2010年01月17日(日)

Tue 091229 グリューワインにどっぷり浸かって過ごす マリア・テレジアに叱られる

テーマ:ブログ
 グリューワインは、この後ブダペストでもプラハでも、クリスマス市を見かけるたびに、連日6杯でも7杯でも果てることなく飲みまくったが、その最初になったのがウィーン王宮前のこの屋台であった。ドイツ語でGlühwein、英語ではhot wineまたはマルドワインmulled wineの看板が出ていて、日本のお茶ぐらいの温度に温めた赤ワインに砂糖だかハチミツだかをタップリいれ、リンゴジュースも混ぜ、シナモンその他の香料で独特の香りをつけて売っている。
 1カップ3~4ユーロ、ほとんどのクリスマス市ではカップのデポジット代を2ユーロ追加して、5~6ユーロである。もちろんカップのデポジット代金はカップを返却すれば返してもらえる。発泡スチロールの味気ないカップで飲まされるより、デポジット代を払ったチャンとしたカップで飲むほうが旨い。旨いし、カップは返却したくなければそのまま持って帰って、とてもいいお土産になる。

(グリューワインと湯気)

 旨いというより、温まる。大いに温まり、温まれば、大いに楽しい。氷点下10℃まで下がった雪の中で、もうもうと湯気の上がる甘いグリューワインを1杯2杯と飲んでしまえば、もうマジメな名所旧跡を回って100年も200年も前のすっかり色褪せた風景画を見て「おおお!!」とか「んんん!!」とか、そんな陰気な叫びをもらしているヒマはなくなってしまう。ガイドブックと首っ引きで、信心が行き過ぎて顔が茶色くなっちゃった500年前のお坊さんの陰気な顔の宗教が眺めても、あんまり楽しくはない。そんなことより、どんどんグリューワインで温まったほうがいいに決まっている。
 こうして、ここから約2週間にわたって、グリューワインに浸る日々が始まった。今井の辞書から、「見学」の文字が消えるのには手間はかからない。「こっちのほうが、楽しいべさ」ということになれば、徹底的にそこに入り浸る。躊躇の余地など、全くないのである。ましてや、時期はクリスマス市の真っ最中。場所はウィーン・ブダペスト・プラハ、どこへ行ってもまさにクリスマス市の嵐である。

(最初につかまったグリューワインの屋台。王宮前)

 でっかいバケツで湯気の上がるグリューワインがどんどん運び込まれ、昼だろうと夜だろうと、男だろうと女だろうと、じいさんもばあさんも、若い人も若くない人も、右を向いても左を向いても、みんな片手にカップを掲げ、カップの湯気の中に顔を突っ込んで、この世に突如出現した天国の香りを嗅ぐように、旨そうに細めた目から涙を流しながら、甘く温かいグリューワインをすする。
 王宮を出て、広い道路とトラムの線路をわたると、そこは美術史美術館。マリア・テレジアのゴツい銅像があって、マジメに、あくまでマジメに、「ハプスブルグの財宝を見学せよ。グリューワインに酔うなど、もってのほかである。ズがタカい、ひかえおろお!!」と命じている、というよりむしろ、黒々としたその顔で脅しつけている。

(雪の中の恐ろしいマリア・テレジア。2005年2月)

 しかし、厳しい顔のその足元にも、やっぱり楽しいことずくめのクリスマス市が広がっている。人々は焼きグリをむき、イノシシの肉のハンバーガーを頬張り、東洋のクマどんはここで再びグリューワインを飲んで冷え込んだ身体を温める。急に身体が温まると、思わずダラしない鼻水が流れ出してしまったりするが、まあそれでもかまわない。「おやおや、お互いに、酔っ払いですな」とニコニコしながら交わす視線も楽しい。

(マリア・テレジアを裏切るクリスマス市の賑わい)

 クリスマスで、雪が降って、前代未聞の寒波がやってきて、分厚い手袋をした手もかじかんで痛いほどだけれども、だからこそこんなにグリューワインが旨くて、「ホントによかったですね」「よかった、よかった」と、そこいら中の人が善意でいっぱいになって微笑んでいる。

(さっそく熱い焼きグリを買う)

 そういう笑顔のどよめきの中で、あっという間に陽が傾いてくる。数百年前からずっと、ヨーロッパの人たちは、クリスマスが来るたびに、こういうどよめきの中でイタズラっぽい笑顔をみかわしていたのである。暗い美術館で風景画や宗教画に唸り声をあげるのも決して悪くはないが、そういうマジメな芸術品の見学より、こういう日々のどよめきのほうが、カニ蔵くん向き。有名な美術史美術館は、4年前に丸1日費やして見て回ったのだから、今回は省略。というより、怠けてネグってしまうことにした。
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