Sat 090321 聖蹟桜ヶ丘講演会 京王線のフシギ「新線新宿行きは本八幡行きになる」など | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 090321 聖蹟桜ヶ丘講演会 京王線のフシギ「新線新宿行きは本八幡行きになる」など

 19日木曜日、聖蹟桜ヶ丘で講演会。京王線に乗れば30分程度で到着する近さだが、各駅停車から急行に乗り換えたり、ほっとしていると今度は調布から「準特急」なるものに乗り換えなければならなかったり、京王線は運行する電車の種類が多くなりすぎて、返って不便な感じがある。快速というのもあれば、特急というのもあり、1本の線路の上を5種類の電車が追いついたり、追い抜かれたり、同じホームで乗り換えがあったり、通過待ち合わせをしたり、とにかくありとあらゆる面倒なことを繰り返しながら走り回っている。そこに「都営地下鉄への直通電車」が参戦。運行系統はさらに面倒になる。


 例えば明大前の駅で待っていると、「新線新宿行き」というのがやってくる。初めて利用する乗客にとっては、おそらく「新線新宿」と「普通の新宿」の違いも余り明らかにされなくて不安なのだが、駅のアナウンスによると「新線新宿行きは、新線新宿の駅から、都営地下鉄直通、本八幡行きになる」ということになっている。要するに相互乗り入れであって、黙っていれば自然に都営地下鉄に姿をかえ、新宿三丁目・神保町・馬喰横山を通って、はるばる本八幡まで行くのである。私なんかは単純だからなかなか納得がいかないのだが、それなら単に「本八幡行き」であって、「新線新宿行きは新線新宿の駅から都営地下鉄直通本八幡行きに変わる」などという面倒きわまりない説明は不要なはずである。


 それをなぜ「本八幡行き」と行ってしまわないのか、そういうことを不思議に思っていると、電車によっては、ごく当たり前に「本八幡行き」と紹介され、電車自身も素直に「ボクは、本八幡行きだよん」という何食わぬ顔でホームに入ってくる。そんなことをいちいち気にしている客はいないのだろうが、見かけも性格も全くおんなじ電車なのに、ある電車は「本八幡行き」と単純に軽く突き放され、ある電車は「新線新宿行きは新線新宿の駅から都営地下鉄直通本八幡行きに変わる」などという特別扱いを受けているのを見ると、何だか不公平な感じがしてイヤな気分になる。まあ、電車クンに尋ねてみないと、どっちの扱いが電車として嬉しいかは判断がつきかねるが、とにかく不公平。乗客に何の説明もせずに同じ電車を不公平不平等に扱うのは、何だか背中がむず痒くなる。

 

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(桜ヶ丘講演会、開始直後。まだ硬いイモ類君)


 話を元に戻せば、これで同じ線路の上を7種類の電車が、くんずほぐれつの状態で抜きつ抜かれつしていることになる。朝夕のラッシュの時間帯になると、これにさらに「通勤快速」というのも加わって、もうこの辺で理解不能。どの電車がどの位置づけなのか、部外者には判断がつかない。話をもっと単純にすべきではないか。おじいちゃんやおばあちゃんが、乗り換えようか乗り換えまいか、思案にくれている姿を京王線では多く見かける。現に今日の私だって、往路で2回、復路でも2回、乗り換えをしなければならなかった。サービスのつもりが、サービスにならないことがあるのだ。


 京王線で不必要と思われるのは、まず「快速」。「快速」の位置づけは「係長代理」というところか。「係長代理」と「主任」でどっちが偉いのかよくわからないが、要するに「快速」は「各駅停車ではありません」というだけのことである。もともと私鉄の各駅停車というものは、小田急でも西武でも東急でも、乗っていると「オレたち何か悪いことでもしたっけ?」と話し合いたくなるほど、やたらに通過待ち合わせを繰り返し、あそこで3分、こちらで5分、ドアを開けたままで冷たい風が吹き込み放題。夏は熱風が吹き込み放題。万年平社員の悲哀をたっぷり味わわされるものだが、京王線の場合、「快速」もほぼ同じ目に遭う。期待が全くない分、各駅停車の方がマシかもしれない。「主任」だから役付、だから残業手当はないよ、そういう扱いなら、主任なんかにならない方が気楽でいいのと同じことである。


