Sun 090802 合宿クラス閉講式でオジサンが何を語ったか 涙もろく、興奮しやすい性格
こうして(すいません、まだまだ昨日の続きです)、クラス閉講式の最後に担当講師である私が挨拶に立つことになる。
いい年をしていても、さすがに5日間マジメに生徒たちに向き合い、その生徒たちがスタッフの挨拶にマジメに耳を傾けている姿を目撃した後だし、私自身昨晩は完全徹夜につきあっているわけだから、大昔の感動しやすかった涙もろい自分が、長い長いトンネルの向こうから、遠い海鳴りが轟くようによみがえってくる。
こういう時の、自分のマジメすぎる挨拶を思い出してみると、5日経過した頃から恥ずかしくてならなくなり、1週間すると「やめてくれ」と叫びつつあたりを駆け回りたくなり、下手をすれば舌を噛んで死んでしまいたくなり、10日も過ぎれば「ま、自分もまだ若いということだ。なかったことにして、忘れよう」と決意する。
もともと涙もろいというか、興奮しやすい性格はどうしようもないだろう。巷では映画「HACHI」のおかげで秋田犬「ハチ公」のブームであるが、昔からハチ公の話になれば涙を止められなくなるのは確実だから、出来るかぎりハチ公には触れないようにしている。
この時期になると、必ずテレビでアニメ版の「火垂るの墓」をやるけれども、あれなんかは一番ダメで、油断していると新聞のテレビ欄にそのタイトルが出てきただけでもう涙が止まらない。「いつでも会える」「マリリンに会いたい」もダメ、「となりのトトロ」でさえ危ないほどである。
これがほんの10年前までトトロではなくトロロだと本当に思い込んでいて、「何だ、となりのトロロってのは」と鼻先で笑っていたオジサンなのだから信じがたいことである。
いつか書いたかもしれないが、無知というものは恐ろしいもので、大人になるまで今井君は「名古屋名物ひつまぶし」というのを知らずに、ずっと、本当に、決してウソや冗談ではなくて、「ひまつぶし」だと心の底から確信していて、「ふん、ひまつぶしねえ、名古屋って、そんなにヒマなのか?」とうそぶいていたのだ。下手をすれば「メニュー、間違ってますよ。ひまつぶしが、ひつまぶしになってる」とか指摘しかねない勢いだったのである。
さて、話がどこまでもそれる悪いクセはどうにもならないとして、興奮しやすく涙もろい性格もまたどうにもならないから、高校野球に涙し、東京オリンピックの「東洋の魔女」やマラソンの円谷幸吉のフィルムに涙し、新日本紀行のテーマ曲に涙し、20年前には松田聖子主演「野菊の墓」にも涙した。
そういうふうだから、合宿のクラス閉講式でもまた不覚にも興奮して、後から思い出すと飛び上がりそうになるほど恥ずかしいことを、熱く語ってしまうのもまた毎年のことである。
では、後になってそれほど恥ずかしくなるような、どんなことを閉講式で語ったのかと言えば、恥ずかしすぎるから、ブログの上でもやはり秘密である。あんなに熱くなって語る中年などというものは、たとえブログの上であっても、人々の冷静な目に晒してはならないのである。
少なくとも、あの場に一緒に存在しなかった人が、あの場の空気も雰囲気も状況も知らずに「最後の挨拶」だけを、しかも映像なしに文字だけで見た場合、「火を見るよりもあきらか」なのは「中年男のくせに、何を熱いこと語ってやがんだ。オカしいんじゃね?」「変なんじゃね?」「恥ずかしくね?」という反応しか返ってこないということである。
だから、最後の挨拶の内容を知りたいなら、来年の東進合宿に参加して、ハイレベルクラスに入りたまえ。センター模試で8割以上が条件である。4月と6月の模試で8割を確保しつづければ、今井のハイレベルクラスへの参加は確実である。
すでに大学生になった諸君でも、中年男がどのぐらいバカになれるか目撃するには、格好の機会である。身分を偽ってでも参加する価値はあるだろう。それは社会人でも同じこと。今年の「美富士園」には、医学部を目指す25歳すぎの「元オリンピック銅メダリスト」さえ参加していた。
おお、素晴らしいことである。彼と同じように参加して、18歳の少年少女とともに4泊5日に全力を尽くし、担当した今井君が閉講式で何をどのように熱く語るのか、ぜひ直接目撃していただきたい。
ただし、気をつけたまえ。今年の高3生の中にも存在したのが、「今井のハイレベルクラス入ろうと思って日々努力した結果、努力しすぎ、結果を出しすぎて、ハイレベルよりもう1つ上の『スーパーハイレベルクラス』に回ってしまい、今井君との対面を果たせず失望した」という生徒である。
まあ、本末転倒な失望であるが、要するに、合宿初日にあんなに冷めていた中年が、感動のあまり自分自身で「ニヤニヤからニコニコへ」を実現してしまった、そういう姿なら、身分を偽ってでも観察し、目撃する価値はあるだろう。勇気とか、感動とか、そういうものは、そんなふうにして人から人に伝わるものである。