Sun 090712 ゼミのOB&OG会で「乾杯のご発声」 予備校時代の生徒が幹事だということ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 090712 ゼミのOB&OG会で「乾杯のご発声」 予備校時代の生徒が幹事だということ

 で、福原ゼミのOB&OG会であるが(再び「昨日の続きです」が始まってしまいました。誠に申し訳ございません)、もちろん亡くなった菊池君が姿を現すこともなくて、出席者の中に知っているヒトはほとんどいない。入り口で声をかけてくれたのは、電源開発(Jパワー)に勤めている男と、今回誘ってくれた共同通信社の部長のみ。あとは、既に向こう側の席で先輩諸氏と真剣に語り合っている日経新聞の男と、とりあえず「知った顔」はその3人だけである。予想以上に年齢層が上で、50歳代後半から60歳代が中心。それもそのはずで、福原教授が早稲田を退官されてからもう15年ほどになるのだし、早稲田で教鞭をとられていたのも、それ以前の30年以上になるわけだ。


 大学のOB&OG会というと、何となくもっと華やいだイメージがあるけれども、参加者で一番若いのは、この会の幹事を一手に引き受けている30歳とちょっとの男。彼は千葉大学の研究者で、驚くなかれ、彼が駿台予備校に通う浪人生だった頃に、お茶の水3号館でこの今井君の授業を受けていたというのである。その彼が幹事で、大昔に私の生徒だったという彼の思い入れもあり、「今夜の乾杯のご発声は今井先生に」ということになってしまった。


 「お茶の水3号館」というのは、今はどうかわからないが、当時は東大スーパークラスが全クラス集まり、まさに「駿台の総本山」という感じ。講師陣も(敬称は全て略)伊藤和夫・奥井潔・最首悟みたいな伝説上の巨人をはじめ、長岡亮介(数学)・坂間(物理)・三国(化学)・高橋いづみ(古文)・須藤(世界史)・安藤(日本史)・大島(英語)・福崎(英語)・霜(現代文)・山口紹(英語)、代ゼミのサテライン発足メンバーで代ゼミから移籍したばかりの太(英語)といった超有名講師がずらっとそろったオールスターキャスト。もちろん、山本義隆もいた。ほぼ同時期に「東進ドリームチーム」というのがあったが、「ドリーム」という意味では勝るとも劣ることはない。同じ駿台講師といっても、ここで教えられるかどうかがステイタス。同じお茶の水ではあっても、ここで教えられる講師かそうでないか、まさに別格だったのである。

 

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(1993年度河合塾パンフの今井君。撮影は91年秋。7&3分けの頭と、ヒゲのないツルッとした顔が相当キモイかも。おお、すでにコメント欄で「音読」の重要性を指摘している。駿台お茶の水3号館で教え始めるのはこの2年後である)

 「おお、あそこにいたんですか。あそこは、スゴかったですよね」というわけで、しばらくは彼と予備校時代の話で盛り上がった。在籍は1993年というから、ちょうどその秋に、英語の入不二基義師が山口大学准教授になられて駿台を去り、そのすき間に私が強引に割り込んでいった年である。まあ、今井君程度のダメ人間が、こういう巨人たちの中に入りこんでいくチャンスを突然与えてもらったわけで、「ここは石にかじりついてでも」という姿勢で、サバの胃袋に頭を突っ込むアニサキスよろしく、必死で潜り込んでいったものだった。おお、なつかしくも恥ずかしい時代である。


 しかし、さすがに「乾杯のご発声」というのは困る。授業なら、どんな授業でも得意中の得意、緊張なんか決してすることはないが、「乾杯のご発声」みたいな晴れがましい舞台では緊張しまくるのが、今井君である。ましてや、「いづみや」2階の大広間にずらっと居並んだのは自分よりずっと年配の、まあ言ってしまえば貫禄たっぷりのオジサマ連である。「さすが早稲田大学」という感じの、大企業なり官庁なりの幹部の皆様。その前で小さくなって、何とかヘコヘコして最後までゴマかそうと思っていじけていたところへ、「乾杯のご発声」はキツい。幹事の彼と、予備校時代の話で少しでも盛り上がって、それで気を鎮めてから、やおら立ち上がって「乾杯のご発声」をやってのけることにした。

 

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(福原教授に記念品を贈る)


 しかしさすがにTVコマーシャルの威力は大したものである。立ち上がったところで、諸先輩がたの中から「おお」という声もあがった。その程度のことで有名人になったつもりになってはいけないが、歓声さえ上がってしまえば、こちらのものである。歓声が上がり、調子に乗り、乗りまくり、いつの間にか、自分で何を言っているのかさえよくわからないが、とにかく3分ほどしゃべりまくり、盛大な拍手なども湧き、拍手が出たということはおそらく何か素晴らしいことを言っていたのだろうと必死で確信する、そういう具合である。


 よく高校や中学で、先生の話をよく聞かずにボーッとしていた生徒が、周囲の仲間たちがドッと笑い出したのに驚いて、
「なんつった(何て言ったの?の高校生的短縮形)?」
「今、田中(『田中』という先生だったとして)なんつったの?」
「なんつった、なんつった、なんつった?」
と周囲に聞きまくるヤツがいるが、この場合、喋りまくっている今井君本人が「私、いま、なんつったんですかね?」と手近なヒトに聞いてみたい、そういう大拍手と大喝采が連続した。

 

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(記念品は、早大正門そばの有名店「ハギワラ」だったか「オギワラ」だったかのペナントである)

 それでも、やたら緊張しまくっていたらしくて(ついでに、最初のうちクーラーの調子が悪かったこともあって)、たった2分か3分のスピーチで、汗ビッショリである。あいにくブルーのシャツを着て出かけたから、汗じみでシャツの色がスカイブルーから夏の海の藍色(もちろんそんなに美しくはないが)に変わるほどである。そこで、挨拶は適当に切り上げて、とにかくデカイ声で「乾杯」と叫び、オジサマたちからも「乾杯」の唱和があった。あとは得意中の得意、これ以上得意なことは何もないほどの大得意、長い酒宴が始まったのである。

1E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 1/2
2E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 2/2
3E(Cd) Lucy van Dael:BACH/SONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 1/2
4E(Cd) Lucy van Dael:BACH/SONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 2/2
5E(Cd) Holliger:BACH/3 OBOENKONZERTE
8D(DvMv) 12 ANGRY MEN
total m59 y1107 d3350