Wed 090812 ビールへの道のりが遠い 銀座線にムカつき、山手線にムカつく 水戸に向かう | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 090812 ビールへの道のりが遠い 銀座線にムカつき、山手線にムカつく 水戸に向かう

 8月4日、講演会があって、昼前の電車で茨城県水戸市に向かった。常磐線というのは代々木上原からだとなかなか不便であって、千代田線を表参道で乗り換えた後は、上野までバスみたいにたくさん停車駅のある、古い銀座線の電車につきあわなければならない。銀座線は車両が小さくて圧迫感があり、特に真夏の暑い時期には「狭苦しいな」という感覚がそのまま「蒸し暑いな」に直結し、これだけギンギンにクーラーが効いていても、それでも冷や汗みたいな汗を大量にかく。外苑前、青山一丁目、溜池山王、虎ノ門、京橋、末広町、上野広小路、銀座線独特のそういう小さな駅に停まるたびに、狭苦しさと暑苦しさが増して、背中を汗が次々に流れるイヤな感覚が高まっていく。

 

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(不機嫌だ)


 代々木上原から小田急で新宿に出て、そこから山手線外回りで上野までグルグル回ってもいいのだ。目白とか大塚とか巣鴨とか駒込とか、西日暮里とか鴬谷とか、こちらもまあそんな小さな駅を着実に進んでいかなければならないわけだから、面倒くさいことは大差ないけれども、少なくとも狭苦しくはないし、狭苦しくなければ暑苦しくもない。ただ、山手線の中では今井君のCMが突然流れるかもしれない。CMが流れれば大いに晴れがましいだろうが、晴れがましさは恥ずかしさと紙一重である。


 今日のように蒸し暑くて「これから仕事で水戸まで行って帰ってきます」という時には、晴れがましさ→気恥ずかしさ→暑苦しさ・蒸し暑さ→冷や汗への化学変化が起きやすいだろう。それなら、山手線をグルグル回っていく変なルートはヤメにして、素直に銀座線のおじいちゃんに付き合っていくことに決める。

 

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(とても不機嫌だ)


 だいたい山手線は、「内回り」「外回り」という呼び方がキライである。東京をぐるっと一周するわけだから、確かに右回りの線路と左回りの線路が交差することは1度もない。同じ中心Oにコンパスの針を置いて半径10cmの円と半径11cmの円を重ねて描けば、確かに「内回り」「外回り」である。


 しかし、その内回りと外回りの円をどちらに向かって電車が走っているかは、余程の事情通でないかぎりわからない。少なくとも右も左もわからずに東京にやってきた人には、内回りがどっち向きで外回りがどっち向きか、わかるはずがない。よそ者、田舎者、訪問者、外国人、そういう人たちを置き去りにして自分たちだけがわかってニヤニヤしている、そういうのは悪しき伝統である。「時計回り」「反時計回り」では長ったらしすぎるが、せめてもっと工夫して、内輪のものだけが理解してニヤニヤしている状況を改善すべきなのだ。

 

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(ふて寝でもすっかな)


 ま、いいだろう。要するに今朝の私は不機嫌なのである。全てが面倒くさくて、全てにイライラする。10時に家を出て、12時に水戸に着いて、14時から16時まで講演会をして、水戸発18時の電車で帰る。おお、この蒸し暑いのに、「ビールへの道」は余りにも遥か、家を出てから9時間の我慢。電車に乗りこんだ途端に、待ちきれずにプシュッとやる「電車の座席で缶ビール」というのは好きではない。売店や車内販売のビールだと生温いことが多い。生温いビールは、丸1日を破壊する。「何のために生きているんだ?」という致命的な後悔をかき立てる。

 

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(実際にふて寝する)


 5年前、代ゼミ横浜校で夏期講習の帰り、「湘南新宿ライン」の横並びの座席でビール(ではなくて発泡酒「キリン淡麗」だったが)を飲んでいるオジサンを見かけて以来、「ああいうマネはしたくない」という思いが強い。イヤな顔をしたOL2名に挟まれて、オジサンがこっちを向いて、チクワをモグモグやっては500mlのロング缶の発泡酒を大事そうにチビチビやっている光景は、余りにも寂しいものだった。ああいうのだけはイヤである。だとすれば、ちゃんとした店のカウンターで、氷みたいにチクチクするほど冷えたビールにありつけるのは、東京駅前に到着する19時以降のことになる。


 そんな事情で不機嫌でいいのか。そんなワガママで許されるのか。そういう糾弾は甘んじて受けるとして、ビールへの道のりがこれほど遠ければ、オヤジが不機嫌なのは仕方がないし、山手線の「内と外」や銀座線の狭苦しさにまで八つ当たりしても、自分で自分を許すしか方法はないのである。