Fri 090717 7月11日、藤沢校講演会 名店も迷店も、新丸ビルには見あたらない | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 090717 7月11日、藤沢校講演会 名店も迷店も、新丸ビルには見あたらない

 そういう原稿執筆(昨日の続きです)の合間を縫って、いつもの年の夏ほどではないが、講演会で一応全国を飛び回ってもいた。まず、11日土曜日は神奈川県の藤沢で講演会、出席者130名ほど。ここでは昨年12月中旬にも講演をしているから、約半年ぶりである。これほど短期間のうちに、同じ場所で講演するのは珍しい。最低でも1年間、普通なら2年ぐらいは間隔があいて、前回の講演を聴いた生徒諸君がみんな大学生になったころ、要するに「ほとぼりが冷めた頃」に再び講演に出かけるのが通例。同じ生徒たちに同じ話を2度も3度もして時間のムダをさせないようにするには、そういう気配りが必要なのである。


 しかし今回の藤沢は、高校1年生と2年生とに限定して、「去年12月の講演に出た生徒の出席は禁止する」という前提。それならば「話がかぶって時間のムダになった」という危険は皆無である。こういうことができるのは、藤沢校が絶好調だからで、期末試験や、部活動の試合や、その応援や、夏休み前のさまざまなイベントや、そういうものがいくらでも重なるこの時期に、高校1年2年生だけで会場を満員に出来るのは、なかなか大したものである。自信がなければ出来ない企画なのだ。すぐお隣の平塚や湘南台などにも東進の校舎が多数並んでいる中で、実際に会場は満員。最初から最後まで大爆笑が連続する素晴らしい講演会になった。校舎スタッフの皆様に、大いに感謝する。

 

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(寝顔まで傲慢だ)


 終了21時20分。自慢ではないが、講演に出た日の帰りは、5や0のつく日以外の日でも(参照)出来るだけ「羽目をはずす」ことにしている。講演会で2時間しゃべりまくり、大喝采を浴びた直後には、さすが♡ベテラン人気講師♡の私でもすっかり興奮状態になってしまい、そんな興奮状態で原稿を書いたり校正作業を進めたりすれば、どうせ碌なことにならない。校正が雑になったり、原稿にとんでもないことを書きまくったりして、結局2度手間になることは「火を見るよりあきらか」である。ちゃんと飲み会を企画して、たとえ深夜に及んでも、興奮した精神のクールダウンをはかる。威張るわけだが、これも仕事のうちである(ホントか?)。


 この日の「企画」は下北沢。藤沢からなら小田急の「快速急行」で40分ほどである。ちょうど21時40分ぐらいに、いかにも都合のいい「快速急行」を見つけて、「よし、『企画』は下北沢」と、朝からすっかり張り切っていたのだった。ところが、「いざ下北沢、決戦の時は来た」という段になって、突然「千歳船橋で人身事故」。「そのため、今夜の快速急行は運休」ということになってしまった。


 ま、一般のマトモな人間なら、ここでションボリあきらめるところなのだろうが、クマどんは野生生物である。野生とは、ごく単純に言えば「腹が減ったら、食う」ということであり、「飲みたい時には、飲む」であり、「騒ぎたければ、騒ぐ」「眠たければ、目の前に仲間が2名いても無視して眠る」である。そういう気高い生き方に、文明とか忍耐とか余計なものが入りこむから生物は不幸になるので、電車が止まったぐらいのことで自らに忍耐を強い、不幸を耐え忍ぶのは、野生から見れば、愚かで、下劣で、理解しがたい不条理な選択である。


 しかも、使い切れないほどの文明の利器をもった現代人なら、野生の精神性を失っていなかぎり、欲求と欲望のストレートな充足をはかることに何の支障もない。この場合、ケータイ1台と「やる気」さえあれば、OK。あっという間に、場所は丸の内、新丸ビル、食べるものはオリーブと生ハム、飲むものはワイン、しかも「この間の、山形の発泡酒」と、そんなことまで藤沢駅のホームで決着がついてしまった。

 

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(傲慢、拡大図)


 新丸ビル、いつかも書いた「リゴレット」である。イタリア&スペイン料理というコンセプトの、まあオシャレな店。繁盛していて、22時過ぎに入店してもまだほぼ満員である。客層は、丸の内勤務のお姉さまと思われる、「身なりにもお化粧にも目一杯お金をかけました」という集団がほとんど。しかし、どの集団にも必ずオジサマが1人混じっていて、まるでバレーボールのリベロみたいだ。ありゃいったい何なんだ。スポンサー? 石田純一的東尾理子狙い? まあどっちでも同じことだが、リベロは一様に嬉しそうで、フォークを配ったりワインを注文したり、ワインのラベルを講釈したり飲み方を講釈したり、要するに余計なお世話ばかりして、おそらくどのお姉さまも「早く帰ってくんないかな」と目配せしあっている様子であった。


 新丸ビルの特徴は、終電の時間が過ぎるとどの店も一斉にガラガラになる、ということである。それでも頑張って「朝4時まで」つまり「始発まで」の営業を続けているが、実際に店にいて1時2時まで飲んでいると、「そろそろ限界かな」という気がする。終電の時間が過ぎて、広い店内に残ったのは我々を含めて4組。店員さんも退屈そうである。来年あたりには「金曜のみ、朝4時まで」とか、方針の転換がありそうだ。

 

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(大好きなスペイン料理屋「アマポーラ」のオリーブ。「グリーンオリーブだけにしてください」と言うと、こうなる。まさに「オリーブは、こうでなくちゃ」である)

 もう1つ、新丸ビルで残念なのは、「いつまでもこのままで続けてほしい」と心から思えるような名店がないことである。「一時の話題性優先」という色彩が強いのだ。今夜の「リゴレット」にしても、「イタリア&スペイン」という、歴史も風土も国民性もみんな全然違う2カ国を混ぜてしまって、そのことで料理の特徴を打ち消してしまっている。まあ「何となく、南欧」ということなのだろうが、緯度以外にあまり共通点がないとすれば、例えば「ローマ&札幌料理」などという非常識なものと大して変わらないのである。「この店の名物は?」「はい、パスタと札幌ラーメンです」では、デパートの大食堂と同じことだ。


 名店もなければ、「迷店」もない。せめて「清龍」や「珍味」みたいな「これぞ迷店」と言える店があれば、新丸ビルも「さかえ通り」よろしく長い繁栄を築けるのだろうが、今のところそれも見あたらない。ついでに付け加えておくと、「さかえ通り」についての新しい情報が次々ともたらされ、「前の店は、火事で焼けてしまった」「今の店に移転したのは、火事で焼け出されてしまったからだ」など、こちらが追いつく暇もない。それだけファンが多かったということだろう。