Fri 090612 申告漏れして、どう「すんだい」? 「講習生」を合格実績に入れるな | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 090612 申告漏れして、どう「すんだい」? 「講習生」を合格実績に入れるな

 昨日まで書いた「新館」「研修館」「S館」のような間に合わせの校舎は、2000年以降急速に姿を消していった。懐かしの「ツチキンビル」が今もあるかどうかわからないが、駿台池袋「研修館」や駿台大宮「西校舎」などは、21世紀に入るや早々に姿を消した。お茶の水本校近くにあって、ロビーに見苦しく段ボールが積み上げてあるのがいつも気になっていた「駿台アカデミー」も、消滅したようである。消滅の理由は、1つにはもちろん「予備校バブル崩壊」があって、何もそんなにいろいろ間に合わせの付属的建築物をくっつけなくても、入りきれないほどの生徒が集まることはなくなった、ということだろう。昔は「殺到」という言葉さえ使われたものだったが、それも皆「今は昔」になったのだ。しかし、実際には「地方への分散」の方が理由としては大きかったのではないだろうか。

 

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(ナデシコのように可愛くしてみる)


 「浪人生が中心」という経営をしていれば、「せっかく浪人したんだから」、代々木へ、お茶の水へ、とにかく本校のほうへ、そういう生徒の流れがあって、生徒が1点集中したのは当然だったのである。しかし今や浪人の数は激減して、予備校はこぞって「現役シフト」。ありとあらゆるおべっかをつかってでも、「現役」「現役」なのである。ならば、むしろ現役生が通いやすい地方や郊外に校舎を建てるのがいいに決まっている。


 そこで「池袋研修館」は閉めて、あざみ野や藤沢に中規模の校舎をつくる。「駒場校」は「老朽化したから」という理由で閉校にして、金沢文庫や南浦和に現役館をつくる。「西校舎」は「東京会計法律IT」に学校用設備はそのままに「居抜き」で譲ってしまい、越谷や春日部や川越あたりを狙う。こうして、予備校は都心から郊外に校舎を移動させてきたのだ。都心の「研修館」「東西南北」「新館」みたいなものが「調布校」「町田校」「吉祥寺校」に分散して、姿を変えたのである。予備校の垂直構造が、水平構造に変化したということ。悪くいえば、かつての研修館やツチキンビルの授業が、郊外型の校舎に平行移動して、そこで展開されているだけのことである。

 

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(器のちがい)


 朝日新聞の報道によれば、2009年5月末、駿台は税務当局から12億円の申告漏れを指摘された。年間30時間以下しか受講しない生徒からの授業料は、学校法人としての収入に加算できない。あくまで営利企業としての株式会社の売り上げとしなければならないのだ。それなのにその分の収入が学校法人の売り上げに加算されていた、というのである。学校法人と株式会社では、税率が唖然とするほど違うから、「授業料についての解釈が、当方と税務当局とで食いちがっていた」というのが駿台側の見解らしいが、まあ彼らにとって「学校法人としての売り上げ」が「株式会社としての売り上げ」とは比べ物にならないほどはるかにおいしいのだ。稼いだお金の3割も4割も「年貢だ、差し出せ」とオカミに言われたのではたまらない。誰だって、隠した田んぼでコッソリ稼いで、年貢を払わずに知らんぷりしていたいに決まっている。


 しかし、「隠した田んぼ」は露見する。税務署とは、恐ろしいところである。怪しい財界人や地方政界の小物のオジサンなんかが、京都や博多にマンションを買って、そこに「知人の女性」を住まわせたとする。「知人の女性」が何を意味するか、わからないヒトはいないと思うが、定期的に出張する際に、そういう「知人女性」のマンションに「宿泊」したり、その他、まあいろいろなことに励んだりするわけである。意地汚いことに、マンション代は「必要経費」になったり、「知人の女性」は「管理人」で、だから「管理人代」まで必要経費になったりする。


 そういうことをするおカタはだれでもなかなか手口が巧妙だから、興信所とかスパイみたいなヒトたちを雇っても、滅多なことではバレたりしない。ところが、税務署だけは違う。国税局だけは、決して甘くないのである。江戸時代どころか律令制の始めから、班田収授の時代から、いやそれどころか洋の東西を問わず、山奥に隠した田んぼも麦畑もおイモの畑も、優秀なお役人が必ず発見して、いけない企ては物の見事に露見する。

 

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(横を向いてアクビする)


 まして、10年に1度必ず「週刊文春」で「駿台帝国」と揶揄され、「山崎一族」の入り乱れた関係を指摘されるのが常態化している学校には、国税当局はしっかり目を光らせている。夏期講習生募集の新聞広告を見ても、校舎ごとに黒丸と白丸で区別が付けられ、「○印は系列の駿台教育振興(株)の運営です」とウサン臭い但し書きを(しかもいかにも読みにくい小さな活字でひっそりと)つけているようでは、明らかに怪しすぎるのだ。税率の低い学校法人で運営できるところに浪人生を集めて、旨味の少ない現役生は「(株)ナントカぷるぷる振興」が運営する校舎へ。そういうことである。


 学校法人として運営している予備校はどこも似たようなものだろう。そうやって「浪人生」と「現役生」の扱いを別にしていても、いざ「合格実績」を発表する段になれば、「ウチの生徒です」ということにしたい。たとえ30時間以下しか通っていない生徒でも、自分の予備校の生徒として扱って、合格実績には「S生」「塾生」「ゼミ生」としてしまいたい。彼らの合格実績で「講習生」となっているのは、そういう生徒たち、年間通して10コマ受講したとか15コマ受講したとか、そういう生徒たちである。


 こういう情けないことを続けているような学校で働くのは、さすがに私の年齢になると「もうイヤ」なのだ。合格実績として数える生徒は、キチンと在籍してキチンと感謝してくれる生徒たちだけにしたい。それがなかなか業界全体で実現しないのが、悩ましいところ。私が6~7年に1度の割合で在籍する予備校をかえてきたのは、だいたいそのぐらいの期間在籍すると、奥のほうや裏のほうでどんなことが行われているか、どんな隠し田んぼやどんな隠しイモ畑があるか、「知人女性のマンション」に該当するようなどんな隠し事があるか、そういうことがだんだん見えてきてウンザリしてしまったからなのかもしれない。何事も、明朗に運営したいものである。

1E(Cd) Bill Evans Trio:WALTZ FOR DEBBY
2E(Cd) Maria del Mar Bonet:CAVALL DE FOC
3E(Cd) CHAD Music from Tibesti
4E(Cd) AZERBAIJAN Traditional Music
7D(DvMv) THE BOURNE IDENTITY
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