Thu 091015 続・熊本上通り講演会 延長を思いとどまる理由 走って帰りたまえ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 091015 続・熊本上通り講演会 延長を思いとどまる理由 走って帰りたまえ

 で、熊本の高校2年生に何を語ったかと言えば(スミマセン、昨日の続きです)、他の場所での講演と趣旨は同じで、一言で言えば「早く始めなさい」ということである。高2の11月に受験勉強のスタートを切っていないようでは、取り返しがつかないほどの手遅れになってしまうから、秋にはもう高2生が受験生の主力メンバー、熊が来熊して語りかける相手は彼ら&彼女たちなのである。今井君が受験生の頃は、まだまだ世の中も暢気にできていて、受験勉強を始めるのは一般に部活の最後の大会が終わった高3の7月だった。今井君自身は高3の10月どころか、実際にエンジンがかかったのは、12月に入ってからだったから、本来なら高2生に向かって「高2の11月がラストチャンス」などと発言するのは「おこがましい」もいいところであるが、世の中の趨勢が大きく変化してしまったのだから、そんな甘いことは言っていられない。

 

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(箱に入っていたい1/本文とは何ひとつ関係ありません)


 受験勉強みたいなものは早く始めるに越したことはなくて、夢があり、志望があり、やりたいことがたくさんあるなら、とにかく今すぐ始めるのがいいのである。やらなくてはならないことがあって、それがイヤだから後回しにして、何となく不安をかかえてムクれているのは、カッコ悪いのである。


 後回しにしても、ちょうど虫歯に似たその重たい存在感はなくなってくれないから、後回しにすればするほど、どんどんムカつき、どんどんイライラするようになる。ムカついてイライラしていれば、旨いものを食べても旨くないし、面白いはずの本を読んでいてもちっとも面白くない。それでますますムクれ、ますますションボリし、ますますつまらなくなり、「つまらない」「カッタリー」と言いまくると、ますますカッコ悪いのである。


 せっかく夢があり志望があるのだから、やるべきことはどんどんホイホイ片付けたほうが爽快、だから今日すぐに始めることにして、遠慮することはないからどんどん進んで、参考書でも問題集でもホイホイやり終えてしまえばいい。授業を受けるのだって、遠慮は一切必要ないので、1年分の授業を3ヶ月で仕上げてしまうぐらい、何も悪くない。いや、2ヶ月で仕上げるぐらいが一番楽しいのだ。


 「そんなにスピードを出しすぎると危険だ」「全部わかったわけじゃない」「消化不良を起こす」の類いは、ま、よくわかっていない証拠。スキーでもクルマでも、スピードを出すから楽しいので、平らなところでスキーを引きずって歩くのが楽しいとか、「クルマは渋滞に限りますなあ。楽しいな、渋滞。ハマりたいな、大渋滞」などというのはヘンタイである。

 

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(箱に入っていたい2/本文とは何ひとつ関係ありません)


 そういう話を、エピソードもたっぷり入れながら語っていると、90分はあっという間である。「公開授業」という名前がついているので、英語の授業もしなければならないから、正直言って120分はほしいところであるが、講師がそんなぜいたくを言ってはならない。何と言っても平日の夜である。目の前の高校生130名は、朝から高校で6時間も7時間も授業を受けて、熊本は文武両道のメッカみたいなところだから、ほとんどが体育会系の部活に励んで、19時半にギリギリで熊本県民劇場に駆け込んでくる。終了21時、まだ晩飯も食べていないのだ。17歳にしてその生活は身体によくないだろう。どうしてもあと20分はしゃべりたいところなのだが、目の前の高校生のお腹の中を考えれば、ここで延長を思いとどまれないのは、講師としてワガママすぎるのだ。


 延長なんかしなくても、彼ら彼女らに伝えたいことは90分でしっかり伝わっているのである。「とにかく遠慮しないで、どんどんやっちゃいな、ね」ということを少し大袈裟に伝えるために「走って帰れ、今日からやれ」という話を最後にする。電車で帰るヒトは、電車の中で走ってもいい。バスで帰るなら、バスの中で走ってもいい。パパがクルマで迎えにくるなら、クルマに乗らずにクルマの横を走って帰るといい。帰ったら、弟や妹と一緒になっていないで(日曜日の講演会だと、「サザエさんなんか見ていないで」というところから一連のサザエさん批判が挿入されるのだが)、とにかく単語集を10ページやって、10ページ終わったらガッツポーズをとってから寝なさい、その程度の話で、カンタンに場内が大爆笑になるほど、この時点での盛り上がりは最高潮に達している。

 

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(無理でも、意地でも、入りたい)


 で、受講生の多くが、実際に走って帰るのである。サイン会とか握手会とか、無意味なイベントなんかやってないで、走って帰る。走って帰って、すぐにやる。単語集を今日(10月14日)から1日10ページ進めれば、300ページある単語集でも11月13日には終われるのだ。想像してみたまえ。大相撲九州場所が盛り上がってきた頃には、もう単語集が終わっているなどというのは、夢のような話ではないか。そのペースで繰り返してやりつづければ、来年の3月までに、同じ単語集を5回も繰り返せるではないか。いいか、走って帰りたまえ。


 こういう話を素直に聞くノリのいい高校生は、有望である。もちろん、腹が減りすぎて、晩飯に向かって疾走しているだけの者も含まれているのであるが、単語集に向かって疾走する者のほうが遥かに多いことを祈るばかりだ。

1E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.8
2E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.9
3E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.10
4E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.11
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