Sat 100306 3月10日のスケジュール 広島から岩国へ 岩国から宮島へ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 100306 3月10日のスケジュール 広島から岩国へ 岩国から宮島へ

 7日広島、9日神戸、そういうスケジュールなら(スミマセン、昨日の続きでございます)、8日は大阪に泊まる。会社が設定したスケジュールと違うから、会社から宿泊費は出ないが、そこはそれ、普段からスカサズ遊んでいる人間ならいくらでもなんとかなるもので、spg(世界的ホテルチェーンみたいなもの)で貯めたポイントで「ウェスティンホテル大阪」の豪華な部屋に無料で宿泊できるのである。はっは。ほっほ。キチンと遊んでキチンと怠けていれば、いざというとき(別にイザというわけではないが)ポイントで宿泊できるのだ。
 朝の段階で作成したこの日のスケジュールは以下の通り。9時の新幹線で広島→新岩国に移動。岩国の錦帯橋をじっくり見て、2時間後に山陽本線で宮島に移動。宮島で日本三景「安芸の宮島」を見て、焼きガキにアナゴ飯に熱燗で暖まって、広島に戻る。その段階でまだ午後3時前なら、広島から「こだま」に乗って新倉敷に移動。倉敷で大原美術館とその周辺をブラブラして、夜8時ごろ大阪へ。ウェスティン大阪にチェックインしてから、道頓堀へ。お好み焼きかタコ焼きをつつきながら、再び熱燗でデロデロになる。9日の神戸講演会は18時からだから、まあちょっとぐらい二日酔いになっても問題はないだろう。そういうスケジュールである。
錦帯橋左岸
(錦帯橋、左岸から)

 実際には広島全日空ホテル(正確にはANAクラウンプラザホテル広島)をチェックアウトしたのが、すでに10時。昨日の雨もミゾレもやんでいるが、気温は相変わらず低い。ついこの間の函館より、体感温度はずっと低いようで、函館では思わずコートの前を開けるほど暖かかったのに、広島で同じコートのボタンを全部キチンと締めてタクシーに乗り込んだ。遠くの山には昨日の雪が消えずに白く残っている。やっぱり、間違いなく気温は言語道断に低いのである。
 広島から「こだま」に乗って、15分もかからずに新岩国に到着。雨が強くなってきたから、新岩国駅のコンビニでビニール傘を購入、店のオバちゃんに「寒いですね」と言うと、オバちゃんもその意見を全面的に肯定して、「ありえないぐらい寒い」という意味の返事をするのだった。すぐ近くの山々も、上のほうは昨日の雪が消えずに残っていて、いかにも「雪化粧」という言葉がピッタリである。
 この段階ですでに11時。朝のうちに広島のホテルで作成したスケジュールのうち、「倉敷」の部分はもうとっくに不可能、削除の対象になってしまった。それでもタクシーで錦帯橋に向かう。タクシーの運転手さんもたいへんいい人だったが、ちょっと言葉が通じにくい。西日本を中国地方から九州に向かうと、だんだん日本語の発音に「でゃあ/でゅあ/でぇえ/でょお」の音が増えるような気がする。「どぁあ/どぇえ/どぉお」や「ぢゃあ/ぢゅう/ぢょお」も同じように比率が高くなる。そのぶん言葉に暖かい人間味たっぷりの響きが増すのであるが、それに反比例するように今井どんの理解度は低下する。
 ただし、普段相手にしている生徒諸君の日本語は全く別である。彼ら彼女らは、「でゃあ/でゅあ/でぇえ/でょお」「どぁあ/どぇえ/どぉお」「ぢゃあ/ぢゅう/ぢょお」の類いの濁った音声を発しない。よく言えば知的で現代的、悪く言えば日本全国一律の標準語を話すので、講演会に集まってくる彼ら彼女らと話しても「思えば遠くへ来たもんだ」という実感はない。それは広島でも熊本でも秋田でも同じで、「遠くに来た」という実感を得るためには、60歳から上のオジサンかオバサンをつかまえて話してみるしかないのである。
わたる
(錦帯橋をわたる)

 錦帯橋は雨である。強風が吹き荒れ、何度も傘を飛ばされそうになる。流れの速い川の右岸から左岸に向かって橋を渡った。こんな悪天候でも観光客は存在する。キャリーバッグを引きずっているヒトまでいる。雨に濡れて滑りやすくなった橋の上を、それでもゴロゴロバッグを引きずって、ありゃりゃ、そんなことしたら大切な橋がどんどん傷ついてしまいそうだが、どうもそんなことには一切おかまいなしのようである。
 山陽本線の岩国駅までバスに乗って、岩国から山陽本線の電車で宮島口まで30分ほど。岩国駅前もそうだったが、とにかくどこに行っても「東進衛星予備校」の看板が並んでいて、観光しながらもいちいち盛り上がる。沿線で目立つものは、「工場萌え」のヒトたちがいかにも大喜びしそうな広大な工業地帯と、その煤煙で黒く煤けた家々の壁と、東進衛星予備校のコバルト色の看板ばかりである。
 看板がたくさんあるということは、生徒もたくさん存在するということで、駅でも電車の車内でも「ありゃりゃ、あれって今井じゃね?」「うわ、今井だ!! なんで?」という、お互いに激しい視線のやりとりが延々と続くのであった。
島耕作バス
(岩国を走る「島耕作バス」。これが一般の乗り合いバスである)

 宮島口に到着、13時ごろ。宮島に渡る連絡船乗り場は目と鼻の先であるが、連絡船にはJR西日本が運航するものと広島電鉄が運航するものの2種類があって、2社が激しくつば迫り合いをしている様子。JRのほうは「宮島の大鳥居に大接近するのはJRだけ」の看板を出し、HPでもそのことをデカデカと広告している。JR宮島口の駅にも連絡船のチケット販売機を数台設置し、「ここでキップを買わせてしまえば、あとから客の気が変わって広島電鉄に乗り換えようとしても、そうはさせるものか」という気合いの入れようである。
 それに比べると広島電鉄のほうは大人しくて、どうやら余裕の戦い方をしているらしい。確かに、広島市民が愛するのは圧倒的に「ひろでん(広島電鉄の略称)」であって、「ま、よそ者をJRにとられても、広島からの観光客はみんなこっちに来るはずだ」ということなのかもしれない。
宮島
(宮島の大鳥居、厳島神社から)

 駅前に妙な地下道があるのも面白い。エレベーターが合計4機も設置してあって、「おお、これなら濡れずに連絡船乗り場まで行き着ける」と大きな期待をいだかせるが、驚いたことにこの地下道は駅前の道路を横切るだけで、誠に呆気なく地上に出てしまう。しかも地下道の中は、行きは絶句するほど魚臭くて、帰りは同様に絶句するほど煮物臭かった。この地下道を通ったヒトの99.9%が、友人どうし/家族同士/恋人同士で「なんだ、こりゃ!?」と顔を見合わせただろうが、こういうのを「税金の無駄」とか言っていちいち腹を立てるのは、野暮なだけである。大いに笑い、大いに驚き、大いにツッコンで、それ以外何の問題も感じなくていいのだ。