Mon 091116 ごく内輪で早稲田祭の打ち上げ ジングル女 他大学もどんどん呼んでケロ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 091116 ごく内輪で早稲田祭の打ち上げ ジングル女 他大学もどんどん呼んでケロ

 早稲田祭講演会の終了、14時半(今日でやっと早稲田祭の話は終わります。ご辛抱ください)。サイン会では、会場撤収の都合で聴衆全体の10%しかサインできないという残念きわまりない状況になったが、とにかく汗まみれになっての講演は、講演会にはすっかり慣れてしまった今井君でさえ信じられないほどの大成功。ワイシャツばかりかネクタイまで汗でビッショリになってしまい、ほどこうと思ってもなかなかうまくほどけない。ほどけないワッカのまま、首からイヌの首輪のように引き抜いて、この大成功を祝った。


 いったんタクシーで代々木上原の自宅に戻って、汗みどろのスーツを普段着に着替えてから、ごくごく内輪の人間だけの打ち上げに出かける。学生諸君は会場の撤収や後片付けのせいで参加できないから、今日は講演会の講師の苦労や、BGM選択の内幕をすべて知っている人間だけに限定された打ち上げである。


 16時半、渋谷の安いイタリア料理店。生ビールに、安い白ワイン、チーズ盛り合わせ/ピザ・クワトロフロマッジョ/3~4人前のでかいズッパ・ディ・ペッシェ/生ハム盛り合わせなど。まあ、そういうどうでもいいようなメニューをどんどん注文して、大成功だったシーンのおさらいで、大いに盛り上がった。


 隣りのテーブル(といっても、何だか夢のように遠く離れていたが)では、中高年7~8人のグループが、今やパーティーの佳境を迎えている。結婚式か、それに類するパーティーの2次会のようである。その真ん中に席を占めた中年前期の女が、実にわざとらしく、実に頻繁に、実に押しの強い声でよく笑う。話の内容は、テーブルが遠く離れているせいでよく聞き取れない。ゴルフの話、テルアキ君だかカズアキ君だか、話題の中心は今日結婚したばかりの若いカップルの噂話なのだが、要するにその場にいない人間をサカナにした悪口で大いに笑おうという、あんまり趣味のよくないパーティーのようである。

 

1990
(熱演、最終段階)


 そのよく笑う女性を、しばらく観察していた。ヘアスタイルはロングでもショートでもない中途半端な長さで、「昨日美容院に行きました」「今日の午前中パーマ&セットしてきました」という感じ、大量のヘアスプレーの匂いがまだプンプンするような、そういう頭である。息子なり娘なりの小学校お受験に一段落ついて、夢中になるものが突然なくなったという年代、30歳代後半から40歳代前半に移行寸前、ちょっとけだるさを感じさせるマカロンみたいな色彩のスーツである。


 この女性が、実によく笑う。グループのオジサンやおじいさんが何か一言発言するたびに、誰も笑わず、誰も反応しなくても、彼女だけはひとり激しい反応を示すのだ。見ていてちょっと可哀想になるぐらい、グループの誰からも好かれていないのが、一目でわかってしまう。そして好かれていない原因はまさに彼女のそのけたたましい笑いのせいであり、彼女が笑えば笑うほど周囲の人間はシラケてしまい、だからこそますます彼女の笑いはけたたましくなる。


 欧米のTVでお笑い番組を見ていると、わざとらしいお笑いのジングルが入るのに辟易する。日本の番組に慣れた肥えた目で見ると信じられないほどいい加減な「観客席の笑い声」のジングルが入るのである。放送局も、ディレクターも、おそらく放送局の社長も理事会も完全に投げ槍。いちいち生の観客を集めて笑い声を収録するのは面倒だから、客席の笑いをジングル化してしまったわけで、「グァグァグァァァー」という雑音にしか聞こえない「客席からの」という前提の笑い声が、要所要所にしつこく入ってくる。


 これが、15秒に1度の割合。登場人物の発言は確実に「笑える」ということになっていて、視聴者が笑うタイミングが取りやすいようにという工夫のつもりなのだろう。この辺は、関西の人の方がわかると思うのだが、チャーリー浜の一言一言に、いちいち大笑いする大阪のおばちゃんというのがいる。チャーリー浜のギャグそれ自体は、「東京の冷たい人間」が冷たく分析したりすれば、あまり笑えない「定型ギャグ」がほとんどなのだが、周囲のオバちゃんが暖かい笑いで笑いまくるから、そのまた周囲も暖かく笑わずにはいられなくなるのだ。


 欧米の笑いのジングルは、その亜流と言っていい。登場人物の発言ひとつひとつに、いちいち「グァグァグァァー」「グァグァグァァー」「グァグァグァァー」という笑いのジングルがはいる。一般的なギャグで1.2秒、キメのギャグで1.9秒、ボリュームさえ機械的で、「キメ」は「一般」の1.2~1.5倍程度に大きくなる(注:この辺の数字には何の根拠もありません)。


