Thu 090813 水戸講演会 大ホールのハイジより、小ホールの今井 シカロールと天花粉 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 090813 水戸講演会 大ホールのハイジより、小ホールの今井 シカロールと天花粉

 ただし、いったん講演会場に入って講演が始まれば(すみません、昨日の続きで、「水戸講演会」です)、おっちょこちょいの今井君はどこまでもご機嫌がよくなって、90分の講演時間を守るのが容易でないほどにしゃべりまくる。今日の会場は「水戸なんとか文化ホール」である。今井君の講演会が「小ホール」。「大ホール」のほうでは「夏休み子供スペシャル・アルプスの少女ハイジ」をやっている。今井君はハイジに負けてしまったわけである。大いに怪しからん。オジサンの威信にかけて、ホントはハイジなんかに負けるわけにはいかないのだ。怪しからん、大いに怪しからん。もちろん「怪しからん」のは、不機嫌になっていた自分自身である。


 東進スタッフのクルマで「水戸なんとか文化ホール」に乗りつけると、ハイジのほうには長い列が出来て、ママと夏休みの小学生がズラリと並んでいる。炎天下、しかもこんな蒸し暑い炎天下、ママと小学生が長時間並んでいれば、熱中症にもなるだろう。アセモも出来るだろう。ケンカもするだろう。碌なことはない、そんなのはヤメにして、今井君の話を聞きにくるほうがいいに決まっている。

 

1576
(壁を伝って歩く不思議な白猫1)


 コドモが「ノドがかわいたあ」というのは、素直に言えば「自動販売機でコーラを買ってほしい」という要求である。コドモというのは不思議なもので、同じコーラでも、売店やキオスクや路上のオジサンから買ったコーラでは満足できない。自動販売機で買ったのでないとダメなのだ。今井君なんか、ヒゲに白髪が混じるほどの年齢になっても、まだ自販機のペプシが好き。コンビニで買ったペプシなんか、ホントのペプシじゃない。キオスクで買ったコカコーラなんかサイテーだ。今でもそう思うのである。


 しかし、ママも炎天下に立たされてすでに猛烈に不機嫌。「喉が渇いた」というコドモの遠回しな要求が腹に据えかねる。
「コーラが飲みたいなら、なんで素直にそう言わないの? イヤな子ね」
と冷たく言いはなって、コドモを絶望の渕に陥れる。
「だいたいアンタは、この前だってコーラ半分しか飲めなかったでしょ」
「だいたいアンタは、この前だってユウキくんとコーラのことでケンカしたでしょ」
で始まる、憂鬱このうえない「だいたいアンタは攻撃」である。

 

 コドモも、この成り行きが何を意味しているか、経験則で知っている。こういう時、ママには、とにかく言いたいだけ言わせなければならない。全部聞いてあげて、おそらく10分の後、やっとのことでコーラが手に入ることになる。その分コーラは少し酸っぱいイヤな思い出を伴うことになるのだが、それでもとにかく手に入るのなら満足とせざるをえない。そういうことを、言葉にできない範囲でわかっているから、コドモの視線は寂しげにどこか遠くをさまようばかりである。

 

1577
(壁を伝って歩く不思議な白猫2)


 そうやって熱中症の危険を冒し、アセモをつくり、ベビーパウダーのお世話になる。私の世代はシカロールと呼び、おじいちゃんの世代は天花粉と呼んだこの白い粉の話題で、3世代が久しぶりに集まったお盆の食卓は寂しく盛り上がる。ただし白い粉と言えばママたちはもちろん酒井法子容疑者の話題にしたくなり、押尾学はここでも話題性に欠け、スイカもトウモロコシもかき氷も、麦茶も枝豆もセミの声も、曇り空のお盆ではやはり今一つである。せっかく水戸のおじいちゃんちに遊びにきたのに、真夏の照りつける太陽もなく、曇り空の下では海水浴もスイカ割もつまらない。

 

1578
(壁を伝って歩く不思議な白猫3)


 それで抜け道が「ハイジ」。せっかくの夏休みに、ハイジかあ。あーあ。そんなの見てるより、今井君の講演のほうが絶対面白いよん。おいで、おいで、こっちにおいで。「大ホールのハイジより、小ホールの今井」。これはすでに常識である(は?)。「遠くの親戚より、近くの他人」とよく言うではないか。あれと同じことである(は?)。小学校2年生でも3年生でも、今井君の講演は楽しいこと請け合いだ。おいで、おいで、どんどんおいで。アセモもきっと治るだろうし、ママもペプシを買ってくれるよん。


 そういう誘拐犯みたいな呼び込みでもしたくなるほど、講演会前の今井君はおっちょこちょいである。いったん控え室に入ってしまえば、さっきまでの不機嫌なんか「どこへやら」。友部を過ぎて水戸までの「スーパーひたち」の車窓には、懐かしい水田風景がどこまでも広がり、穂をつけた稲穂が青々と(ホントは緑々と)風に吹かれて揺れていたが、控え室のクマどんの心の中は、あの光景と同じように爽やかであり、あの稲穂と同じように充実感に満ちている。

 

1579
(昆虫を発見:ver. ナデシコ)


 講演開始14時、終了15時45分。講演とともに、30分ほどは英語の授業もして、最高の講演会だった。出席者は150名ほど、熱烈なファンの生徒も少なくなくて、大いに盛り上がり、大拍手と大爆笑の連続。ここからしばらく講演がないが(現在の予定では次回は10月4日だ)、それが寂しく思えるほどであった。