Mon 090518 夕方まで寝た後は 再び始発まで、昼まで 「ぐるっと回って元に戻る」

　ということは（またまた、またまた昨日の続きです）、朝９時に寝て、夕方の４時か５時にむっくり起き上がるということである。これでは完全に昼と夜が逆転してしまっていて、非常に不マジメであり、非常に不健康である。それでも「作家になるつもりの青年」にとっては、こういう昼夜逆転はむしろ心地よい。逆転すればするほど嬉しくなり、不健康であればあるほど意気上がり、昂然と部屋を出て、夕陽に照らされつつ駅に向かう。たとえ授業が終わってしまっていても、図書館はあいているし、「電車で東洋文庫」をやめる訳にはいかない。大いに意気軒昂として、コロンボコートを羽織り、風呂敷包みをかかえ、武村さんメガネをかけて早稲田に向かう。

（怠惰の本質１）

　早稲田に到着して６時。腹が減っているから、「浅野屋」の切れやすい蕎麦を食べ、または当時の生協食堂のBまたはC定食を食う。昔の生協食堂は「食べる」というより「食う」という感覚。何度も蒸かしなおしてモチのように固まりかけた飯を、割り箸で丁寧に切り分けながら食う。オレンジ色のプラスチックのお盆に、必ず味噌汁が溢れている。食堂のおばちゃんたちが乱暴に注ぐからである。その有り様が余りにミジメなので、２年３年と学年が進むにつれて、生協食堂というところには滅多に足が向かなくなった。

（怠惰の本質２）

　飯を食い終わって図書館に入ると、６時半。夏でないかぎり、もう日が暮れて、薄暗い蛍光灯だけの館内は寂しいかぎりである。何故こんな寂しい昼夜逆転をやっているのか、時にバカバカしくなるが、それでも十分眠った直後だから、意気軒昂であることだけはなかなか他者に負けるものではない。９時までの２時間半、読書に集中して、そのたった２時間半で、根拠のない自信も再び復活している。

　自信が完全復活したあたりで図書館が終わりになると、やっぱりまたまた飲みたくなる、というより、当時はまだ「酒そのものが好き」なわけではないから、ただ単にどこかに行きたくなるだけである。ちょうどそこへ、昨日とは別の人間が誘いに現れて、「どっか行くか」になる。昨日とは別の人間だから、出かけていく「どっか」も昨日とは別である。別の人間と別の「どっか」に行って、昨日とは別の話で盛り上がるのだから、一向に飽きることはない。

（怠惰の本質３）

　こうしてまたまた朝まで、始発まで、いや、友人の家に泊まって昼まで、すると今度は眠るのが昼ごろ、起きるのが夜９時になる。夜９時に友人の家で目覚めて、反省して帰るかと思えば、もちろんそうはいかない。眠り足りて、元気と自信が戻って、目を開ければ友人がニヤニヤ笑って「どっか行くか？」と聞く。相手がそう聞いているのに「こういう生活を反省した。今日は帰る」、そんな答え方をしてすごすごネグラに帰るような、そんなしおらしい優等生ではない。当然「どっか行く」。

　もうお金はないから、ツマミは一切なし、店の人に小皿を２枚もらって、小皿に醤油を注ぎ、指で醤油を舐めて、それでツマミはいいことにする。こういう飲み方がまた楽しくて、楽しければ「終電」「始発」はともに存在すら忘れられてしまう。こうして、吉祥寺、三鷹、荻窪、綾瀬、北千住、とにかく友人の家なり下宿先なりの近くの汚い飲み屋はすっかり馴染みになっていった。

（覚醒、または「こんなことではダメなのだ」）

　こうなると、なかなか「朝起きて、夜眠る」というマジメで正常な生活に戻れそうにない。ところが、そうでもなかったのだ。昨日書いた「晴耕雨読」の生活の実態と同じようなものである。「ぐるっと回って元に戻る」と、よく大笑いしたものだが、睡眠の時間が少しずつずれていき、３～４日もこんな乱れた生活をすれば、いつの間にか「朝起きて、夜眠る」に戻る。缶ビールやネクターを握りしめるミジメな朝からの解放である。もちろん、健康な生活も長続きはしない。またまた乱れ、またまた戻る、その連続で、大学での月日は過ぎていった。

1E(Cd) Karajan & Berlin：HOLST／THE PLANETS
2E(Cd) Karajan & Berlin：BRAHMS／SYMPHONIES 1/2
3E(Cd) Karajan & Berlin：BRAHMS／SYMPHONIES 2/2
4E(Cd) Richter：BACH／WELL-TEMPERED CLAVIER 1/4
5E(Cd) Richter：BACH／WELL-TEMPERED CLAVIER 2/4
6E(Cd) Richter：BACH／WELL-TEMPERED CLAVIER 3/4
7E(Cd) Richter：BACH／WELL-TEMPERED CLAVIER 4/4
10D(DvMv) BEE SEASON
total　m59　y652　d2895