 すると、あら不思議、笑っていない自分のほうが、なんだか冷たい、なんだか協調性のない、「無愛想やなあ」「東京の人は冷たいでえ」と関西の人になじられるような、要するにダメ人間の典型のように感じられ、機械的ジングルに合わせて慌ててヘラヘラニヤニヤ笑うようになってしまうのである。つい2ヶ月前、冷たい雨と風が激しくなったエジンバラで、午前中いっぱいホテルで怠け、TVでそんなお笑いを見て過ごしてきたばかりである。

 

1991
(サイン会の長い列)


 渋谷のイタリア料理店での女性の笑いは、これとそっくりであった。テルアキ君だかヨシアキ君だかトシアキ君だか、とにかくその場で話題になっている人物のゴルフのプレーが一言話題になるたびに、ほとんど完全にジングル的に、デカく甲高い笑い声が響きわたるのである。文字に表すのはなかなか難しいが、「うふあは、いひあは、えへあははあぁー」というところか。つまり、隣りのテーブルのジングルだらけの会話は、以下のような感じで進んでいたのだ。
「あのとき、テルアキ君が、ドライバーで打っただろう」
「うふあは、いひあは、えへあははあぁー♨」
「しかし、ボールがあそこで弾んで池に入っちゃって」
「うふあは、いひあは、えへあははあぁー♨」
「で、テルアキ君がカズアキ君に食ってかかってねえ」
「うふあは、いひあは、えへあははあぁー♨」
「で、今度テルアキ君が、ユーコ君と結婚するって突然言い出して」
「うふあは、いひあは、えへあははあぁー♨」
「で、カズアキ君がビックリしたわけだ、ゴルフみたいに失敗したらどうするんだって」
「うふあは、いひあは、えへあははあぁー♨」
「結婚もまた池ポチャだったら、たいへんだねえ」
「うふあは、いひあは、えへあははあぁー♨」
「でも、まあ今日はおめでたいねえ」
「うふあは、いひあは、えへあははあぁー♨」
「今度は、いよいよカズアキ君の番になったわけだねえ」
「うふあは、いひあは、えへあははあぁー♨」
まあ、誠に残念なことではあるが、このジングル女が、その中高年グループの誰かから好かれているという印象は全くなかった。さぞかし寂しい日々なのではないだろうか。


 そこで、我々のテーブルで話題になったのが、今井グマがどれほど幸せであるかということであった。同じ笑い方でも、湧き上がってくる本心からの笑いを我慢して、懸命に我慢して我慢して、それでも我慢できずに笑う心の底からの笑いを、30秒に1回、1分に1回でもいい、全身で感じられるというのは、おそらく最高の幸福なのである。


 講演会に出かけた先のお食事会でよく耳にするのは、今井の授業を受ける生徒たちは、隣りの生徒のジャマにならないように、口を塞ぐタオルを用意している、タオルを忘れた生徒には校舎サイドからタオルを貸し出しているという話である。しかも、それが雑談で笑うのではなくて、授業内容の面白さでタオルが必要になるというのが素晴らしいではないか。今日の早稲田大学でも、全身汗みずくになりながら、そういう爆発的な笑いを750人分、正面から体感できたのである。

 

1992
(2009早稲田祭の話は、ホントにこれで最後。来年は、ぜひ他の大学の諸君も遠慮せず今井を呼んでください。スケジュールさえ合えば、行きますよ)


 さて、やっとのことで早稲田祭の1日の詳細を書き終わるにあたり、今後とも大学生諸君が今井を学園祭に呼んでくださることを心待ちにしていることを、もう1度書いておきたい。今井は、大学受験がうまくいかなかったり、誰かに対するちょっとしたコンプレックスをかかえたりして大学に入っていった元生徒たちの、その入学後や就職後が気になって仕方がない。今回の早稲田大学と同じように、下らないコンプレックスがあるならそれを一掃して、気持ちよくその先に進んでもらえるような講演を、全国の大学でどんどん続けていきたいのである。


 九州大学の諸君、どうだろうか。福岡/熊本/大分、九州+山口&広島には今井の生徒が非常に多いはずである。駿台福岡校だって3年続けて毎週通った。あれはもう15年も前だから、当時の受講生たちは30歳代になっている。彼らも合わせて、ぜひ今井を呼んでくれたまえ。


 明治/法政/中央あたりの学生諸君、いまだに何とないコンプレックスに悩んでいるなら、学園祭に今井を呼びたまえ。必ず大成功にしてみせる自信がある。東進に今井宛で手紙を1通くれれば、その企画は必ず実現する。遠慮することは全くない。大学に進んだ後にこそ、予備校講師と話す価値は、どんどん、ますます高まってくるというのが、本当のあるべき姿と考えている。


 やろうぜ、やろうぜ。遠慮なく、どんどんやろうぜ。ツキノワどんは、そう熱望している。いまや、ミスコンテストで軽薄に盛り上がる学園祭なんか時代遅れ。模擬店ばかりじゃ、高校の文化祭と同じレベルで終わっちゃうよん。無反省なタレント頼みも悲しいよん。それよりクマどんを呼んで、前代未聞に盛り上がろうではないか。