Mon 091109 大和西大寺での講演会 「難関校受験タイプ」の教材をもっと使いたい | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 091109 大和西大寺での講演会 「難関校受験タイプ」の教材をもっと使いたい

 11月6日、京都発17時半の電車で、大和西大寺には18時前に到着した。やはり唐招提寺&興福寺阿修羅像の人気なのだろうか、特急も満席。いつもの年なら通勤時間帯でもゆっくり座れる特急なのに、今日は完全に満席で、隣りの席にも客がいる。奈良までたった30分の間だが、ゲームに夢中の隣りのオジサンが気になって、すっかり肩が凝ってしまった。この状態で講演会はキツいが、特に今日の講演会は、初めて使用する「難関校受験タイプ」の教材である。会場には高1から高3まで3学年の高校生が入り、通う高校もさまざま。京大受験の有名進学校3年生から、「志望校なんか見当もつきません」というごく普通の県立高校1年生まで、まさに千差万別である。

 

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(大和西大寺での公開授業 1)


 関西や九州はキチンとした国公立大学がズラリと揃っているから、国公立志向が非常に強い。それはたいへんいいことなのだろうが、「国公立の英語、イコール和訳問題」だから「細かい文法学習は無意味」というバカげた誤解が定着しているのは、困った状況である。塾や予備校の先生方でさえ、ちゃんとわかっていない。というか、むしろ予備校の講師たちがそういうバカバカしい誤解を、おおっぴらに広げてきた経緯がある。


「国公立は、京大も阪大も神戸大も、府立大でも市立大でも、結局、和訳と英作文ばっかしや。細かい文法問題とか、私立の問題とか、そういう国公立の出題傾向と違うのをやっても、ぜんぜん、意味ナイでえ」
こういうことを、おそらく生徒や保護者の喝采を浴びることばかりを考えたのだろう、オシの強い講師たちが、オシの強い関西弁でこぞってしゃべりまくった結果、「国公立志望→文法学習なんか無意味ヤデえ」という短絡志向がすっかり根を下ろしている。文法を材料に使って和訳練習に励むとか、文法を徹底させて英作文の力を磨くとか、そういう地道な発想がなくなって、何だか非常に短絡的にエゲツなく出題傾向の研究にいそしむのが、関西の受験勉強の困った傾向である。

 

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(大和西大寺での公開授業 2)


 「そういう勉強の仕方は、間違いである」と、この傾向に修正を加え、受験勉強を向上させるのが今回の「難関校受験タイプ」の教材の狙いである。圧倒的に国公立志望者が多い奈良の校舎に150名ほどの受講生を集めて、あえて私立難関大の文法問題10問を徹底解説し、解説しながら、
「文法学習がキチンとできていないとどれほどバタバタ減点されていくか」
「どれほどミジメな和訳になるか」
「どれほど無残に減点される英作文しか書けないか」
を痛感させる授業なのである。


 もちろん逆に、早めにキチンと文法や単語の力をつけていけば、国公立でもどれほど有利に戦いを展開できるかも痛感すると思う。要するに、「英語の実力をつける」ということが王道なのであって、出題傾向とか「お得な方法」とか「どうすれば儲かるか」とか、そういう軽薄なことは、後から付録のように、あるいはマイレージや家電量販店のポイントのように、カンタンにくっついてくるものである。

 

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(大和西大寺での公開授業 3)


 出題傾向ばかりあんまり強調しすぎると、ポイント集めに汲々として本質を見逃すマイラーよろしく、英語学習の一番おいしいところを捨ててしまう愚に陥る。「高級フランス料理を作るんだから、高級フランス料理の練習や」ということなのだろうが、だからこそタマネギの刻み方/ジャガイモの茹で方/エビの剥き方、そういうことをしっかり練習すべきだ、という地道な考えが正しくないはずはない。


 120分近く、授業に雑談に熱弁をふるい、いつも通りの爆笑も随所に出たし、相当のボリュームのあった教材もキチンと最後まで終了して、大いに満足できる出来。奈良・大和西大寺の生徒諸君は、講演のネライをしっかり理解してくれたようであった。19時開始、21時終了。これからも、全国で「難関校受験タイプ」の教材を是非積極的に活用していきたい。北大志向/東北大志向/名古屋大志向/九州大志向の異常なほど強い地域であっても、「まず文法と単語を完璧に」という意識を徹底させれば、より着実で本格的で攻撃的な受験勉強に励む生徒がどんどん増加すると信じている。

 

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(大和西大寺での公開授業 4)


 終了後、21時46分発の近鉄特急で京都に戻る。駅にいると「尼崎行き」という電車が走っている。これもまた新しい相互乗り入れなのだろうか。驚いていると、高1ぐらいの高校生が今井君の顔を穴の空くほどジロジロ睨みながら通り過ぎていく。おお、こういう時には、ぜひ積極的に話しかけてほしいのである。見ているだけで終わらせてほしくない。彼は、特急より1本前の京都方面の各駅停車に乗り込んで、電車の中からもこちらをジーっと睨みながら帰っていってしまった。