Wed 090603 帰国後の疲労を江ノ島で癒す 不機嫌になることが目的で、キチンと目標を達成 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 090603 帰国後の疲労を江ノ島で癒す 不機嫌になることが目的で、キチンと目標を達成

 フランクフルトからの帰国後、10日間を完全に怠けていたわけではない。うまくいけば7月後半に発売が可能になりそうな「今井の英文法教室・上下巻」の校正作業その他が待ち受けていて、自分で考えても実に精力的に仕事を進めていたのである。このブログも、5月中旬に最大で11日分が実際の日付から遅れてしまっていたのを、帰国後に実にマジメに着実に追い上げて、いよいよ明日には追いつこうとしていることを、熱心な読者なら認めてくださると思う。6月3日、ほぼ校正作業が完了したところで、さすがに疲労を感じ、怠け心を抑えきれなくなって、江ノ島まで酒を飲みに出かけた。江ノ島は1年ぶりである。1年前、ブログではFri 080613の日付になっている。江ノ島に他の用事は全くないから、ただ単に江ノ島まで電車で出かけることと、磯くさい磯料理を、いかにも観光地らしい安っぽい店で楽しむこと、それと一緒に安い酒もたくさん飲んで丸1日怠けること、そのためだけに出かけるのである。

 

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(帰国直後に入ったメキシコ料理屋・三軒茶屋「MECHA LIBRE」。まだ客足は戻らない)

 こういう行動は、マトモな人が見たらおそらく信じがたいと思うだろう。代々木上原を9時半に出て、わざわざ東京駅から東海道線に乗る。東海道線のグリーン車で大船まで1時間。ここはどうしてもゆずれないので、「東京駅から」「東海道線普通電車のグリーン車で」というのでなければ、この気難しいオジサンは最初から出かけたりしない。大船で「湘南モノレール」に乗り換える。ここにはこだわりはなくて、北鎌倉でアジサイを見てから鎌倉で江の電に乗ってもいいし、藤沢まで行って反対向きの江の電を楽しんでもいい。ただ、この「湘南モノレール」は、上からぶら下げられた状態のまま、空中に浮かんで山をいくつか越えながら海まで運ばれるのが予想以上に楽しかった。

 

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(江ノ島のアカトラ猫 1)


 江ノ島は、昨年とは全く違う混雑ぶりで、まっすぐ歩くのに苦労するほどである。晴れたせい、インフルエンザ騒ぎが一段落したせい、関西方面はインフルエンザのせいでまだ遠慮している人が多いせい、その他、何だかよくわからない。遠足だか修学旅行だかの高校生集団もいた。
 

 他の場所には一切用がないから、行くべき店、撫でるべきネコだけを探す。目当ての店は「天海」。グルメの人が聞いたら間違いなく怒り出すような、何の変哲もないつまらない店である。客の都合など一切聞く耳持たないせっかちなオバサンが、自分が今食べさせたい料理を早口でまくしたて、その中から大急ぎで注文を決めないとすぐ不機嫌になる、そういう店である。そんな店にわざわざ片道2時間もかけて出かけて、一体何が楽しいのかと言われれば、まさに絶句するしかないのであるが、絶句せずにキチンと説明するとすれば、「何にも楽しくないという恐るべき状態を楽しみに出かける」のである。


 驚くほどせかされて、慌てて注文したのは、「どうしても食べてほしい」というから「カワハギの刺身」。他に「サザエのつぼ焼き」を2個。「焼きハマグリ」を3個。ビール2本、冷酒2合。冷酒は、去年来たときにはキチンと冷やした旨い酒が出てきたが、今年の春に店を改装したついでに酒も1段レベルを下げたらしく、1升瓶から2合徳利に乱暴に注いだ「常温」の酒である。刺身はもともと好きではないし、オバサンによれば「今朝とれたばかり」のカワハギは、水槽の中ですでに弱っていて、店員が水槽に片手を突っ込めば簡単にその手に命を委ねて手づかみにされてしまう、死への覚悟のできた立派なヤツである。

 

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(江ノ島のアカトラ猫 2)


 刺身になって出てきたカワハギの顔色をうかがいながら、嫌いな刺身をヌルい日本酒で大急ぎで飲み干していくと、活き造りのカワハギが断末魔の様子を見せつける。「命の大切さ、教えたい」とか上品なことを言っている先生方が、アワビもエビも踊り焼きとか言って生きたまま火にのせて何とも思わず、シラウオは生きたままポン酢にいれてズルズルすすりこんで大笑いし、韓国に行けばタコまで生きたまま口につっこんで、吸盤のついた足をほっぺたにくっつけながら噛み殺し、可愛いクマは「駆除」の対象にする。そういうのをフランク(昨日のブログ参照)の飼い主のオジサンは許せない。カワハギ君も、わずかに残ったほっぺたと膨れた唇は愛嬌たっぷりなのに、断末魔のせいでほっぺたの色が黒から薄緑、薄緑から白、白から黒、そういうふうに目まぐるしく変化する。

 

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(カワハギ君)


 タバコを吸いまくる客もいる。あれれ、神奈川県って、めし屋も禁煙じゃなかったっけ。カワハギは可哀想だし、酒はヌルいし、タバコは煙いし、刺身にいちいち大歓声を上げる客のオバサン2人組もうるさいし、大いに不機嫌になって、午後1時、店を出る。江ノ島に到着してわずか1時間半、あっという間に再び海上の橋を渡って帰ることにする。よかったことといえば、去年ブログに掲載したのと同じアカトラのネコが、また同じ場所に立って写真を撮らせてくれたことぐらいである。ただし、不機嫌になるためにきて、ちゃんと不機嫌になったのだから、その点では大いに満足しなければならない。


 帰りも予定通り。出来損なったパチンコ屋みたいな、竜宮城の色をした妙竹林な片瀬江ノ島の駅から、小田急線のつまらない電車に乗る。口を抑えずにクシャミをするサラリーマン、化粧に励むOL、どこまでも左右に揺れながら左右両側の乗客に大迷惑をかけつづける女子大生、そういう人たちに囲まれながら下北沢まで1時間熟睡。これもまた大いに満足である。

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3E(Cd) Enrico Pieranunzi Trio:THE CHANT OF TIME
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