Mon 090420 「お酒が大好き」で「お酒を飲みすぎる」人間としての、一応のコメント | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 090420 「お酒が大好き」で「お酒を飲みすぎる」人間としての、一応のコメント

 これを書いている時点で、4月25日土曜日の午後10時である。「そのあたりから先は明日書こう」「草彅クンについては明日書こう」とのんきなことを言っているうちに、世の中はどんどん動いていって、草彅クンなんかはとっくに釈放されたばかりか、同情論がどんどん集まって、いつの間にか返って好感度アップにさえつながっているようである。人徳と言えば人徳。普段の努力のタマモノと言えばタマモノ。朝日新聞夕刊の「地球防衛家のヒトビト」(しりあがり寿)では、「久しぶりに明るいニュース」という扱いになっている。私が一般人としてコメントしようと思ったことも、鳥越さんとか石原さんとかがほとんど皆言ってしまって、今さら一般のオヤジが書かなければならないほどのことは、もう何にもなくなった。逮捕のニュースを聞いてすぐに思ったのは、午前2時半の無人の公園で全裸になっても、それで「公然わいせつ」と言うのは無理があるということ。誰も見ていなければ「公然」でもないし、「見せて、騒がせて、楽しもう」という卑猥な意図がなければ「わいせつ」でもない。事件当初テレビの画面に向かい、ヒマなオヤジは直ちに以上の感想をもらしたのであったが、そういうことはすべて有名なコメンテーターの皆様が、翌日までに5回も10回も繰り返して発言してしまった。


 それでも、もし大暴れして「大捕り物」になったのなら「公務執行妨害」ぐらいだが、それでもあえて「わいせつ」という罪名にしたのは、タレント生命に一番大きな打撃を与えようと思いついた人物が警察内に存在したせいだろう。それに「家宅捜索」まで加わり、「警察署を出る容疑者」というビジュアルも放送局に流したということから考えられるのは、「今までにも何度か同じような泥酔事件があって、ここまでは表沙汰にならなかっただけだ」ということである。似たような泥酔事件がそれなりにしばしばあって「今度同じようなことがあったら、逮捕しますよ」「ただの逮捕ではすみませんよ」といった警告がなされていたのではないか、ということも考えられる。そういう表沙汰にならない小さなイザコザの結果、警察と容疑者の間に相当量の精神的な確執が蓄積していて、おそらく単に「泥酔者保護」のために駆けつけた深夜の(というより早朝の)警察署員の心にも「笑い事では済まない」というトゲトゲした感情があっただろうし、容疑者の泥酔した大脳の中を苛立ちや嫌悪の電流が走り抜けて、酔漢独特の激しい罵詈雑言を警察署員に向けただろうことも考えられる。

 

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(漠然とした不安 ナデシコ版)


 3年前だったか4年前だったか、大阪か神戸から帰る新幹線で、彼を見かけたことがある。彼は京都から乗ってきた。京都の段階で既に相当激しく酔っ払っていて、それでもまだ生ビールの入ったプラスチックのカップを片手に握っていた。生ビールは駅のホームで買えるもの。私も同じものを買ったことがある(ただし、わざわざ新幹線の中に持ち込むまでもなく1息か2息で飲み干してしまうのだが)し、暑い夏の日だったから、ビールは大いに旨そうに見えた。というか、一目で「ビールが大好きなんだな」とわかるような表情だった。


 午後8時過ぎのグリーン車内は、みんな既にできあがっている中高年のオジサマばかりだが、さすがに中高年でも「草彅クン」なら皆まあテレビで見たことがあって、ほとんどの人が好感を持っている様子である。もちろんさすがにオジサマの威厳があるし、グリーン車のオジサマの多くには「まあ責任のある立場」に相応しい遠慮もあって、「サインください」みたいな行動に出る者もなく、「おお草彅クンか」「好青年ではないか」「帰ったら娘に自慢するかな」というような、上品に華やいだ雰囲気になった。


 ところが、その草彅クンが、予想外に大酒飲みなのであった。車内販売がワゴンを押して通りかかるたびに、確実に日本酒のカップを1~2コ買って、なかなかの勢いで飲み続けるのである。ワゴン販売のお姉さんだって、一言二言かわすだけでもやっぱり嬉しいことは嬉しいから、ますます車内は上品に華やいだ空気になる。だいたい、京都–東京間、名古屋–東京間、この2つの移動にはどんな有名人でも「新幹線のグリーン車」以上の移動手段がないから、大臣クラスの国会議員さんでも超有名タレントでも、「ひょっこり出くわす」というか「あれれ、なんで目の前にいるの?」と爆笑したくなるほどの突然の出会いが、予想以上に多いのだ。この時は私が座っていた席より3席前、進行方向に向かって通路を隔てて左側の席に彼がいた。なんだかサラシ者みたいで可哀想だが、グリーン車オジサマたちの遠慮のおかげで救われている面が大きい。JR東海は、ひと昔前まで存在していた「グリーン車個室」を(ついでに食堂車も)復活してあげるべきである。


