Sun 100321 姫路から新倉敷へ 虐げられるこだまクン いいヤツ、こだま君と「ジダマ」 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 100321 姫路から新倉敷へ 虐げられるこだまクン いいヤツ、こだま君と「ジダマ」

 3月19日、姫路のホテルで目が覚めたのが9時頃。この日の予定は19時から東京・巣鴨で講演会があるだけだから、ここはまさにスカサズ/ソッコーで/スキアラバのモットーの出番である。1週間前、広島と神戸の間にできた1日の隙き間に、岩国の錦帯橋と安芸の宮島に出かけたが、あの日3つ目の目的地に設定して結局断念した倉敷に、今日こそ出かけてみることにした。
 他にも選択肢があったのだが、まだ1度も訪れたことのない倉敷を訪ねるほうにより大きな魅力を感じた、ただそれだけのことである。姫路を10時すぎに出る「こだま」で新倉敷まで40分ほど。閑散とした新倉敷の駅のコインロッカーに例のおっきなダレスバッグを預けて、山陽本線の快速列車で倉敷に入ることにした。
倉敷1
(春の倉敷 1)

 今の日本の鉄道でひどく虐げられている電車が3つあって、秋田新幹線の「こまち」と長崎本線の「みどり」がまず2強、というか金メダル銀メダル。「あと少しで目的地」というところまでたどり着いてから、突如として後ろ向きに走らされるミジメさについては、このブログの2月3月の記事ですでに詳しく触れた。そして不動の銅メダルをあげていいのが「こだま」である。
 姫路から新倉敷まで、40分もかからなければたどり着けないダイヤ編成をみると「こだまクンって、何か悪いことでもしたの?」と誰かに尋ねたくなるほど。それも40分しかかからない直通の「こだま」が見つかったのがほとんど奇跡的であって、パソコンやケータイの乗り換え案内で探すと、まず確実に「岡山で乗り換え」、しかもその岡山乗り換えに30分待ちとか40分待ちとか、21世紀のこの時代に、明治や大正の鉄道省を髣髴とさせるような恐ろしいことを要求してくる。
 姫路から新倉敷などというのは、地図で見れば余りにも近くで、新幹線を利用するのさえ少し気が引けるほどである。しかし、だからといって在来線利用なら、これもまた途中乗り換えが2度も3度もあって、結局2時間近くかかる。山陽本線の各駅停車に2時間もしゃがんでいたら、はるばる倉敷に着く前に干ぼしになってしまいそうである。
倉敷2
(春の倉敷 2)

 やはり我慢して「こだまクン」とつきあうしかないのだが、この「こだまクン」、あまりにもいいヤツで、途中停車するほとんどの駅で「のぞみチャン」に先を譲ってやるクセがある。岡山で先を譲るのはまあ許せるとして、相生(あいおい)の山の中の駅で延々10分近くも停車してまでのぞみチャンに追い抜かれているようだと、「キミももっと向上心をもたないと、受験競争を勝ち抜けないよ」と職業柄の忠告をしたくなる。もっとも、その相生の駅前にも東進の立派な校舎があって、盛り上がってそれを眺めているうちに、10分はあっという間に過ぎていった。
 もっとも、「こだまクン」のシートはなかなかゆったりしていて、それは悪くない。グリーン車に乗り馴れた♨ウワバミ閣下にとっては、♨かっかっか♨かっかっか♨、新幹線の普通車座席は何だか公園のベンチみたいで居心地が悪い。まあ、許してくれたまえ、これだけ連日「移動、移動、また移動」なのだ。グリーン車にでも偉そうにふんぞり返っていないと、きっと腰の病気か肛門の病気に悩まされることになってしまう。「痔疾や腰痛の予防」として、その程度の贅沢は許してくれたまえ。かっか♡
 しかし、こだまクンとつきあう時には、さすがの今井どんもグリーン車には乗らない。なんだかミスマッチだからである。今井君がジュエリーを身につけたみたい、今井君がゴールドのネックレスをしたみたい、明らかに滑稽だからである。
 というか、もともと山陽新幹線のこだまクンにはグリーン車もつけてもらっていないことがあって、そこもまた可哀想なのであるが、そのぶん普通車シートが横4列で、普通車でもたいへんゆったり座れるのである。「のぞみチャン」の普通席シートの横5列では、何だか人間を貨物扱いしているようで腰も肛門もムクれて反乱をおこすだろうが、こだまクンの普通車は「横4列のふかふかシート」。下手をすれば「のぞみチャン」のグリーン車より人間の肉体に優しいかもしれない。
倉敷3
(春の倉敷 3)

 姫路から乗った朝のこだまクンは、驚いたことにほとんど満員である。おお、こだまクンは人気者。うーん、やさしいこだまクンはやっぱり人気者なのである。指定席をとったからチャンと座れたけれども、もし自由席だったら40分も立ちんぼで倉敷まで運ばれていく運命だったかもしれない。
 大阪から来たらしいオバサマ4人組が、間違えてウワバミ閣下の席を占領していたけれども、ウワバミ閣下のヒゲだらけの顔をみて平謝りで退散していった。しかもオバサマたちは、退散して自分たちの席に戻ったのはよかったが、その「自分たちの席」がまたまた間違い。岡山でまたまた「今度こそ自分たちの席」に移動させられ、ところがそれがまた間違い。間違うたびに大笑いして席を移動するのが、たまらないほど楽しそうである。
 狭いこだまクンの中で、あっちからこっちへ、こっちからあっちへ、右往左往の態で移動に移動を重ね、しかもそのたびに席をクルクル回転させて4人向かい合いにしては元に戻す。わずか40分の間に3回もそれを繰り返して、ウワバミ将軍と同じ新倉敷で降り、大騒ぎしながら街のどこかに消えていったのだった。
 ウワバミ閣下としては、昔なら「イヤなオバサマたちだ」と眉をしかめたところであるが、最近のウワバミ閣下は心に余裕があるせいか、こういうオバサマたちに大いに優しくなっている。あのぐらいの年齢になって、オバサマ4人組で平日の小旅行にくりだして、「ああでもない、こうでもない」と大騒ぎを繰り広げるのは、いかにものどかで明るくて、周囲の人間の心も明るくしてくれるものである。
ジダマ
(のぞみチャンの通過を待ってあげている、いいヤツ・ジダマ)

 のんびりした「こだまクン」もまたいい。中学高校時代の同級生に児玉君というヤツがいて、スポーツ万能の顔の長い男だったが、今はどうしているだろうか。日本中の児玉君の運命と同様、児玉君は「ジダマ」「ジダマ」とニックネームをつけられ、「ジダマ」であることに反発もせずに、児玉よりジダマとして少年時代を過ごしていた。新幹線の暢気で優しいこだまクンも、これからはジダマと呼んで大いに贔屓にしてやろうかと考える、優しいウワバミ将軍なのであった。

1E(Cd) Nevel & Huelgas Ensemble:Canções, Vilancicos e Motetes Portugueses
2E(Cd) Sequentia:AQUITANIA
3E(Cd) Isao Tomita:Shin Nihon Kikou
6D(DMv) 12 ANGRY MEN
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