Mon 100208 春一番の不思議な1日 根津の串揚げ屋「はん亭」 日本橋高島屋周辺で | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 100208 春一番の不思議な1日 根津の串揚げ屋「はん亭」 日本橋高島屋周辺で

 2月25日、春一番が吹いた日は、昼も夜も何だかたいへん不思議な1日で、生あたたかい強風の中でいつまでもうつらうつら、少し重たいうたた寝をしている気分であった。夕方から千駄ヶ谷の国立能楽堂で狂言3本を見る予定で、しかし暖かさに浮かれて昼前にはもう家を出た。
 そこいら中で紅い梅やら白い梅やらが満開である。気温は20℃ということになっているが、それはあくまで気象庁発表であって、体感温度はそれより2℃か3℃は高い。それでも夜の冷え込みに備えて冬のコートを着ているから、汗をかかずにいるのが難しい。
 駅に向かって坂を降りていくと、反対のほうから坂を登ってくる中学生や高校生とたくさん出会う。おお、もう3学期の期末試験の時期である。明日は2月26日だから「226事件」の日。226事件は70年前の大雪の中で起こった。この生ぬるいうらうらした春の気温では、とても想像もつかない。
 中学入試も、高校入試も、大学入試も、もうほとんどすべて終わって暢気な春がやってくる。ホントはもっとずっと冷え込んで、思わずコートの襟をかきあわせるぐらいの鋭い寒さの中で2月の入試の時期を過ごしたほうが感動も記憶も強烈になるのだ。だから、せっかくの国公立大学の入試本番の日に、この暖かさは何だか残念である。
 根津で降りて、もともとは上野の美術館に行くつもりが、どうしたわけか「串揚げの店・はん亭」にスルリと入ってしまう。まあ、昼飯時だったのである。しかも2月25日は久しぶりに講演会のない日である。たとえ夕方19時からの講演会でも、「昼飯に酒」というわけには絶対にいかないから、今日は久しぶりにその「昼飯に酒」をやってみようと考えた。

(地下鉄千代田線、根津駅の真上にある豚肉専門店の看板ブタ。ヨーロッパでよく見かけるヤツらの仲間かと思われる)

 根津は、東大本郷の裏であって、今頃は日本で一番優秀な受験生たちが試験問題に真剣に取り組んでいるはずである。何十年も前、この今井君も(当時は3月8日)その一員であって、数学が1問も解けないことに絶望していた時間帯だったかもしれない。そういう自らの絶望記念日に、本郷至近の店で「昼飯に酒」である。リベンジのようにも思い、「どうやらリベンジなんか出来そうにない、やっぱり数学のできる東大組には、何十年かかっても勝てそうにない」という確認の酒であるようにも思うのである。
 「はん亭」は2度目。つい2週間前の寒い日に来て気に入った。根津の駅を出るとすぐ目の前、古い蔵を木造の和風建築で囲んだような、特徴のある2階建てがそれである。前回はすいていたが、どうもグルメ雑誌かなにかで紹介されたらしくて、今日は大繁盛、というよりむしろ大混雑である。忙しすぎて店員さんの笑顔が引きつっているようにも見えるが、この繁盛ぶりでは致し方ないだろう。
 予約した生保レディ風のオバサン4人組、予約していない60代と思われるオバサン5~6人組、今井どんの隣で白ワインのボトル1本注文したなかなかいけてる老夫婦、週末の宴会の予約のためににわざわざこの忙しい時間帯を選んでやってきた70歳代のオジサン4人組、そういうありとあらゆる種類の客で「ごったがえす」という感じ。そのオジサン4人組がずっとドアを開け放しているのにムカついたけれども、まあ考えてみればこっちもオジサンであるばかりか、入店してわずかな間に、串揚げ8本/ビール1本/日本酒2本を空っぽにしてしまったチューネンおやじなのだから、ハタから見たらその迷惑さ加減はほぼ同じ穴のムジナである。

(地下鉄東西線・日本橋駅の「高島屋」案内板)

 気持ちよくほろ酔いになったところで、暖かな江戸の街をぶらぶら、日本橋に出て「丸善」「高島屋」と歩き回れば、おお、まさに単なる困ったオヤジである。困ったオヤジは国立能楽堂までの時間をすっかり持て余し(だってまだ15時まえ、狂言は19時からだったのだ)、高島屋の脇を地下に降りていく床屋に入って、スッキリ6mmの丸刈り頭に戻ることにした。もちろん、ほろ酔いで床屋に入れば、1時間弱は居眠りしていられる道理なので、16時ちょっとに涼しい頭を撫でながら外にでると、酔いもおおかた醒め、暖かすぎた昼間の気温も下がりはじめて、強風が少し冷たいぐらいだった。

(日本橋高島屋・地下エントランスの「ローズちゃん」)

 床屋からでた後は、すぐ近くにあった「サンマルク・カフェ」で時間をつぶすことにした。いやはや、今井君はこの手の「カフェ」というものに入ったことがあまりないから、入るたびにそこには異次元空間が広がっているような気分になる。
 数年前、奈良で講演会があって、近鉄奈良駅前で時間をつぶすために初めて「スタバ」に入ってみた。ところが、若い諸君がそろいもそろって「なんとかぷるぷるマキアート」とか、何だかコシャクな横文字をホザイている。「なんじゃ、そんな軟弱なことでどうするんじゃ!!」と怒りがノドの奥からこみ上げてくるのを抑えられなくなり、店も震えるばかりの大声で「アイスコーヒー、ください」と一言怒鳴ってみた。おお。

(日本橋高島屋地下、「紳士用化粧室」の「エンゼルちゃん」)

 その瞬間を「集団シカト」と呼ぶのだろうが、店は一瞬静まり返り、一瞬の後にさっきの賑わいを取り戻し、客は「てんてんぷるぷるマキアート」を注文し、店員は活気を取り戻してその「マキアート」なるものをトレーに並べはじめた。「店員」というのもおそらく間違いで、「スタッフ」、うんにゃ「サービス・クルー」とか「サービス・アテンダント」とかに違いない。おお。あれからいくらか「タリーズ」だの「エクセルシオール」だの、くだらん世間のこともいろいろ学んだから、今井君は今や軟弱な「カフェでまったり」も出来ないことはない。

(重要文化財・日本橋高島屋、1階正面「薔薇のエントランス」)

 今日の「サンマルク」は、おお。やっぱりお互いのテーブルの異様な近さがイヤ。テーブルの安っぽさがキライ。座っているオヤジたちのとげとげしい視線がウザイ。特にテーブルの脇の男子トイレで、その内部の音がハッキリ生々しく聞き取れるのが耐えがたい。ジョーとかジャーとかはまだ許せるとして、ブリとかベチョはさすがにいただけない(尾籠でスミマセン)。というか、この環境を放置しておいて「ここは飲食店です」と自信をもって言えるのか、そこが不思議でならない。客も客で、そういうことに苦情も言わず黙ってパソコンをいじっているけれども、こんな環境でいいレポートがまとまったりするのか、それも不思議である。
 ま、いいだろう。やっぱりこういう場所は自分には合わないということである。早々に退散して、夕暮れの日本橋の街に戻ることにした。(明日の記事に続く)

1E(Cd) John Coltrane:AFRICA/BRASS
2E(Cd) Bill Evans:GETTING SENTIMENTAL
3E(Cd) George Duke:COOL
4E(Cd) Billy Joel Greatest Hits 2/2
5E(Cd) Joe Sample:RAINBOW SEEKER
6E(Cd) Joe Sample & Lalah Hathaway:THE SONG LIVES ON
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