 見ていた限りでは、「草彅クン」は名古屋までにカップ酒4杯は飲み干した。新幹線が名古屋を出て、それでもまだ車内販売のワゴンを呼び止めて、例の声で「お酒ください」と言い、私の聞き間違いでなければ、ワゴン販売のお姉さんが「またですか?」と聞き返し、周囲のオジサマたちの静かで穏やかな笑い声が上がっていた。彼は結局東京駅までに7杯(数えているほうも数えているほうだが)を飲み(買っただけで飲んだかどうかは確認できないが)、とうとうバイオリンを出して、低い声で歌い出した。バイオリンについて、今回の事件後に確認したところ、当時彼が出演していたTVドラマでバイオリンを弾く役についており、その練習を兼ねていたのではないか、との情報を得たが、それならばまさに脱帽すべき熱意である。


 しかし熱意より何より、楽しそう、嬉しそう、ホントにお酒が好きなのである。普段なら口うるさいグリーン車内のオジサマたちも、みんな気持ちよさそうにニコニコして、「うるさい」「静かにしろ」などという無粋な声も上がらない。浜松、静岡、三島、夜の新幹線は酔っ払った超有名タレントの遠慮がちなバイオリンと遠慮がちな歌声とを乗せ、上品なオジサマたちの軽いイビキを乗せ、東京に向かって快走した。オジサマたちも、みんな疲れきり、疲れて酔っ払った分、みんな嬉しかったのである。あの時の新幹線が新横浜に停車したかどうか、覚えていない。当時はまだ新横浜に停車しない「のぞみ」が走っていたし、目を覚ますともう多摩川を渡る頃で、バイオリンも歌声も消えたのぞみの車内は静まり返り、たくさんの静かなイビキの中で、何だか車内の照明さえ少し柔らかな色合いに変わって見えたように思う。

 

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(漠然とした不安 拡大図)


 釈放後の記者会見で「飲むお酒の量は決まっていません」と答える彼を見て、思わず爆笑した。飲む酒の量が事前に「決まっている」人なんか、実際には酒が大嫌いなのに無理して飲んでいるだけである。犯罪は犯罪として、まあとにかくそれは別として、彼の痛飲ぶりは大いに愉快である。好感度抜群の好青年と、クマのような一般人のオヤジを比較しても何にもならないが、飲酒の量も速度もほぼ同じ、「決まっていない」のも全く同じ。楽しければ大いに飲み、楽しくなければ速度は落ちる。


 ビール3杯、焼酎を合わせて10杯以上、これは「専門家によれば、泥酔というより、昏睡状態に近い」ということだったが、機嫌よく飲んでいるときには、このぐらいの量なら2時間もかからない。日本酒4合1時間、焼酎4合でも1時間半ちょっと。しかも彼の若さである。泥酔も昏睡もするほどではない。いけないのは、おそらくこの上なく楽しく酒を飲んでいる最中に、いきなり「これでおヒラキ」「今日はこれで終わり」という一言で、無情にも突然幕を引いてしまったヒトである。誰もいない真っ暗な公園で、全裸になって気勢を上げる行動には、突然「これで終わり」と宣言されてしまったことへの不満以外には何も含まれていないのだ。さぞかし楽しい酒だったのだろうし、さぞかし悔しかっただろう。少なくとも「友人の友人がアルカイダ」だったはずの総務大臣に「最低の人間」と蔑まれるイワレはないはずだ。

1E(Cd) Alban Berg:
BRAHMS/KLARINETTENQUINTETT & STREICHQUINTETT
2E(Cd) Alban Berg:SCHUBERT/STRING QUARTETS 12 & 15
3E(Cd) Baumann:MOZART/THE 4 HORN CONCERTOS
4E(Cd) Solti & Wiener:MOZART/GROßE MESSE
5E(Cd) Rilling:MOZART/REQUIEM
6E(Cd) Billy Joel:GREATEST HITS No.1
7E(Cd) Billy Joel:GREATEST HITS No.2
10D(DvMv) NOTTING HILL
total m105 y493 d2736