Sat 100116 節分は、鬼気迫る「恵方巻」より、派手に豆をまくが好きである | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 100116 節分は、鬼気迫る「恵方巻」より、派手に豆をまくが好きである

 節分の2月3日夜21時頃、東京でもう1度雪が降った。1日の雪とは違って、地面に落ちた瞬間すぐ融ける淡雪だったし、ほんの30分も降って止んでしまったから、ちっとも積もることはなかった。
 しかし、雨も大好き、雪も大好き、雷や豪雨はもっと大好き、夕立が来れば外に跳び出して古代の踊りを乱舞し、「豪雨が大好き」と衛星中継の授業で叫んで、豪雨の被害のあった地域の父兄の方からお叱りのお手紙をいただいたことさえある今井どんである。思わず「おお、雪じゃ雪じゃ、楽しいのお」とデカイ声をだして、驚きの視線を集めた。代々木上原の駅前のコンビニ(ファミマですが)に入ろうとしたところだったのである。余り楽しいので、アイスに酒にカレーを大人買いして帰り、ニャゴロワの厳しい表情にたじろぐことになった。

(東京の積雪、2月1日)

 節分、立春、どうも東京の雪はこのあたりで降るようだ。2年前、2008年の2月3日も大雪、あのときは確か10cmほど積もったはずである。ちょうどその朝は所用があるのをいいことに、雪道を1時間も歩き回った。普段ならタクシーに乗る距離だが、雪の日の外出は楽しくてたまらない。せっかく雪が積もったのだから、意地でも歩きたかったのである。精神年齢は、小学校低学年男子のレベルで停止、それ以上成長する兆しはない。
 雪が降る前には「こりゃ雪がくるぞ」という予感があって、秋田出身のカニ蔵くんは、雪が降り出す5~6時間前に、空気の中に雪の匂いを感じるのである。疑い深いヒト、冷ややかなおカタ、治安情報中毒の皆さん(一昨日の記事参照)は、おそらく「ウソだ」「ご用心」「信じてはいけません」「ダマされてはいけません」というところだろうが、だって、実際に雪の匂いを感じるのだから仕方がないし、別に無理をして信じてもらう必要もない。

(六本木ヒルズと、満月と夜の鱗雲)

 それよりも、「お、雪がくるぞ」と鼻をひくひくさせた黒いクマどんが、長い冬眠の穴の中でゆっくり伸びをして、雪の匂いに浮かれるように外に出てみる有り様を想像してみたまえ。夜空には大きな満月が浮かんでいて、満月の中では白いウサギさんが踊っているのだが、やっぱり雪の匂いはあって、「雪だ雪だ」と浮かれたクマどんはもう眠れないで困ってしまう。これはなかなか可愛らしい図で、できればそのシーンを一枚入れた絵本を誰かに作ってほしいぐらいである。
 カニ蔵くんも絵本のクマに負けずに、ある夜ふと六本木に浮かれでて、鶏肉と野菜を煮込んだイタリア風の鍋物で白ワイン1本を飲んで酔っ払った。通りかかった豚肉料理屋の看板に誘われてもっと飲みたくなり、見上げると六本木ヒルズの上に満月がかかって、その満月がウロコ雲に覆われていく様子を見ながら、「間違いなく2~3日後に雪が降る」と確信したものである。

(六本木の豚料理屋「美豚」)

 こんなふうで、この季節は今井君の大のお気に入りである。ただし、関西文化圏から全国に広がってきた「節分の恵方巻、まるかぶり」は、どうもあまり気が向かない。みんなで押し黙っておんなじ方向を向き、酸っぱい太巻きを一気に丸ごとモグモグやる、恵方に向かって食べながら祈る、何も言ってはいけない。そういうのは、「鬼気迫る」というか、怨霊に悪霊に生霊に、羅生門時代の京都のバリエーションの限りを尽くした霊の世界を見るようで、田舎育ちの今井どんは何だか恐ろしい。第一、「太巻き丸かぶり」なんかしていたら、真ん中のキュウリだけヌルッと1本全部抜けてきて、気持ち悪そうである。

