもたないヒトたちの心の持ちかたやこれからの生き方なのだとウワバミ君は考える。楽観論だろうと悲観論だろうと、「だから」の先がいきなり富裕層の資産管理の話で終わったのでは、それこそ良心も誇りもプライドもあったものではない。というか、それもまた救いがたいモラルハザードの一形態であるように感じるのである。
のぼりつめる3
(危険な2人「のぼりつめる」篇 3)

 シロートのクマどんがここから述べようと思うのは、資産のないごく普通の人間が、これから不安でいっぱいの20年をどう考えるべきか、特にブログ読者の多くを占めているはずの20歳代のヒトビトや10歳代後半のヒトビトが、何をどう考えればモラルハザードに侵されずに、今の地道な努力を続けられるか、そこに「ボールペン」が関わってくるのであるが、ま、ぜひシロートのマジメな議論の白熱を明日もまた楽しんでいただきたい。
 おお、今日はここで早くも終わりになってしまう。「あまりに短くて読みごたえがない」と思ったヒトは、すみません、この10日ほど、ウワバミどんが「つぶやく」「さえずる」「twitterする」という行為に憧れているという事実に着目してほしい。もしこれがツブヤキやサエズリであるなら、すでに2000字を超えているのだ。
 フォローすることも困難な、10回分の長いサエズリがここにある。そこにしっかり読みごたえを感じてほしい。で、例えば10歳代後半や20歳代30歳代のごく普通の人間が、このヨーロッパの危機や日本の危機をどう考え、どう乗り越えたらいいのか、それは明日の記事でゆっくり考えたいと思う。

1E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 3/5
2E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 4/5
3E(Cd) 小松和彦&サンクトペテルブルグ:貴志康一/SYMPHONY ”BUDDHA” 他
9D(DMv) SCHINDLER’S LIST
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