Thu 090604 復習ってどうやるの? 音読ってどうやるの? とにかく問題を解きたまえ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 090604 復習ってどうやるの? 音読ってどうやるの? とにかく問題を解きたまえ

 夏休みに一番いいのは「1学期のテキストを復習」とか「模試の復習」とか言われても、「復習って、どうすればいいの?」ということが問題になるようである。最近は「勉強法」「学習法」ブームだから、どんなことでもその方法を詳細に教えてもらえると考えている受験生が多くて驚かされる。「英語は何より音読が効果的」と授業で発言すると、すぐに受験生たちからたくさんの手紙が来て、「音読って、どうすればいいんですか」「音読の方法を教えてください」ということになる。どうもこうも、「音読=デカイ声を出して英文を読む」だから、それ以上別に何もないのだが「何に気をつけて読むんですか」「意味を考えながら読むんですか」とか、とにかく何でもいいからアドバイスを欲しがる生徒が多い。そんなことは当たり前で、意味を考えながら読むに決まっている。意味を考えずに声を出しても、そんなのは英語で騒いでいるだけで何のプラスもない。
 

 「ただ読むんですか?」という尋ね方も多い。「ただ読むって、どういうこと?」とむしろこちらから質問したくなる。長年受験生たちと付き合ってきた経験では、どうやら「ただ読む」とは「何にも考えずに発音だけする」ことを意味するようだが、繰り返すけれどもそれでは「読む」ことにはならない。すると今度は「日本語訳も言いながら読み進めるんですか」とくる。「英語を1文音読したら、すぐに続けてその日本語訳を口に出していってみる」という教材があるらしくて、彼らはそのマネをしたいらしいのだ。しかし、それはムダである。日本語訳なんか口で言ってみても、英語力はつかない。だから「意味を頭の中で考えながら、口に出すのは英語だけ」というのが正しい音読だと言ってあげると、「それだけですか」と怪訝そうな顔で帰っていく。

 

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(くまのフランクと掛時計)


 まあそんなふうで、「テキストの復習に励みなさい」と発言しても、「どう励むんですか」「復習って、どうやるんですか」という質問がまたまた殺到する。もちろん単純きわまりないことで、テキストの問題を全部もう1回解きなおすのである。解こうとして解けなければ、授業ノートを見直して、それからもう1度チャレンジする。そうやって1日に一冊、テキストを一冊丸々解く生活、きわめてストイックな生活を夏休み中ずっと継続すれば、第1志望の合格はググッと手許に引き寄せられるはずである。浪人生でも現役生でも、予備校に入ったときに「テキストだけで合格できる」「それ以外はやらないほうがいい」と教務課の人にうるさいほど言われたはず。そのテキストを全て(全科目で浪人生なら夏期講習を合わせて30冊ほど、現役生でも20冊にはなるだろう)、夏休みに100%解けるように復習すれば、それが理想的であるのは言うまでもないだろう。

 

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(あのクマ、ホントに大丈夫なんですか?)


 すると「えっ、それだけでいいんですか」と来るからまたまた驚きだが、それだけでいいか悪いかは、1学期のテキストを全部実際に解きなおしてから考えればいい。解きなおしてそれでも物足りない、あるいは時間が余ってしまった、それなら、その段階で初めて、プラスして何をやるか考えるなり教務の人と話し合ったりすればいい。そして実際には、今までやったテキストと模試の問題を全部解きなおした段階で、もう夏休みは終わりに近づいている、もうヘトヘトだ、おおキツかった、というのがほとんどの受験生の実情なのである。

 

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(寝ちゃえば、気が楽だ)


 最近は「東大合格生のノートは必ず美しい」とかいうことになっていて、結論が先にあって実証は後から都合よく付け加えた本が売れていたりするから、ついつい「綺麗にノート整理しなきゃ♡」という、昔なら女子高校生独特だった行動が男子の受験生にも蔓延しているようであるが、綺麗なノート整理が(少なくとも普通の受験生にとっては)「時間ばかりかかって効果がない」ことは論をまたない。当たり前のことだが、問題を解く練習をしなければ、問題を解けるようにはならない。問題を解けるようにならなければ、模試の成績は上がらない。模試が上がらなければ、入試本番でもうまくいくはずがない。ならば、問題を解く練習に励むべしである。

 

 「東大合格生」なるもののノートがもし「必ず」美しいとしても、それは彼らが多くの問題を解き、たくさんの問題を解くことを通じて知識なり基本なりを自分なりに整理できた結果に他ならない。「ノートが綺麗だから、東大に合格した」のではなくて「東大に合格できるほどたくさんの問題を解いて知識を整理した諸君なら、ノートもうまく綺麗にまとめられて当たり前」なのである。そこを取り違えて、「まずノート整理」「ノートが綺麗なら合格確実」と勘違いすれば、残念ながら9月の模試の結果に失望せざるを得なくなるのは目に見えている。世界史や日本史なんかで、先生の板書が感動するほど美しくて、生徒はみんな板書を写すことに夢中、という授業がよくあるが、そういうのに限って「人気はあるが成績は上がらない」ことが多い。問題を解く練習をしていないんだから、当然の結果である。

 

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(肉球を見せつける)

 ま、夏休みに期待しすぎないことも重要。特に浪人生諸君としては、夏休みの2ヶ月なんかより前に、すぐ目の前に「6月」という大きな山場が広がっている。予備校の授業でも、やっと先生方の自己紹介が終わり、講師の生き残りをかけた夏期講習申し込み狂騒曲も終わって、これから1学期終了までがやっとのことで授業に集中できる1ヶ月である。残念なことだが、講師の多くがこの段階ですでに、「ああ、今年の山場は過ぎたな」と気を抜くところなのだ、というのが実態。しかし浪人生としてはこの1ヶ月が正念場。ここをガッチリやっておかなければ「夏休みは自習室のヌシになって1学期の復習」もへったくれもあったものではなくなってしまう。