Wed 090617 春日部西口、カレーの「ラホール」 塾で教えた小6国語などの記憶 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 090617 春日部西口、カレーの「ラホール」 塾で教えた小6国語などの記憶

 春日部に(昨日の続きです)講演会開始の2時間以上も前に、たっぷり余裕をもって到着したのには理由があって、「どうしても食べたいカレー」をどうしても食べようという決意だったのである。もちろん普通のグルメの皆さまとは違うから、「どうしても食べたいカレー」だからといって「絶品」とか「とろーり甘みを感じるほど辛い」とか、そういう旨いカレーだからどうしても食べたいというのではない。ただ単に懐かしいから食べたい、今までの長い長―い人生でおそらく一番つらかった時代に通った懐かしいカレー店のカレーだから食べたい、その程度のことである。


 心配だったのは、定休日。埼玉県春日部市という街は、駅西口はイトーヨーカドーに支配され、東口は「ロビンソン」という名前の弱小デパートを中心に回っている小宇宙であって、イトーヨーカドーなりロビンソンなりの定休日には街のすべてが定休日になって深い眠りに落ちる。目指す「どうしても食べたいカレー」のカレー屋は、西口。イトーヨーカドーのお殿さまが、万が一「今日は休みじゃ、みなのもの、休め休め」と御触れを出せば、カレー屋とてご家来衆じゃ、休まねばならぬ。代々木上原から1時間半かけてようやくたどり着いた雨模様の春日部で、カレー屋が休みということになれば、講演会まで2時間以上もの時間を持て余して立ち往生することになる。


 カレー屋の名前は「ラホール」。よく通った頃は、春日部駅西口を出てすぐ、駅の階段脇のゴミゴミした「いかにも場末」という一帯にある小さな店だった。当時は、持ち帰りの「千成寿司」と和菓子屋があり、その「千成寿司」と和菓子屋の上の2階に「いったいどんなヒトが行くの?」と不思議になるような汚らしい外見のラブホテルがあって、カレー屋「ラホール」はその隣りだった。4~5年前に移転して、今はイトーヨーカドーの目の前、駅から徒歩で2~3分のところである。今日行ってみると「千成寿司」と和菓子屋とカレー屋の跡地には、ファミリーマートができていた。不潔なラブホテルの姿はなかった。春日部の発展のためにも、めでたしめでたしである。

 

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(「ラホール」の「ジャンボハンバーグ・インドの極辛」980円)


 カレー屋によく通ったのは20年も前のことである。電通を辞めて、その辞め方が余りに衝動的な辞め方で、辞めたけれども何をしたいのか自分でも全く見当がつかず、やることもないし、ヒマだし、お金もどんどんなくなってしまい、「仕方がないから塾の先生でもやるか」と考え、アルバイト気分で働いた塾が春日部だったのである。その塾で教えたのは、小5の算数、小6の国語、中3の英語と国語と社会、高2の英語、高3の現代文など。おお、まさにメチャメチャである。


 そういう時代だから「一番つらかった時代」というのも、当然だろう。「高3の現代文」は生徒2名。「中3の英語」は男子3名。中学生の英語では「久保先生」という先生が人気で、「久保先生のクラスに入りたい」と生徒たちも言い、父兄も「うちの子は久保先生に習いたいと言っている」と、塾長に相談に来るありさま。高校生たちは「英語は絶対今井先生がいい」と言ってくれたが、そのせいで本部から派遣されてきたベテラン講師と対立。結局、本部の意向で「今井さんは、小6の国語を専門的にやってもらう」ということにされてしまった。それが原因で高校生が何人も退塾してしまったり、反乱みたいな行動をとる生徒もいて、それで何故かまたこっちが叱られた。


 「小6の国語」は女の子3人だけ。3人とも私立中学を受験した。20年も前の春日部では、中学受験ということはまだ珍しくて、受験に向けて父母を説得することのほうがたいへんだったが、それでもまあ何とか受験までこぎつけて、3人のうち2人はキチンと第1志望校に合格した。数えてみれば、彼女たちももう30歳代の半ばに近づいている。どこでどうしているやら見当もつかないが、「ラホール」で「インドの極辛」を注文していたのはそれほどの大昔なのである。

 

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(「ラホール」の外観。「カツカレー専門」というのは何かの間違いである)

 移転したあとも、春日部で講演会があれば必ず立ち寄ることにしている。要するに私にとっては原点なので、定期的に原点を確認することは怠ってはならない。移転前は「辛口」「極辛」「極々辛」までしかなかったのに、今やメニューに「激辛」「超激辛」まで揃っている。粘り気のないサラサラのインドカレーで、確かに辛いが、だからといってお偉いグルメ様みたいに「超激辛」を注文して大騒ぎして転げ回る趣味はない。原点の確認のために、20年前毎日のように食べていた「ジャンボハンバーグ、インドの極辛」をお願いする。「インドの」と言わないといけないのは、「和風カレー」という選択肢もメニューにあるからである。


 移転した後の店の看板には、なぜか「カツカレー専門店」とある。全然「カツカレー専門」でも何でもないので、ハンバーグでもクリームコロッケでもカニコロッケでも、定食屋にあるようなものなら何でも旨い。この看板は何かの間違いである。20年前と比較してすっかり歳を取ってしまった(当たり前だが)マスターとしては、「いまさら看板にこだわることもないでしょう」ということなのかもしれない。待つまでもなく、昔と同じデカいハンバーグと、昔と全く同じ味のカレーが運ばれてきて、昔より少しだけゆっくり時間をかけて、15分ほどで平らげた。

1E(Cd) Nevel & Huelgas Ensemble:Canções, Vilancicos e Motetes Portugueses
2E(Cd) Sequentia:AQUITANIA
3E(Cd) SPANISH MUSIC FROM THE 16th CENTURY
4E(Cd) The Scholars baroque Ensemble:PURCELL/THE FAIRY QUEEN 1/2
5E(Cd) The Scholars baroque Ensemble:PURCELL/THE FAIRY QUEEN 2/2
8D(DvMv) OCEAN’S ELEVEN
13G(α) 塩野七生:ローマ人の物語22 危機と克服(中):中公文庫
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