(怪しい黒雲に覆われた大阪市北部。2月6日、梅田の「ホテル阪急インターナショナル」29階から)

 節分は、やはり派手に豆まきをして「鬼は外、福はうち」の大声をあげるほうがスッキリする。たとえ豆でも餅でもアメ玉でも、景気よくバンバンまいて、ビシビシ鬼にぶつけて追い払って、あくまで景気よく、無遠慮な笑い声の中で春を迎えたい。春の迎え方としてふさわしいのは、「じっとりモグモグ」ではなくて「ぱっぱ、きゃっきゃ」だと思うのだ。
 何よりも、「コンビニの言いなりになっている」「デパートの言いなりになっている」感がイヤである。コンビニの側だって、恵方巻1本200円少々がいくら売れても、大した儲けにはならないんじゃないか。いつものオニギリが恵方巻に代わる程度の売り上げをチマチマ稼いで、日本中を「じっとり、もぐもぐ」に巻き込むんじゃなくて、春なんだし、もっとデカくてサッパリした稼ぎ方を工夫したほうがいいんじゃないか。

(2月6日、関ヶ原付近。東京方向に徐行する新幹線の車窓から)

 儲けよりコストのほうが大きそう(つまり赤字が出そう)なのも心配。コンビニごとにあれほど宣伝広告費をつかい、ノボリをたて、横断幕をはり、恵方巻にちっとも馴染みのない関東や東北や北海道でも大金をつかって懸命に売り込み、しかし売れるのは2月3日だけ。2月4日の朝にはおそらく大量の在庫処分が待っているのである。
 あれだけ広告するのだから、生産ラインの規模も大きいに違いないが、2月3日までフル稼働していた生産ラインは4日以降どうなるのか。巻き寿司ねえ、うーん、カニ蔵どんは1年に2~3回食べるかどうかである。生産ラインをそのまま丸1年ほとんど放置することになるようで心配だ。

(2月6日、新幹線の車窓から。関ヶ原付近を通過する東海道線)

 ただし、こういうのはもちろんあくまで好みと伝統とおせっかいの問題である。2月5日、大阪に出張したので地元のヒトに聞いてみた。「大阪では恵方巻は当然、不思議がるほうがおかしい」「豆なんかまいたら、あとかたづけがたいへんや」との答えであった。「赤字なんじゃないか」というおせっかいな心配についても、ファミリーマートの正社員だったヒトに聞いてみたところ、少なくとも関西では黒字が出ているとのこと。しかも、「恵方巻の取引を通じて他の商品の取引も活発化する、決して恵方巻だけの問題ではない」という大人の答えが返ってきた。イベントの少ない2月にあって、コンビニにとっては今やバレンタイン・デーよりも商品が大きく動くビジネスチャンスになのだそうである。

(強い北風に根性で立ち向かう富士山。2月6日)

 ま、いいだろう。現在2月6日17時であるが、節分&立春を過ぎてからたいへん寒い日が連続して、顔が痛いほどである。たったいま大阪から帰ってきたところ。大阪も京都も春とは思えない寒さで、宿泊したホテルからの大阪の眺めも怪しい黒雲に覆われていた。京都から名古屋までの車窓は、関ヶ原付近を中心にまるで雪国のような風景。新幹線は名古屋まで徐行し、豊橋で臨時停車して「車両の床下に付着した雪を落とす作業」もあって、東京駅到着は20分ほど遅れた。浜松からは快晴になったが、強風の中で富士山も寒そう。というより痛そう、いまにも鼻をたらしそうな顔で、つらそうに突っ立っているのだった。

1E(Rc) Collegium Aureum:MOZART/EINE KLEINE NACHTMUSIK
SYMPHONY No.40
2E(Cd) Ono Risa:BOSSA CARIOCA
3E(Cd) 村治佳織・山下一史&新日本フィル:アランフェス交響曲
4E(Cd) Kirk Whalum:UNCONDITIONAL
7D(DMv) AMADEUS
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