Sun 091011 台風一過でカネタタキが復活 カバンが可哀想だ つくば・ノバホール講演会 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 091011 台風一過でカネタタキが復活 カバンが可哀想だ つくば・ノバホール講演会

 大きな台風が通過して、空は秋、風も秋、玄関のエゴの樹の足元に住みついたカネタタキの一家が、また安心して鳴きはじめた。カネタタキの場合、「盛んに鳴く」「鳴き声を競い合う」というのではなくて、一匹一匹が短い独奏を楽しむという鳴き方である。「あ、鳴いてるねえ」と気づいて耳を澄ました途端に、独奏は途切れ、「あれ、ヤメちゃった」とガッカリしていると、ガッカリするヒマもなしにまたコンチキチンと鐘をたたきはじめる。秋の初めのまだ汗ばむ夜には、こういう虫は似合わないし、秋の盛りなら、コオロギやウマオイや鈴虫の盛んな鳴き声がふさわしい。カネタタキのような、とぎれとぎれの独奏のような鳴き方は「そろそろ今年も終わりかな」という秋の終わりに似つかわしいので、激しい台風の雨が乾いた10月中旬の夜にカネタタキの声を聞くと、秋田出身の私なんかは、ちょっと早めだが「もうすぐ雪が降るかな」とも思い、深夜の風の中に雪の香りが漂っているのを感じたりするのである。

 

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(つくば・ノバホール講演会 1)


 家の中ではニャゴロワとナデシコが激しい追っかけっこをしていたり、生き残っていたカナブンが網戸に止まったりすると、その網戸にニャゴが突進したり、まあそういう騒がしい騒ぎが続いていて、あまりしみじみとした気分に浸っていられるわけではない。第一、しみじみするも何も、ついこの間までオリンピック落選→怒り→クロックムッシュのコショー→クシャミ&鼻水の連発という騒々しい日々で、他の人たちにも心配をかけていたアホである。


 しかし、大切にしていた「予想の5倍カバン」に痛々しい傷をつけられて以来、カバンがあんまり可哀想で、なんだか涙が出てきて、本を読む気にさえならない。「モノに対する執着」などというものは、貪欲の証拠、アホの証拠、そういうことになっているのだが、どうも納得がいかないのである。たとえカバンでも、「コイツをどうしても一生大切にしよう」と決意したら、どこまでも執着するのが正しい心の持ちようだと思うのだ。

 

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(つくば・ノバホール講演会 2)


 さて、だからといって、そんなにしみじみ泣き暮らしているわけにもいかない。傷ついたカバンを撫で、カネタタキの声に聞き入り、ネコたちを眺めて「10年後か15年後には死んじゃうんだ」と考えてムクれてばかりいる、そういう贅沢が許される人間は多くない。昨日は茨城県つくば市で講演会があって、午後遅い時間帯から出かけなければならなかった。


 秋葉原から「つくばEXPRESS」に乗る。「速けりゃ文句ないだろ」という、情緒もなんにもない電車である。秋葉原16時半発、つくば着17時15分。沿線のヒトにはありがたいのだろうし、この電車の開通で「便利になった、便利になった」と地元の人たちは口を揃えるのだが、こういう近郊の遠出は1年に1回か2回だけの人間にとっては、もっとのんびり情緒を楽しませてもらえないのが残念である。途中「守谷」という駅で、電車を支配していた盛んな茨城訛が消えてしまうと、あとは終点まで、ガラガラの電車の中は、まるで貨車のような雰囲気だ。

 

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(つくば・ノバホール講演会 3)


 つくばの「ホテルオークラフロンティア」で30分ほど休憩時間があって、講演会開始19時半、終了21時。出席者750名ほど。写真でも見てもわかる通り、信じがたいほどたくさんの出席者があって、会場の「ノバホール」はほとんど満員である。ここはコンサートホールで、有名なアーティストも多くここを訪れているらしい。残念ながら本日はこんなバカな予備校講師フゼイがここを占領し、芸術とは縁もゆかりもない受験の話などで90分も費やすことになった。芸術愛好家の皆様には、誠に申し訳ない。


 主催は土浦西口校である。東進は、さほど大きな駅でもない土浦駅周辺でもいくつもの校舎があり、お隣の荒川沖とかつくばでも複数校舎がひしめき合っている。こういう状況だと、生徒をとったとかとられたとか、その他身内同士のケンカが起こりがちになるが、東進の場合は、隣接する校舎同士がお互いに切磋琢磨するので、かえってよいライバル関係になる。土浦周辺ばかりではなく、日本中ほとんどの地域で同じことが起こっている。

 

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(つくば・ノバホール講演会 4)


 ノバホールに集まったのは、周辺地域の中3生とその保護者である。高校入試の話から始めて、大学受験の話、特に大学入試英語の著しい変質の話、さらには就職の話まで。90分でまとめるのは困難なほど、多岐にわたる話題に触れなければならない。しかも、何しろ今井君は抜け目のない人間だから、2週間前に出た新刊書の宣伝も随所に入れ、「自前のチラシ」まで配布し、せっかく与えられた広告宣伝の機会を、無駄にすることは一切ない。


 プレセント用に準備してもらった「英文法教室」40冊に、しっかり「宇宙征服」のサインもして、おおいに満足である。聴衆の皆様の反応も、100名200名の時とはワンランク違う。単に3倍4倍の反応が返ってくるというのではなくて、場内の爆笑といい、終演時の拍手といい、ハッキリ異質のもの、鳥肌がたつような感動的な性質のものである。これほどの受講者を集めていただいた主催者に、ひたすら感謝である。


 終了後、つくば市内の「大漁丸」にて、主催者側のスタッフ5人とお食事会。札幌の時と同じように、運転は代行に任せ、スタッフの皆さん全員で「酌み交わす」ことになった。大いに嬉しく、大いにおめでたい。スタッフのうち3人が仙台出身ということで、仙台の話、バスケット部の話などで盛り上がった。

 

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(「大漁丸」で発見した鳥取の清酒「目玉のおやじ」)


 昨日ちょっと触れた「木村君」というのは、偶然この店でアルバイトをしていた男子大学生である。私の姿を見かけて、「もしかして今井では?」と思い、酒と料理を運んできたついでに「もしかして、今井先生ですか」と聞いてくれた。代ゼミ時代に今井の授業を受けたというから、大昔の生徒である。途中タイに行っていて休学していたせいで、まだ筑波大に通っている。受験生時代、英語だけできなくて悩んでいたときに、今井の授業に出会い、一気に悩みを解決、筑波大に合格できた。そういう男であった。


 早速、一緒に写真を撮って、握手し、肩をたたきあった。こういう出会いは、決して珍しいわけではない。しかし、これほど素直に話しかけてきてくれて、これほど明るく語ってくれるのは、非常に嬉しいものである。遠慮したり、遠くからニヤニヤ見ているだけだったり、じろじろガンミするだけだったり、そういうヒトも少なくないが、そういう時には、彼のように、ぜひ遠慮せずに声をかけてくれたまえ。

1E(Cd) Glenn Gould:BACH/GOLDBERG VARIATION
2E(Cd) Fischer & Budapest Festival:BRAHMS/HUNGARIAN DANCES
3E(Cd) Hungarian Quartet:BRAHMS/CLARINET QUARTET・PIANO QUINTET
4E(Cd) Alban Berg:BRAHMS/KLARINETTENQUINTETT & STREICHQUINTETT
5E(Cd) Backhaus(p) Böhm & Vienna:BRAHMS/PIANO CONCERTO No.2
6E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 1/2
7E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 2/2
8E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.1
total m61 y1426 d3669