Sat 100227 地元イカ応援団 2次会の昭和スナック 故郷を出るのも帰るのも後ろ向き | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 100227 地元イカ応援団 2次会の昭和スナック 故郷を出るのも帰るのも後ろ向き

 3月5日、佐世保での講演会の終了後、佐世保のスタッフの皆さんとお食事会に出かけた。その店でも、昨日の記事で書いたドアノブに劣らない美しい磁器の器やら置物やらが次から次へと現れた。店に入ってすぐ、真っ白い磁器で作ったネコ科の動物の置物を発見。何のことはない、ニャゴロワどんはちゃんと佐世保までついてきていたのである。他のお皿もみんなキレイな磁器。写真はボヤけてしまったが、子供が輪投げに興じている図柄など、たいへん可愛らしいものが多い。
にゃご焼き
(佐世保で発見したニャゴ姉さんの置物)

 イカの刺身が出て、「呼子のイカは九州の誇りである」という話になった。一昨日は函館で「イカは函館の誇りです」、イカの内臓が気に入ってムシャムシャやっていたら「今井先生がイカの内臓を食べてくれた」と大喜びされた。「イカそうめん定食」とか「イカ刺し丼」まであって、函館の人は自分でイカを釣り、釣ったイカを丼メシと一緒に飲み込んでしまうのである。
 日本列島をほぼ縦断して長崎県にやってきて、ここでもイカをムシャムシャやって大いに喜ばれる。まだ代ゼミにいたころ、休みの日に福岡から延々と各駅停車に乗って、唐津に出かけたことがある。唐津城をブラブラ見てまわって、それからのんびり日本酒を傾けイカ刺しを堪能した。透き通ったイカが時々刻々と色を変えるのがキレイだった。唐津城では桜が4~5分咲きだったから、ちょうどこのぐらいの季節。選抜高校野球の中継が駅のテレビで流れていた。
わなげ
(小皿に描かれた子供の輪投げシーン)

 そういうことを思い出しながら、「北海道のイカと九州のイカと、どっちが旨いですか?」と涙目で見つめられると、さすがに返答に困ってしまう。地球規模の視点で見れば、「どちら」も何も、函館と呼子、北海道と九州はほんのお隣どうしであって、2つの選択肢として設定するほど遠く離れてはいないのだ。それでも地元のイカ応援団の皆さんが涙目になる気持ちもまたよくわかる。要するに、それほど自信をもってイカ君たちを戦いに送りだすほどイカが大好きなのだ。今日のイカもまた最後の断末魔まで強情に頑張って、最後に残った「刺身にできない部位」までが、立派な天ぷらに姿をかえて再登場したのであった。
 1次会終了後、若い諸君たちだけとコッソリ2次会に出かけた。というよりホテルに帰る道を間違えて、若い諸君もよくわからなくなってしまい、せっかくなら「馴染みのスナックがあるから2次会にしませんか?」ということになったのである。こういうお誘いはたいへんありがたい。主催者側の塾長先生や偉い上司の方が同席している状況では、若い諸君が今井どんに正直な悩みなどを相談しようと思っても、なかなか出来るものではない。今井君もそういう彼ら彼女らの悩みを聞いて、講師としてまだまだ成長したいのである。
佐世保昭和通り
(佐世保の夜、昭和の香りのストリート)

 そういう流れで迷いこんだ2次会のスナック付近が、上の写真。おお、レトロ、おお、昭和。おお、何ともはや今井ウワバミノフスキー向きの通りである。さすが佐世保というか、店のカウンターでお仕事中のお姉さまたちも、昭和から切り抜いてきた濃厚な演歌の世界。「先生もどうぞ1曲お願いします」と盛んにカラオケを勧められたが、これは今井君なんかがシャシャリ出てマイクを握るような雰囲気ではない。濃厚な場は濃厚な人たちに任せて、ウワバミはウワバミらしく、オロチはオロチらしく、ひたすらウィスキーを煽ることに努めるのだった。
 こういうふうで、この日もどうやってホテルに戻ったか、よく記憶していない。それでも朝は早起きして、8時の特急「みどり」で博多に戻ったのだから、オロチはオロチなりに立派である。この日の佐世保は雨。雨の中を「みどり」はお馴染み「後ろ向きに発車」する。大村湾が美しいが、その大村湾を左手に見ながら、グリーン車の客は全員後ろ向きになって、何だか過去に引き込まれていくような錯覚をおぼえるのである。
 佐世保も秋田と同じように、JRグループによって軽視され、小バカにされ、しかも誰も苦情を言わないのだ。博多から来ると、佐世保の手前「早岐(はいき)」の駅で進行方向が変わる。突然後ろ向きに走り出すから、乗っている客の驚きは並大抵のものではない。博多に向かうときは、発車から10分ほど、早岐の駅まで後ろ向きである。
 ほんの1ヶ月前に秋田新幹線で同じ目にあったが、佐世保の人も「故郷を出るときも、故郷に帰るときも、後ろ向き」を強要される。「大したことないだろう、ワガママいうな」というのは、こういう目にあったことのない恵まれた地域の人の言うことで、実際に被害者になれば、そのミジメさは筆舌に尽くしがたいのである。
リレーつばめ
(恵まれた人々のための「リレーつばめ」。九州新幹線が開通すれば、これも必要なくなる)

 こういうことをしておいて、一方でJR九州は相変わらず異常なほどの過剰サービスをやめない。博多駅のホームに立ってみたまえ。構内放送のあまりのやかましさに、思わず耳を覆うはずである。常に何らかの放送をするのがサービスだと誤解している節があって、「ご理解とご協力をお願いいたします」が延々と繰り返される。「喫煙室が混み合いましてご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします」を、たった15分間にいったいどうして3回も放送しなければならないのか、理解に苦しむ。そんなヒマがあったら、佐世保の人の「後ろ向き」をどうにかしてあげてほしいものである。

1E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE 2/2
2E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 10/18
3E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 11/18
6D(Dmv) GLADIATOR
16A(γ) A TREASURY OF WORLD LITERATURE:STENDHAL 2
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