Sun 100404  夜10時の新宿で「先生ですか?」 寿司屋でどんなふうにムカついたか | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 100404  夜10時の新宿で「先生ですか?」 寿司屋でどんなふうにムカついたか

 「元生徒との遭遇」がこのところ激増しているが、昨日4月20日は、夜10時の新宿で「先生ですか」に遭遇した。ディープな夜の新宿をほっつき歩いていた理由は、ちょっと執筆の仕事がらみの話なのであまり面白くはないが、その直前の寿司屋でムカついていたので、「先生ですか」はちょうどいい気分転換にもなった。
 その遭遇について書く前に、まずムカつきの原因の寿司屋について少し述べておきたい。新宿住友ビルの「A鮨(仮名)」である。A鮨(仮名)などという変な書き方をするのは、あまり良いことを書くのではないからで、「批判するなら相手のことは仮名で」というウワバミ主義である。もっとも、わかる人にはカンタンにわかってしまうので、変な匿名希望はヤメたほうが素直かもしれない。
 A鮨にはこの5~6年それなりにお世話になっていて、新宿京王デパートのA鮨、オペラシティのA鮨、新宿ミロードのA鮨、みんな雰囲気も味も悪くなかった。杉並にある総本店に出かけたことがないが、特にオペラシティのA鮨では3年ぐらい前まで常連で、ほとんど日曜ごとに出かけていたぐらいである。
 そのころオペラシティの店長だった人が、研究熱心というか「よく仕事をする職人」で、同じネタでも必ずひとひねり加え、客を唸らせてくれるのが大好きだった。彼とはカウンター越しによく話をしたものである。内気な内気なウチキウワバミである今井君が、酒に酔っているとはいえ、他のお客を差し置いて寿司職人とベラベラ話をするなどということ自体、自分でも驚くべき事件であった。この職人のことは、ずっと昔このブログでも書いたことがある。
匿名希望1
(匿名希望 1)

 通称「オペラ寿司」と呼んで贔屓にしていたのに、人事異動で店長が代わってしまったのが3年前。新しい店長も頑固な感じで悪くなかったのだが、元祖オペラ店長はその後「新宿ミロード店」「新宿京王デパート店」などを点々とするうちに、とうとうどこに異動になったのか、彼の足取りがつかめなくなってしまった。
 ミロード店での彼の苦労ぶりは、可哀想なほどであった。ミロードの客は20代ぐらいの若い女性ばかりが目立つ。飲食店の並ぶフロアでも、その客層に合わせたカフェやパスタ屋ばかりである。1軒だけ浮いた存在の寿司屋は、その一角だけが年齢層が「+40歳」。疲れきったおばあちゃんやおじいちゃんの避難所のような雰囲気である。それもみんな何だかションボリ落ち込んだ様子で、例えばミロードでショッピング中にマゴ娘と口ゲンカになり、ガッカリしてお寿司屋に安らぎを求めにきた感じなのだ。
 そんな雰囲気だから、ミロード店での客の注文はセットメニューばかりで、店長が「ひとひねり」など工夫する余地は、ほとんどなくなってしまったのである。当時の彼のちょっとムクれた様子は見るに忍びなかった。「仕事を干された」「飼い殺しにされた」という怒りをぶつけるにも、どこにもぶつけようもないという様子である。
 ジャイアンツに移籍直後の広沢/江藤/阿波野/落合/野口/前田/門倉、彼らの気持ちと同じだったのではないだろうか。力がありながら、その力を発揮できない時の欲求不満は、誰かがすぐそばで支えてあげないと、人間を内側から破壊してしまいかねない。たまに様子を見ようと店にいくと、彼はもうカウンターに立つこともヤメてしまって、客の注文をとったり、レジを打ったり、店の前の掃除をしたり、あまりに痛々しくて見ていられなかった。
匿名希望2
(匿名希望 2)

 ありゃりゃ、話がそれすぎて、いったい何の話だったかわからなくなってしまったが、とにかく昨日は新宿住友ビル50階の店に入った。新宿の高層ビル街には意外に寿司屋が少なくて、他には京王プラザホテルの「久兵衛」ぐらいである。しかしさすがに久兵衛は有名店すぎて、「高いだけ」「高すぎ」「高すぎ晋作」の恐れがある。
 しかも、むかしむかしホテルオークラの中の久兵衛でたいへんオゾマしい光景を目撃したことがある。半ズボンのスーツに蝶ネクタイを結んだ小学校低学年の男子が、パパにメロンを注文してもらい、そのメロンをナイフとフォークを使って上手に召し上がっていたのだ。あれがトラウマになって、久兵衛に接近しただけでじんましんが出そうになる。
 そこで譲歩して住友ビルのA鮨にした。この譲歩が大失敗。これなら回転寿司のほうがまだマシというものである。まず、職人の数が少なすぎる。店の広さからして、職人が5人は必要と思われるが、客は30人以上いるのにマトモな職人は1人だけ。見習いみたいなのが2人くっついているが、これはあくまで「申し訳程度」である。
 「1貫ずつにしますか、2貫ずつにしますか?」、普通ならまずそう尋ねるものだが、忙しすぎて、それもなし。「当たり前だろ」とばかり、いきなり皿に2貫、ポイと投げ出すように置かれる。コハダを注文すると、出てきた瞬間からコハダがシャリから離れて浮いている。というより、もっと正確にいえば、コハダが斜めにずれて、向こう側に落ちかかっている。
 せめてネタとシャリぐらい接着していてほしいものだが、シャリの上にネタが乗っかっているだけで、「吹けば飛ぶような」というか、吹いたらネタがシャリからはずれて裏返しになりそうである。コハダばかりではない。海老も接着面がなくてプカプカ浮いている。甘海老はといえば、クマどんが長い年月かけて渡り歩いたどんな寿司屋の甘海老より小さい。目の前のガラスケースでは、アジがもう乾きはじめている。
匿名希望3
(匿名希望、ニャゴ式)

 日本酒を注文したら、徳利が異常に小さい。どのぐらい小さいかといえば、「盃2杯で徳利がカラッポ」という異常事態が発生したほどである。諸君、もう1度繰り返す。「サカヅキ2杯で徳利がカラッポ」であるよ。確かにそのサカズキは並みより大きかったけれども、「2杯注いだら徳利に酒が残っていない」という事態を、気持ちの中でどう処理すればいいのか。飼い殺しになった広沢や野口や門倉以上に苛立つ今井カニ蔵クンの気持ちは、どこにぶつければいいのか。
 ありゃりゃ、寿司屋の話をしているうちに「ディープな新宿での『今井先生ですか?』」について書くスペースがなくなってしまった。以上のような寿司にムカつき、「ラーメンを食べて気分を挽回しよう」と出かけたディープな新宿で、明治大学に通う元生徒4人組に遭遇したのである。その話については、誠に不本意ではあるが、また明日の記事の中で書くことにしたい。

1E(Cd) Jochum & Concertgebouw:BACH/JOHANNES-PASSION 1/2
2E(Cd) Jochum & Concertgebouw:BACH/JOHANNES-PASSION 2/2
3E(Cd) Schiff:BACH/GOLDBERG VARIATIONS
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