Sat 100417 日本破綻がコワいよお(第2回) こんなヒトにカネを貸す銀行があるか | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 100417 日本破綻がコワいよお(第2回) こんなヒトにカネを貸す銀行があるか

 昨日最後に書いた通り、ウワバミどんは、日本が近く破綻しないかどうか、不安で夜も寝られない。21世紀に入ってすぐ、ムーディーズの格付けで日本はボツワナよりも下にランク付され、政府も国民も怒りというより苦笑ムードだった。バブル崩壊から10年ほど経過、住専・拓銀・山一証券消滅にオウム事件まで重なった直後だから、「まあ仕方ないか」だったのである。
 その5年後、S&Pが日本国債の格付けを大幅に引き下げる可能性に言及したあたりから、ウワバミどんは怖くて首をすくめ続けている。無知なウワバミどんの怪しい記憶をたどってみると、あの時のS&Pの警告は確か「このままなら5ランク引き下げる(7ランクだったような気もする)」「国債をジャンクと見なす」可能性についてのものだったと思う。今のギリシャよりもっと厳しい評価をするという話なので、ウワバミ君の首のすくみかたも普通ではなかった。
こじんまり
(こじんまりと生きる)

 無知は無知なりに、ごく大雑把に事態を把握して、そこから身を守るすべを考えるのは得意である。今の日本の状況をバカ正直に家計に換算すれば、年収400万円の家庭で、借金が1億円あるのと同じ比率である。しかもその1億円は、住宅ローンと違って利率が高い。利率5%で計算すると、年利500万円。年収400万円で1億円の借金なら、稼いだカネを全部利息の返済にあてても、まだ足りないことになる。もしボクんちがこんなふうだったら、のんきに失笑とか冷笑とかしてゴマかしているわけにはいかないだろう。
 試しにアコムかレイクかアイフルの(まだ存在するなら)「むじんくん」その他ATM店舗で、そのデータを入れて調べてみるといい。ATM画面に出てくる返答は、おそらく「誠に残念でございますが、この条件ではお貸し出しできません」「またのご来店をお待ちしています」の類いである。消費者金融でさえ、ソッポを向いて相手にしてくれない状況が、日本という国家に固定しつつあるし、状況は雪崩式に悪化しているわけである。
 しかも、日本の国家収入は固定収入ではない。「一昨年はこれだけ稼ぎましたが、去年はガクンと減りました」「来年はどうなるか、予測もつきません」という収入である。もっと正直にいえば、「収入は10%減りました」「でも無駄遣いと人気取りが大好きで、子供たちにおカネを理由もなくガンガンばらまきたいんです」とくる。最後に、キワメツケが「約束は全部ホゴにするクセがあります」「国外にするとか県外にするとか発言しましたが、どうも無理みたいなので許してください」「思いはあります。思いを大切にしています。努力してるんだから、認めてくださってもいいでしょう」である。
こじんまり2
(こじんまりと生きる 上空から)

 おお、金融機関が最も嫌う発言をこれほどたくさん連発するヒトに、お金を貸してくれる銀行、相手にしてくれる金融機関、そんなものがあるほうが不思議なのだ。繰り返すが、1億円の借金をかかえ、利息だけで500万円なのに、年収は400万、その不定期収入がどんどん減少しつつあって、元金はおろか利息も払えない。借金が雪だるま式に増えていく状況で、平然と「おカネもっと貸してください」と口走る。
 「じゃ、約束守るのか?」と聞かれると、「返したいという思いはあります。その思いを暖かく見守ろうじゃありませんかー、みなさん」「埋め立てるんじゃありません、杭を打つんです。その思いを大切に努力しようじゃありませんかー、みなさん」と開き直ってゴマかす。あなたが銀行マンだとして、このヒトにおカネ貸します? 貸したとしたら、背信行為じゃありません? 
黒雲1
(黒雲とクマのフランク クマのフランクについては昨年Tue 090602参照)

 ま、素人判断ではあるが、今の日本は、マトモな銀行なら門前払いを食ってもおかしくない状況。「以後、出入り禁止」と言渡されるかもしれない。マトモな銀行はおろか、メガバンクが副業でやっている「キャッシュワン」だの「モビット」だの、そういう倫理的に許されないように思われる高利貸し営業の担当者だって同じことだ。資料にチラッと目を走らせて、「ああ、これはヒドいですねえ」とすぐサジを投げるに決まっている。貸してくれるヒトがいたとして、まあヤミ金融か犯罪ガラミぐらい。シロートウワバミが恐くて首をすくめる気持ちが、少しはわかってもらえると思う。
黒雲2
(黒雲とクマのフランク 2)

 それなのに、「日本国債について海外の格付け会社の格付けは依然高い」「だから日本破綻はありえない」「オマエはバカだな、もっと経済を勉強しろよ」、そういって慰めてくれるヒトも存在する。「おカネがなければ、印刷すればいいだろ」という「ハイパーインフレ大歓迎」みたいなおカタもチラホラする。
 しかし、その手のヒトビトのおっしゃることは難しすぎて、クマどんのボンヤリ頭にはどうしても滑らかに入ってこない。酒の席で議論するからそうなるのだろうが、むかしむかし大昔、マルクス経済学の本を読みかじったとき以上のうさんくささを感じる。あの頃だって、大半の東大教授や京大教授は「皆さんには難しいでしょうが、マルクス経済学に誤りはありません」とおっしゃっていたはず。マルクス経済の退場以来、先生方は一向に申し開きに出ていらっしゃる気配がない。おお、それは話がブワッとそれるからここでは論じないとして、少なくとも今、ウワバミどんとクマどんは、
「アメリカの格付け会社のご機嫌とりをしなければならないのはイヤだ」
「ハイパーインフレなんか、絶対オコトワリだ」
という2点で意見が一致しているのである。その2点については、明日くわしく書いてみることにしたい。

1E(Cd) Baumann:MOZART/THE 4 HORN CONCERTOS
2E(Cd) Solti & Wiener:MOZART/GROßE MESSE
3E(Cd) Rilling:MOZART/REQUIEM
6D(DMv) THE ROAD TO PERDITION
9G(Rr) アテナイオス/柳原重剛:食卓の賢人たち:岩波文庫
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