 「準特急」と「特急」の区別も無意味である。何だ、「準特急」というイヤなネーミングは。部長代理、部長補佐、というならまだ諦めがつくが、「総務部付、企画センター長(部長待遇)」みたいな押さえ込み方、カッコ付きの役職名は、失礼である。遠い昔、アルバイト気分で仕事をしていた塾で「…教室長(副部長待遇)」という辞令をもらったことがあった。あれは気分が悪かった。あれ、ボクって何なの、である。電車だって同じ気分に違いない。「特急」という晴れがましい舞台に立たされて、おお、自分も今日から特急だ、田舎の両親にも知らせて、親戚にも電話して、「さあ、新宿八王子間を毎日疾走するぞ」と張り切ってホームに入って、そこで手渡された辞令には「準特急」とある。「特急代理」「特急補佐」「特急待遇」である。


「おかあさん、実はちゃんとした特急ではなかったんだ」
「あんれ、おめえ、だいじょぶだか? ながながちゃんと出世でぎねえだなあ、てんごぐの父さまも、シンペしてるだべ」
「きっとすぐに昇格できるよ」
「あわでるでね。特急代理でもいいだ。特急補佐でも待遇でも、ちゃんと仕事して、最後までつとめあげるだ」
「おお、かあちゃん、わがったべ、わがったべ。シンペすんな。これでも特急代理までのぼりつめたダベ」
「おおさ。なにごども、すべではマジメにつとめるがどうがだ、すばらぐは、特急代理でガマンだ。止まる駅をまじがわえよに、注意すてな」
こういう扱われ方では、クライアントに差し出す名刺に勢いがつかないではないか。

 

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(桜ヶ丘講演会、盛り上がりつつあるクマどの)


 まあ、過剰サービスが実は全くサービスになっていないことは、車内アナウンスなども同じこと。これについてはもう2度も3度も書いたことがあるから詳しくは書かないが、相変わらず京王線の車内アナウンスはカラオケ気分。どの電車に乗ってものべつ幕無しで放送が入り、駅を出れば「お待たせいたしました」「車内混み合いまして申し訳ございません」から始まって、運行系統の案内、各駅の到着時間、どの駅で快速に抜かれ、どの駅で急行に抜かれ、どの駅で準特急に抜かれ、そんなに抜かれるなら最後までこの各駅停車で旅をする人などいそうにないが、そのくせ「終点・高尾山口には何時何分に到着の予定」であるかは2回繰り返してアナウンス。「携帯電話の通話はご遠慮」してほしくて、「オレンジ色のつり革のある『思いやりゾーン』ではスイッチをお切りいただき」たくて、「春の交通安全運動を実施」していて、「不審な荷物を発見したら絶対に手を触れずに駅係員にお知らせ」いただきたくて、「駆け込み乗車をすると思わぬケガにつながり、電車遅延の原因にもなるから絶対におやめ」いただきたくて、そうしたこと全てに「お客様のご理解とご協力を」いただきたい。おお、線路は続くよどこまでも、放送も続くよどこまでも、京王に、たえて放送なかりせば、春の心はのどけからまし、である。


 聖蹟桜ヶ丘講演会、出席者70名程度。久しぶりに余裕のある会場で、ほっと一息ついた。昨日の記事にも書いた通り、このところ「会場に入りきれるか」と心配になるほどの出席者が押し寄せつづけていたからである。聖蹟桜ヶ丘校は、小規模校舎ながら、毎年複数名の東大合格者を出している優秀な校舎である。今年は理Ⅰと文Ⅲの合格者が出たばかりで、校舎長も嬉しそうだった。落ち着いた静かな校舎で、会場には生徒用の机もキチンと確保。三軒茶屋の大盛況の直後だったから、余りの静けさが少し寂しかったが、まあ余り贅沢は言うまい。「勉強しよう」という落ち着いた雰囲気の中、2時間キチンと授業をして、21時終了。国際色も豊かで、インド系のいかにも優秀そうな男子生徒が最前列で真剣に授業を受けている姿も印象的だったし、しめくくりに生徒代表で挨拶してくれた彼の、流暢な日本語にも大いに感心させられた。

1E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DAS RHEINGOLD 1/2
2E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DAS RHEINGOLD 2/2
3E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 1/4
4E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 2/4
5E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 3/4
6E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 4/4
7E(Cd) Mascagni & Teatro alla Scala di Milano:
MASCAGNI/CAVALLERIA RUSTICANA
8E(Cd) Molajoli & Teatro alla Scala di Milano:
LEONCAVALLO/I PAGLIACCI
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