Thu 091119 慇懃無礼なJRより、傲慢な国鉄が好きだった 国鉄職員の息子として恥ずかしい | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 091119 慇懃無礼なJRより、傲慢な国鉄が好きだった 国鉄職員の息子として恥ずかしい

 こんなふうにして静岡まで往復してきたわけであるが(スミマセン、若干、昨日の続きかもしれません)相変わらず、静岡は遠かった。東京駅発15時半の「こだま」に乗って、静岡まで1時間半かけて、「ようやく」「やっとのことで」という思いてたどり着くのである。1時間半というのは、「のぞみ」なら名古屋に到着するのと同じ。「はやて」なら仙台に、飛行機なら福岡にも札幌にも行ける。距離的にはほとんど首都圏とさえ呼べるのに、なぜかJRは意地悪をして、静岡を遠くへ遠くへ押しやり、決して近づけないように細心の努力を続けているように見える。


 特に、「こだま」はひどい。同じ新幹線代を支払っているのに、そのサービスは「のぞみ」とは比較にもならない。まず、グリーン車には各座席に無料で置いてあるはずの2冊の雑誌「WEDGE」と「ひととき」のうち、どちらか一方が欠けている。どちらも「お持ち帰り自由」の雑誌だから、「お持ち帰り」された後の補充を怠けているのである。JR東海として、補充を担当する子会社or関連会社の怠慢を放置しているわけである。

 

2001
(1960年代の「国鉄監修 時刻表」、日本交通公社版。JTBとかJRとか、そういう軽薄な時代ではなかった)


 「怠慢を放置する」とは、わかりやすく翻訳すれば「まあ、たかが『こだま』の乗客なんだから、いちいちキチンと要求を聞いてやる必要なんかないだろう。どうせ文句なんか言ってくるヤツはいないし、言ってきたってどうせ小物なんだから、無視していればいい」ということである。そういう姿勢が上層部にあるから、上層部の姿勢が、一般の社員にも、下請けの関連会社にも、どんどん浸透してしまうのである。これでは、悪名高いJR西日本とちっとも変わらない。


 「のぞみ」のグリーン車なら、まず女性アテンダントが乗客の一人一人におしぼりを手渡し、検札の時も「グリーン車の利用ありがとうございます」と深々と頭を下げる。ところが「こだま」では、おしぼりサービスさえ省略。検札は車掌。「ありがとうございます」の一言もない。静岡にたどり着くのにさえ、小田原と新富士とで長時間停車して、たくさんの「のぞみ」に追い抜かれるのを、客は無言のまま歯を食いしばって我慢しなければならない。

 

2002
(1960年代時刻表の裏表紙広告。質実剛健ぶりがいい)


 それで少しでも料金が安くなるかと言えば、開業以来もう45年にわたって、目ぼしい割引は存在ない。「こだま」で静岡にたどり着くのと、「のぞみ」で名古屋までいくのと、ほとんど同じだけの時間がかかり、「じゃあ『ひかり』に乗ればいいだろう」と思うと、「ひかり」でさえ静岡を通過することがあるのだ。常識で言っても、静岡と浜松には、何らかのサービスがあってしかるべきである。


 そう思って、今まで何度もJRの人にはクレームを言ってきたのだが、クレームに「聞く耳持ちません」という態度は全社的に共通。「聞く耳もたない」というより、正確に言えば「聞き流す」「聞いているフリをして、実際には耳を塞いでいる」「クレームを『上司に伝える』と受け答えをしても、もちろん伝達などしない」、要するに馬耳東風ということである。彼らが劇的に変化することなど、期待する方がどうかしている。

 

2003
(1960年代の新幹線時刻表。まだ静岡は虐げられていない)


 一番問題なのは、「相手にしない」という姿勢が基本にあるくせに、ウワベだけは「お客さまの声には真摯に耳を傾けます」「お客様のご意見はしっかり拝聴いたします」という姿勢を見せようとすることである。全社的な方針として、クレームを隠蔽するわけである。JR西日本の隠蔽体質ばかりが問題にされているが、旧国鉄から引き継いだ負の遺産なら、別に西日本に限ったことではないはずだ。


 「とりあえず聞いたフリだけはしておく」という、一見腰の低い慇懃無礼が加わっただけで、あとは全く変わっていない。まず謝罪のフリをし、背中でせせら笑って、情報は隠蔽する。万が一バレたら、深々と頭を下げて謝罪する。そしてまた背中でせせら笑っている。そしてまたバレる。バレたら今度は涙を流して、心から反省していると謝罪する。でもまた背中でせせら笑って、また隠蔽する。バレる→謝罪する→背中でせせら笑う→バレる、こういう無限の連鎖で、乗客も国民も呆れかえり、やがて呆然としてクレームを持ち込むことにさえ疲れ果ててしまう。彼らがひたすら待っているのは、福知山線の事故の件でJR西日本がひたすら待ち受けていたのは、それである。

 

2004
(1960年代、北海道路線図。炭坑地帯を縦横に国鉄が走っていた)


 そんな慇懃無礼をするなら、30年も40年も前の国鉄の鉄壁の官僚ぶりの方がまだよかった。戦前の「鉄道省」から日本国有鉄道まで、まっすぐに堂々と鉄骨のように貫かれていた「乗せてやる」「お前らは貨物みたいなもんである」「文句言わないで黙って乗ってろ」から、極めつけは「別に頼んで乗ってもらわなくてもいいんだ」「客なんか、他にいくらでもいる」という、まるで旧共産主義国家の警察官みたいな、猜疑心と侮蔑の錆びた鎧で鉄壁の守りを固めたような、前世紀の国鉄マンの方が、まだずっと潔かったのである。


 ついでにいうと、ヨーロッパの航空会社にはいまだにそういう態度が目立つところもある。というより、ほとんどがそうである。フランクフルトでも、パリでも、マルペンサでも、空港のいたるところでそういう態度で小突き回される。彼らとしては「別にアンタたちに乗ってもらわなくてもいいんだ」なのである。そういう態度に触れるたびに、ANAでもJALでも、「何て素晴らしい接客態度なんだ」と感動することしきりである。諸君、日本の航空会社をぜひ大切にしようではないか。は?なんだそりゃ。

1E(Cd) Barbirolli & Berliner:MAHLER/SYMPHONY No.9
2E(Cd) Rattle & Bournmouth:MAHLER/SYMPHONY No.10
3E(Cd) Goldberg & Lupu:SCHUBERT/MUSIC FOR VIOLIN & PIANO 1/2
4E(Cd) Goldberg & Lupu:SCHUBERT/MUSIC FOR VIOLIN & PIANO 2/2
5E(Cd) Wand & Berliner:SCHUBERT/SYMPHONY No.8 & No.9 1/2
8D(DvMv) DANGEROUS LIAISONS
total m32 y1571 d3814